第6話 従魔を合成して、どんどん強い従魔を手に入れるやつ
(従魔に出来る骸骨の数が頭打ちになったからには……。まあ順当に考えたら、一匹一匹の骸骨を強くするしかないよな)
骸骨たちにあれこれと色んなものを食わせながら、俺はそんなことをぼんやり考えていた。俺の《
どうでもいい発見だったが、骸骨たちはかなり雑食であった。
魔物の骨を食べる。肉を食べる。内臓を食べる。毒茸や毒草を食べる。屑魔石を食べる。
特に、魔物の死体は処分が面倒なので、食べてくれるのは非常にありがたかった。穴を掘って埋めたり、炎で焼いたりするのは結構馬鹿にならない労力がかかる。かといって死体をそのまま放置すると変な魔物を引き寄せたりする。ならば綺麗に平らげてもらった方がいい。
そんなわけで、腐りやすい内臓や血は全部骸骨たちの餌にした。彼らも内臓や血の方が喜んでくれている気がする。
(……知らないけど、多分少しは強くなってくれていると思うんだよな)
本当に少しだけだが。
何となく彼ら従魔たちの成長を感じる。魂を分け与えているからなのか、はたまた《死霊使い》というジョブクラスのおかげなのか、理由は分からないが、そんな感覚が伝わってきた。
ちゃんと言葉にするならば、彼らに分け与えている魂魄が成長している――という感じだろうか。
見た目は全然変わらない。
敏捷性もそれほど変わっているようには見えない。
もしかしたら気のせいかもしれないが――。
(気長に待てばいいんだよ、気長に。そんな一朝一夕で劇的に変わるもんじゃないさ)
劇的に変わったと言えば、一つ面白い発見があった。
骸骨一体と骸骨一体を合体させたら上手くいったのだ。
(知らなかったけど、魔物って合成できるんだ……)
目の前にいるのはケンタウロス型の骸骨。二体分の骨を分解して、もう一度組み立て直して作った魔物である。
腕は四本。頭は二個。普通の場所に頭一個と、胸部にもう一個頭を設置しておいた。
元はと言えば、度重なる戦闘でボロボロになった骸骨たちから、駄目になった部分を取り除き、味方同士で何とかやりくりできないかなと考えてやったことである。
それが、物の弾みで意外と簡単に合成できてしまった。
嬉しいことに、このケンタウロス型のスケルトンは、膂力はもちろん、俊敏さも通常のスケルトンよりも向上しており、戦闘でかなり活躍してくれた。
どういう原理かは知らない。
(知らなかったけど、ケンタウロス型の骸骨って、二体分の魂魄を使用するんだな。その分強いってことなんだろうな)
残念だが、二体分魂魄を使用するのは節約できなかった。
そこまで旨い話はないらしい。
あわよくば、こんな感じで骸骨たちを合成していき、配下を強くしながら、空いた枠で普通の骸骨たちを新たに配下に加えつつ……ということをしたかったのだが、そう簡単な話ではなかった。
今の俺の強さと配下の内訳は、ざっとこんな感じであった。
――――――――――――――――
■カンザキ・ネクロ
【探索者ランク】
F級探索者
【ジョブクラス】
《一般人Lv6》《死霊使いLv1》
【通常スキル】
「棍棒術3」「強靭な胃袋1」
○魂魄値上限(35):
- 人型スケルトン(1) × 33匹
- ケンタウロス型スケルトン(2) × 1匹
――――――――――――――――
魂魄値という表現が正しいのかは分からない。
ただ、《
この調子なら、三十五体分の骸骨を全部合体して一体にしてしまうこともできるかもしれない。
とはいえ魔物の合成は中々骨が折れるもので、魂の練り直しとでも言うのだろうか、言葉にし難い疲労感があった。簡単に言ってしまえば、命と命を混ぜ合わせるような、まるで神にでもなったかのような所業である。術者である俺に精神的な負担がかかってもおかしくはない。
配下の合成をするにしても、こちらも一日一回が限界だろう。無理をすれば一日二回とかできるのかも知れないが、無理してまでそんなことをやりたいとは思わなかった。そんなことをしたら、ぶっ倒れて寝込んでしまうかもしれない。
(どうしようかな。従魔って十体もいたら十分便利だよな。正直三十五匹も普通のスケルトンがいても、持て余し気味だったしな。ここいらでケンタウロス型スケルトンを思いっきり増やしてもいいかもしれない)
果たして弱いが集団の数を活かせる、普通のスケルトンの軍隊がいいのか。
あるいは、数は減るものの、強い個体のケンタウロス型スケルトンを増やした軍隊の方がいいのか。
どちらも一長一短で、考えても正解はないのだろうが――俺の考えは後者寄りである。
何故なら、ケンタウロス型スケルトンは、治癒能力も高くなっていたからである。
(普通のスケルトンだって、時間をかけたらどんな罅も治るのかもしれないけど、やっぱり回復までの時間が早い方がいいに決まってる。何と言っても、連続して戦ってもらうんだからな)
俺が配下に求めることは、長期間魔物を狩り続けることである。
しょうもない消耗でぼろぼろになってろくに戦えなくなった骸骨二体よりも、多少の消耗があってもタフに戦い続けてくれる骸骨一体の方がいい。
(それに、後々こいつらには武具とか防具を渡す予定だから、数が増えすぎてしまうと困るんだよな)
装備品を節約できるのも大きい。
例えば、三十五体分の武器を用意するのは大変高額な出費になるが、もしこれが半減すれば、費用削減効果は大きい。
治癒能力向上と、装備品の節約効果。
決め手になったのは、戦闘能力とかではなかった。
世の中、得てしてそういうものである。
(まあ、これでまたどんどん俺の配下が強くなるんだろうな)
相変わらず《
――――――
独り言:
魔物の合成ってワクワクしますよね!
モンスターファームとかペルソナとかそういうのに似た面白さがあるのかもしれません
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます