第12話 能力の成長に今更気付くやつ

【悲報】メンヘラVtuber女さん、無許可でスキル石を割って炎上、謝罪へ


 1:名無しのハンター ID:******

【経緯】

 メンヘラアイドル★めめめん(ダンジョン攻略配信をしている女性VirturalTuber)がいつも通りソロ探索でダンジョン攻略に挑戦

 ↓

 女さん一人の癖にソロ探索で大丈夫か?と心配の声

 ↓

 案の定、魔物に囲まれてピンチに

 ↓

 スキル石を自分に使って、命からがら窮地を逃れる

 ↓

 過去に「スキル石は見つけた人が自由に使えるようになったらいいのにね」という発言をしていたのが掘られる

 mttps://i.imgirl.com/v1PsUjr9W.jpg

 ↓

 炎上



 2:名無しのハンター ID:******

 あーあ



 4:名無しのハンター ID:******

 こいつかまってちゃんうざかったからメシウマ



 5:名無しのハンター ID:******

 言い逃れ出来なくて草



 7:名無しのハンター ID:******

 >>1

 ちょっと違うぞ

「スキル石は見つけた人が自由に使えるようになったらいいのにね」

 の発言の意図は、ギルドに持ち帰っても結局オークションが始まって、富裕層や華族出身の人だけがそういうスキル石を手に入れることになる世の仕組みに苦言を呈した発言やぞ



 9:名無しのハンター ID:******

 メンヘラアイドル★めめめんのソロ探索を応援していた人のスクショ

 mttps://i.imgirl.com/rPe2xoQg6v2.jpg



 11:名無しのハンター ID:******

 >>1

 配信者なんてこんなもんだよな

 チヤホヤされて調子に乗って、規則違反をやってもファンの皆が守ってくれる

 はークソクソ



 13:名無しのハンター ID:******

 >>9

 貰い事故起きてて草

「ソロ探索は他の人に極力迷惑をかけない、そんなやり方なんです」

 って発言が特大ブーメランになっちゃったね



 15:名無しのハンター ID:******

 てか全然めめめん見かけないんだが、消息途絶えた?



 17:名無しのハンター ID:******

 全然配信しなくなっちゃったね



 19:名無しのハンター ID:******

 炎上した後の配信者って、解放区から遠く離れたところに身を顰めがちだよな

 そして大怪我して帰ってくるまでがテンプレ






 ◇◇◇






 スキル石の残骸からスキルを獲得できたり、スキル石に仕込まれた呪いを回避できる方法を編み出したおかげで、すっかり忘れていたことがある。

 それは、俺のジョブクラス《死霊使い》の魂の器レベルが成長していたことである。

 端的に言えば、俺の《死霊使い》としての能力は進化していた。


(まじか。骸骨と新しく従魔契約できる限度が、一日一匹制限から一日二匹までに増えているんだが)


 配下を増やせる能率が上がった。これは地味に嬉しい発見だった。


 恐らく《死霊使い》の魂の器レベルが1から2になったことが主要因だと考えられる。それ以外に、どうして新たに支配できる数が増えたのか理由を思いつかなかった。


 もちろん、たちまち骸骨たちの補充が必要になる切羽詰まった状況はないとは思うが、それでも一日あたりの支配数が倍加するのは大きい。危険な魔物との戦いで配下の従魔を喪失したとしても、補充が早ければそれだけ俺の安全度は高くなる。


 それに、発見はこれだけではなかった。


(……配下を作り出す時に、最初から骨をたくさん用意してケンタウロス型スケルトンを作ることもできちゃったんだよな)


 これは今まで気づかなかった俺が馬鹿だったかもしれない。単純な実験だった。

 骸骨二匹分の骨を用意して、魂を多めに分け与えてみた結果、最初からいきなりケンタウロス型スケルトンを作り出すことに成功したのだ。


 結果、今の俺の配下は下記のようになっていた。




 ――――――――――――――――

 ■カンザキ・ネクロ

【探索者ランク】

 F級探索者

【ジョブクラス】

《一般人Lv8》《死霊使いLv2》

【通常スキル】

「棍棒術3」「強靭な胃袋1」「投擲術1」


 ○魂魄値上限(50):

 - 人型スケルトン(1) × 8匹

 - ケンタウロス型スケルトン(2) × 18匹

 ――――――――――――――――




 もしかしたら従魔の合成も、一日一回じゃなくて一日二回までできるようになっているかもしれなかった。もう少し余裕が出てきたら試してみたいところである。


(この分なら、もっと危険なエリアの探索も簡単かもしれないな)


 今俺がいる場所は、人がいなくて、魔物も弱いという、ただそれぐらいしか取り柄がない場所である。こんな場所に用があるやつなんて俺ぐらいであろう。

 魔物が弱い場所がいいなら、線路のそばとか、探索者キャンプとか、あるいはもっと人がいっぱい集まってそうな場所に行けばいい。わざわざ解放区から離れた、不便な場所を好むなんて変わり者がそうそういるはずがないのだ――。


 そう、いるはずがないのだ。






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