第6話 時は金なり 陽キャは即行動
「よし!リンちゃん、とりあえずこっちは大体のレイアウトができたよ。」
手を空に挙げて、身体をリラックスさせる。
「何から何まで本当にありがとう涼香ちゃん。」
ここ二日間、彼女の自宅にお邪魔しているわけだが、
不思議と嫌な気持ちはしない。今まで数合わせで遊びに誘われてきた私の人生を
考えると、二人だけで同じ空間を共にすることが希少だった。
「うんうんうん。なるほど。いい企画結構あるねぇ。」
やってみたい企画。ぱっと書いてみたが、どれも初投稿にしては意外性はない気が
する。"自己紹介動画"をとりあえず安直に考えてみたが、よくよく考えてみたら
私自身は自己紹介なんて動画サイトで検索したことなんて一度もない。
「商品レビューね。美容品・お菓子・ガジェット・ゲーム
うんうん。なるほど。」
「う、うん。なんかこういう人達ってよく伸びてて目立つというか。。」
自分の企画力ではどうにも面白そうな企画が思いつかない。
だが、ここまで手伝ってくれた彼女の努力も無下にしたくはない。
改めて、動画投稿者として活躍する人達のすごさがわかった。
「よし!決まった!じゃあ明日から動画撮影をはじめよう!」
「な、なにをするの?なにか持ってくるものとかある・・・?」
頑張って彼女の速度についていこうとする。
「大丈夫!まずはこの"商品レビュー"をやってみよう!」
彼女は人差し指をたてる。
「でね。必要なもの・・・なにが必要だったっけか。
あ、思い出した。もし、百均とか近くにあったら
この商品を買ってきてほしいな!」
ルーズリーフには
------------------------------------------------------
・ビニールテープ(できれば多色)
・あったらラップの芯・色付きの折り紙
・ありのままのリンちゃん
↓↓私の連絡用QRシール
S.renraku_happy ←読み取れなかったらこれを入力!!
--------------------------------------------------------
とリストに書かれていた。
「わかった、けどこれって?」
「いつでも連絡できるように私の連絡用のアドレスだよ!
もし、このこと以外にも学校とかなにかあったら連絡して!」
こんな便利なものがあるんだ。と驚いたが、最後に連絡先を交換した
のは2年ほど前、中学の卒業記念で行われたクラス会だった。
そのメンバーとは一度も連絡を取ることなく、終わってしまったわけだが。
「リンちゃん、これからコツコツ一緒にがんばろうね!
リンちゃんが悲鳴を上げても逃さない・・・かもよ?」
不敵な笑みを浮かべて、私の目を見つめていた。
心はやや不安になったが、ここまでサポートしてくれた涼香に
少しでも企画を盛り上げて、視聴数や好評価を得て恩返しすると内心
誓ったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます