第5話 とうとう従魔の数が頭打ちになるも、今度は自作の魔道具をどんどん育てていくやつ
(あ、とうとう能力の頭打ちか)
三十六体目の骸骨を組み立てて動かそうとした途端、俺はあっさりと気が付いた。
今まで《
確かに、骸骨の数が三十匹を超えたあたりから、かなり精神力を持って行かれている感覚があった。頭がずきずきと痛む他、妙な虚脱感と、増幅された不安感があって、嫌な気分だった。
あまり子細には説明できないが、恐らくこの感覚から察するに、俺の《魂魄》を従魔たちに分け与えられる限界がこの辺なのだろう。俺の今の《
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■カンザキ・ネクロ
【探索者ランク】
F級探索者
【ジョブクラス】
《一般人Lv6》《死霊使いLv1》
【通常スキル】
「棍棒術3」「強靭な胃袋1」
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(まあでも、三十五匹も骸骨を使役できれば十分強いよな)
俺はテントのそばでぐつぐつと薬草類を煮込みながら、ぼんやりと考えていた。
三十五匹もいれば、大抵の魔物なんて囲んで討伐できる。まだやろうとは思っていないが、例えばクマの魔物などの大型の魔物を狙っても勝てるかも知れない。
やや大きめの鍋を攪拌する。
魔石で動く持ち運び式コンロ。
鍋とコンロは長期間の探索には欠かせないキャンプ道具である。刻印された【
今薬草を煮込んでいるのもその一つ。
薬草は干し草にして乾燥させて持って帰るだけではない。こうやって煮込んで成分を抽出して、瓶詰にしておくことでまた違った用途がある。
この中に【
そうすると、《
作るのに時間がかかるし、効果も所詮はおまじない程度なのだが、俺は結構この《
野外で熱を出した時、原因不明の腹痛に悩まされた時、思いっきり指の肉をえぐってしまったとき、魔物に噛まれてしまった時。
そういったときも、俺はこの《
(どうせ放っておいても骸骨たちが魔物を狩ってくれるんだ。それなら今のうちに、もう荷物が溢れかえってしまってて持ち帰りきれない薬草の素材を全部煮込んで、どんどん《
もうすでに背嚢は魔石でいっぱいである。骸骨たちに持たせている予備の背嚢も、ほとんど魔石で占められており、薬草を持って帰る余裕がない。薬草はどんどん《
それに、別に効果があるのは薬草だけではない。
痺れ毒や熱毒を引き起こす茸を煮込んで【
こちらも便利なもので、俺はいざという時はこの短刀を使って、強力な魔物たちと対峙してきた。突進する大猪なんかも、このナイフで仕留めたことがある。
毒で肉と素材をたちまち駄目にしてしまうという難点はあるものの、そこに目を瞑れば、《
(骸骨に持たせてもいいよな、これ。そうしたら強力な魔物相手でも、数で囲んであっさり仕留めることが出来るはず)
またもや新しい可能性に気付いたような気がした。
俺はただひたすらテントでのほほんと道具を作っているだけで、骸骨たちがどんどん魔物を狩ってくれる、という算段である。
薬草や毒茸などを採取する骸骨数匹と、他の骸骨は全部戦闘要員でいいだろう。
そうすれば、素材をどんどん集めながら、《
(そうやって過ごしてたら、いつの間にかきっと《
気長に待っていればいい、と俺は考えていた。果報は寝て待てと言うものだ。
他の探索者みたいに、変に生き急いで、危険な橋を渡るつもりはなかった。
――――――
独り言:
戦闘も素材集めも半自動化して、後は道具生成(精製?)を淡々とこなすだけです。
俺TUEEEとかチート無双とかも嫌いではないのですが、こういう、コツコツと地道に成長していくのを書くのが個人的に好きです。
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