逆転世界で錬金術師のお弟子さん生活

第12話 三人の酔っぱらいども 挿話

「メノウ！何か面白い話しろよ！」

「うわ！嫌がられる上役が言い出しそうなこと言い出したわよコイツ！メノウは引き籠りなんだからそうそう面白い話なんて出来る訳ないでしょ！」

「面白い話聞きたいの？あと、リラは次イラッとする発言したら殴るわよ」

「何だよその自信ありげな顔。いつも言ってるがお前の話は面白時は面白けど面白くないときは全然面白くないからな？はずれの方が圧倒的に多いんだから話す前に自信満々な顔するのは恥かく可能性が高いんだから控えろよ？あと、リラは次にイラッとすること言ったら殴るからな」

「そう言われると話すの怖くなっちゃうわ～話さないこうかなぁ～」

「うざ！」「うざ！」

「……あ！もしかして、ケイトさん関連の話！？ファーラン！！今すぐ土下座して謝りなさい！！」

「ふざけんな！！俺が何でそこまでしなきゃいけないんだよ！！」

「ふざけてなんかいる訳ないでしょ！！嘗てないほど真剣よ！！ケイトさんに関する話よ？ファーランは聞きたくないの！？」

「……いや。俺だってそりゃあ聞きたいけどな？」

「メノウのあの顔を見てみなさい！あなたの土下座を待ち望んでいるわ！嗜虐心が内側から溢れて顔面から漏れてる！まさに魔王！！無辜の民の涙と嘆きを糧にしている表情よ！そもそもの話、あんたの土下座でケイトさんの情報が手に入るとか超お得トレードなんだから１００回くらい土下座しな、イタッ！二人同時に殴るのはやめなさいよ！単発、単発より痛い気がするわ！」

「単発じゃあお前の暴言が止まるわけないだろ。それよりも挟むように殴って痛い気がするぐらいのダメージってどうなってんだよ」

「リラの出鱈目な頑強さは今更でしょ。とりあえず、話してあげるけど私の話が一番面白かったらいつものだからね？」

「おうよ！」「了解ですわ！」

「ボクっ子ってあるじゃない？」

「……いきなりだな。……自分のことをボクっていう男子のことだよな？」

「性差に疎い無邪気さ故か、女子に対する負けん気か。自身のことをボクと呼称してしまうキャラのことですよね？」

「……まぁ、定義についてはそれぞれに任せるけどここで私が言いたいのは一人称が『ボク』な男の子のことね。で、ここまで話せば当たりは付くと思うけど……けーくんはボクっ子よ」

「は？」「まぁまぁまぁまぁまぁ！！」

「ケイトは確かに若いけど自分のことをボクって言うほど幼くはないだろ？……ないよな？」

「いえいえいえいえいえ！ボクっ子が幼いと言うのよくありますが注目点はそこじゃありませんわ！ケイトさん程のお婿さんレベルが高い殿方が自分のことをボクって呼ぶのが凄いと思いません？あの美しく、柔らかな声でボクですよ！？」

「まぁ、リラの言いたいことは分かるがよ……」

「ファーランはボクっ子はダメなの？」

「いや、ダメじゃあ無いんだがそれなりの年齢の奴がボクはちょっと狙ってる感があってな？」

「……ファーラン。ちょっとお耳を拝借。……けーくんの世界では俺とかボクって男性の一人称らしいわよ」

「……狙ってないってことなのか？」

「まぁ、本人は男性の一人称として今まで使ってたんだから、狙ってるわけじゃないし、媚びてるわけではないでしょ。私がその話をするまでは普通にボクだったけどその話をした後は一生懸命直そうとしてるしね。……たまに、ボクって言ってるけど」

「狙ってないボクっ子……ロマンだ！！」

「……流石、けーくんだね。リラはもちろん、ファーランの琴線に触れる萌えポイントを備えてるんだから」