崩壊した町

 ドアを開けるとそこは住宅地だった。

 後ろ手でドアをそっと閉めるとバタンと大きな音がした。

 振り向くとドアが倒れている。玄関だった。

 室内は荒れ果て、壁には大きな穴がいくつも開いている。

 細心の注意を払いながら路を進んだ。

 見渡す限り瓦礫の山、倒壊した家屋。散々暴れ回った後なのが見て取れる。

 衝撃音が聞こえた。近い。塀に沿って音の方へ進んだ。

 先ずは状況を把握、人数の確認。そして一人ずつ確実に殺す。

 もう助けてくれる人はいない。泣き言を聞いてくれた人はいない。

 失敗は死だ。

 いつも死にたいと思っているくせに、この時だけは死が怖くてたまらない。

 俺ならやれる、俺ならやれる。何度も自分にそう言い聞かせた。

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