第11話 自分だけリスクなしでたくさんスキル獲得し放題の抜け道を発見するやつ

 スキル石の残骸に、まだ残留思念のようなものが残っていたのかも知れない。元来、割れたスキル石は急速に魔力が失われるとされているが、もしかすると晶洞内に魔力の欠片が残っていた可能性がある。


 配下の骸骨がスキル石の残骸を齧った結果、操っている主である俺にその経験が流れ込んできた。




 ――――――――――――――――

 ■カンザキ・ネクロ

【探索者ランク】

 F級探索者

【ジョブクラス】

《一般人Lv8》《死霊使いLv2》

【通常スキル】

「棍棒術3」「強靭な胃袋1」「投擲術1」


 ○魂魄値上限(50):

 - 人型スケルトン(1) × 10匹

 - ケンタウロス型スケルトン(2) × 15匹

 ――――――――――――――――




 その名も「投擲術1」。

 文字通り何かを投擲する技能らしい。たった1だけしか技能値スキル値がなかったが、ここから育てる分には十分であった。


(これはありがたいな、あるのとないのとでは大違いだ。まさか残骸からでも技能スキル習得ができるなんてな)


 ここだけの話、何度も練習すればゼロから技能を習得することもできる。反復動作が肉体と魂に染み付くからである。

 だが最初の一歩というのはとても大事なもので、何かしら技能を取得するのにかかる時間は結構膨大なものになる。運動神経が良かったり、良い指導者がついていれば、習得までの時間は短縮されうるが、それでも一朝一夕の話ではない。

 スキル石が希少なもの扱いされる所以である。


(でもこれは……かなり悪辣だな。どうやら呪いがかけられていたらしい)


 しかしその一方で、俺は気づいた。

 どうもスキル石の残骸を食べた骸骨の体表に、何やら呪いの紋様が浮かび上がっていたのだ。


 見ればそれは「出血」の呪いだった。あまり詳しくないが、呪いの一部にそのたぐいのルーンが刻まれている。

 俺程度の知識では部分部分しか解読できなかったが、断片的にそれを読み合わせたら、『この呪いを受けたものは半永続的に出血が止まらなくなる』という呪いを受けているように解釈できる。

 骸骨だから問題ないが、これがもし人間だったら大問題である。


 このスキル石には、呪いがかかっていた。最初から割れていたので関係なかったが、もし仮にこれを知らずに割っていたとしたら、ぞっとする。


 これだから、未鑑定のスキル石や迷宮遺骸物アーティファクトは怖いのだ。


(……。待てよ。これってもしかして、もしかすると抜け道を見つけたんじゃないだろうか)


 俺は、今起きたことを頭の中で整理し直していた。


 スキル石の中には呪われている危険なものもある。

 さっき骸骨が齧ったもののように、割ると最後、呪いも一緒に流れ込んでくるのだそうだ。

 しかし、今の俺にはその呪いは届いてない。今の俺は骸骨に魂を分け与えている――もとい魂を共有しているため、技能スキルの経験は俺にも流れてきたが、呪いは上手いこと骸骨だけが受けてくれたらしい。


 つまり。

 これはもしかすると。


(これって、リスクなしでスキル石割り放題なのでは? 魔物が食べちゃったということにすれば罪にも問われないし)


 どうやら俺は大きな発見をしてしまったらしい。

 スキル石を見つけたら、それを骸骨たちに食べてもらうというやり方。これであれば、懸念点であった『呪い』に関しては骸骨が引き受けてくれるし、何ら報告の義務もない。


 放置しているだけでたくさんの技能経験を獲得することが出来る、かもしれない。


 果たして今回手に入れた「投擲術1」がどの程度のものなのかとか、どれぐらいの頻度でスキル石を発見することが出来るのだろうとか、検証したいことは山程あったが――。


 新たな発見に高揚した俺は、しばらく捕らぬ狸の皮算用で頭がいっぱいになっていた。






 ――――――

 独り言:

 そろそろ炎上したヒロインキャラを出す準備をします。


 宣伝:

 本作品は、『放置ゲーみたいにコツコツ徐々にできることが増えていく』というのを主軸にした作品です。


 使役している魔物たちの力で、魔物狩り・ダンジョン攻略・迷宮遺骸物アーティファクトの回収etc……を自動化したり。

 配下の魔物たちを成長させたり、合成してどんどん強化していったり。

 じっくり時間をかけて《癒しberkanaの石》や《戒めthornの毒の短刀》などの自作道具をクラフトして育てていったり。

 スキル石を使ってスキルツリーを成長させたり。


 文明崩壊後ポストアポカリプスな世界観は、ちょっとしたエッセンスとして設定大好きな人の癖に刺さったらいいなと思いながら作りこんでいます。

 じわじわ盛り上がるような、そんな作品にしたいと思っています。


 もし面白いと思っていただけたら、『フォロー&★評価』お待ちしております!

 どうぞよろしくお願いいたします。



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