第13話 進歩と挫折
古島コーチの金言をもらった後、不動はいつもよりまして練習に打ち込むようになった。ランニングやキャッチボール、トレーニングも他の選手の倍はやった。その姿を見て首脳陣も熱心に不動の改善点やアドバイスをしていた。そして、古島コーチから「次の試合お前をまた先発で使う、用意しとけよ。」と言われた。「はい!頑張ります!!」と不動は答えた。不動が支配下登録されてから初の公式戦である。
「プレイボール!!」いつものように球審の甲高い声が響き渡る。
不動はいつものようにキャッチャーに向けてボールを全力で投げ込んでいった。ピンチの場面、「ストライークッ!バッターアウトッ!!」という声が聞こえるとグローブを叩きながら雄叫びをあげた。
そうして何試合か登板して実戦感覚やバッターの打ち取り方がやっと板についてきた時だった。ウォーミングアップのキャッチボール、遠投を済ませ、古島コーチに願望を伝えに行った。「またいつものやつ、やっていいですか?」「ああ、いいぞ」いつものように古島コーチがマウンド後方に座ってボールを受ける。そうして思いっきり腕を振った時だった。「ゴリッ」「痛っっっっっっっっっっ」
突然肩に激痛が走ったのだ。あまりの痛さにうずくまる不動。そして古島コーチがすぐに駆け寄ってきた。「おい、不動!大丈夫か?」
少し安静にしていると痛みはスッと無くなった。「なんとか少し良くなりました。続きやりましょう。」「お前、今日は休んどけ。スポーツ選手はからだが商売道具なんだから。」「いや、もう少しやらせてください。その練習が終わった後病院にいk…」そうして腕を軽く上げた時だった。「ゴリッ」「痛っっっっ」さっきと違って腕を上げただけで腕に激痛が走った。「これは普通じゃない…いますがな病院にいけ。橋本も通った病院を紹介してやる。」「でも………」「いいから早く行け!これはコーチの俺からの命令だ!!」「……わかりました……」
俺は帰り支度をして紹介された病院に向かった。
「なるほど………この肩の腫れよう……一度レントゲンを撮らせてもらってもいいですか?」「はい。」こうして不動はレントゲン室に連れて行かれレントゲンを撮った。
「お疲れ様でした。では、待合室でお待ちください。」「わかりました。」待合室で待つ時間は永遠のように感じた。「これからの選手生命に響かない怪我だといいが………」と心の中で願っていた。「不動さーん、どうぞー。」不動は先生の待つ診察室へと入った。
注 選手生命→あと何年現役でスポーツを続けられるかを表す数値。野球だけでなくサッカーやバスケなどいろいろなスポーツで使われる
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