第10話 従魔たちが迷宮遺骸物《アーティファクト》を発見するやつ / スキル石の残骸を食べたらスキルが芽生えるやつ①
《物資輸送鉄鋼列車》で街の遠くまで運ばれたあと、どんどん人気のない場所へと足を踏み入れていく。
俺の活動拠点はもっと先にある。周囲に人目がないことを確認した俺は、《死霊使い》の能力を使いながら、配下がどちらの方向にいるのかを確かめながら、先に先にと歩いていた。
(魔物が全然いないって知っているからこれだけずんずんと歩けるけど、普通はもっと周囲を警戒して歩かないといけないからなあ)
要所要所で休憩を入れながら、半日以上かけて合流地点に足を踏み入れる。合流地点と言ってもそこにいるのはケンタウロス型のスケルトンが三匹だけである。
ここから先は、足の速いケンタウロス型スケルトンに乗っかって運んでもらうという算段であった。本当の活動拠点は更に奥。
簡単には他人に見つからないように、念には念を入れている。
(魔物を使役しているんです、なんて発覚したら、一体どんな目に遭うか。考えたくもないね)
今の俺がやっていることは、
①配下の
②
③回収された魔石を選別して、品質の悪いものを配下に食べさせる
④空いた時間で《
……ということの繰り返しだった。
ほとんど頭を使わずにできる定型作業なので、慣れたら動画を見ながら手を動かせる。
周囲への警戒を切らすぐらいの集中力は要求されない。これがもし精密さを要求される高度な作業だったらそうはいかないだろうが、今の俺がやっていることはせいぜい、成分を煮出して自作道具を精錬する工程である。
没頭することさえしなければ、存外大丈夫なものであった。
それに、である。
久しぶりに活動拠点に舞い戻ってきた俺の元には、思わぬ掘り出し物が見つかっていた。
「そりゃそうだよな。流石にこれだけ放置していたら、スキル石とか
俺は思わぬ収穫にほくそ笑んだ。
確かに、今俺がいる場所は、開拓推奨エリアから外れた場所である。近くに
とはいっても、数に任せてたくさん魔物を狩っている訳だし、骸骨たちに探索させている面積もそこそこ広い。
そろそろ偶然、何かいいものが見つかってもいいんじゃないか……と淡い期待は抱いていた。
「いいじゃないか、この指輪! 何かあるよな絶対! 便利な効果とかあったら最高なんだけどさあ!」
それは、魔力を帯びた装飾品や道具である。効果は未知数だが、装備者に大きな力を齎すとされている。残念ながら俺は、鑑定スキルを持っていないのだが、こういう時は解放区に帰って、ラプラス・システムによる
なお
それに、
ちなみに、今回見つけた
「すぐとんぼ返りするのは勿体ないよな……でも発見した
俺はしばらく懊悩する羽目になった。
放置しているだけで勝手に魔物狩りや素材採集が進んでいるので、俺が持ち場を離れようが全体進捗への影響は軽微である。なので全然とんぼ返りでもいい。
とはいえせっかく遠征準備を整えてここまで来たのだから、勿体ない気持ちもある。それに、面倒くさいと言えば面倒くさい。
ちなみにスキル石らしきものも見つかった。
らしきという表現になったのは、既に割れてしまって効力がなくなった残骸だからである。もしかすると元から割れていたのかもしれない。断面に雨の跡や砂の跡があって、割れてから時間が経っていることが見て取れた。
「……勿体ないけど仕方ないよなあ。もうこれは骸骨に食わせるしかないな」
とりあえずスキル石の残骸をそばにいた一匹に与えつつ、俺は今回手に入れたものを整理し直していた。
十日間なにもせずほったらかしにしていた間の戦果としては充分以上である。
これに加えて、多数の魔石と、多数の薬草類の素材、多数の鉱石類の素材がある。内容としては質より量という感じで、魔石も小粒で純度が低かったり、薬草も鉱石も俗に言う低級素材の域を出なかったが、それでも一人で集められる量を遥かに超えていた。
正確とは言えないが、俺一人で三か月ぐらい遠征したとしても、こんなに魔石や素材を集めるのは不可能だろう。
今回の収穫にこの上ない満足を覚えていた俺は、そのせいで異変に気付くのに遅れてしまった。
「……え?」
ケンタウロス型スケルトンのうち一匹が、スキル石の残骸を食べた際に――俺の魂に新たな
―――――
■
魔力を帯びた道具のこと。
大抵の
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