第6話 掲示板回で不穏な《魔物暴走》とか出てくるやつ & 勘違いラブコメが始まるやつ
【俺たちの戦いは】ダンジョンハンター底辺スレ part22【これからだ!】
68:名無しのハンター ID:******
みなさん
今日俺は底辺を卒業します
《魂の位階》は底辺のままなんだけど、今日ターミナルの職員に合格しました
親いないからここに書かせてくれ
69:名無しのハンター ID:******
うーむ、隕石なんて本当に落ちたんかなあ
隕石って恐竜滅ぼすぐらい影響あるし、普通そんなエネルギー、ラプラスエンジンが検知してるはずなんだよな
ちっちゃい隕石だったら分からんけど
70:名無しのハンター ID:******
隕石っていうけど、ラプラスシステムじゃ予知できなかったん?
いくらこの惑星【BlueSphere】の外側からの干渉とは言ったって、旧時代から数えて人工衛星が2000機以上打ちあがっているわけだし、観測ぐらいはできると思うけどね
71:名無しのハンター ID:******
>>68
おめでとう!
運輸庁の鉄道管理局ターミナル、国土地理院の未解放区測量部フロンティア、国家公安委員会の内務公安局クリアランス、探索者支援機構のギルド、って言ったら超エリート組織だよね
やるじゃん
72:名無しのハンター ID:******
>>68
初任給で天然肉奢れよ
加工肉と食べ比べしたい
73:名無しのハンター ID:******
>>68
うおお、すっげえ
底辺スレ住民卒業おめっとさん
国のために頑張れよ
74:名無しのハンター ID:******
>>69
隕石がダンジョンコアだったんじゃね
>>19で新しく発見された迷宮ってあったけど、宇宙から来たダンジョンコアとかめっちゃテンション上がる
>>70
ラプラスシステムってただの神託機械が付いた加速チューリングマシン(いわゆるゼノン機械とか)だからね
神託機械が何回も神託を訊ねる可能性は否定されてないから、計算資源をたくさんつかって隕石検知が間に合わない可能性はあるよ
75:名無しのハンター ID:******
>>68
いいなあ、下手したらC級探索者とかよりお給料もらえるんでしょ
やっぱり珍しい【スキル】もってたとか?
頑張れよー
76:名無しのハンター ID:******
>>68 です
>>71
ありがとう!頑張る!
>>72
生肉ってすんげー臭いらしいぞ
>>73
ありがとう!
Domain:JPNのため頑張るわ!
>>75
珍しいスキルは持ってないwww
完全に運が良かっただけ、ラプラス検査で遺伝子適合って言われたわ
77:名無しのハンター ID:******
いいなあ
俺も狙ってみようかな、ターミナル職員
もしくはギルド職員もありやな
78:名無しのハンター ID:******
>>74
ダンジョンコアが隕石説は笑う
魔結晶化って位相ズレだろ? 【BlueSphere】外部でそんな現象観測されてないからありえなくね?
どうせ不発弾が爆発して異常検知しただけだろ、隕石もダンジョンも全部嘘
本当に新しいダンジョンだったら探索者ギルドから調査依頼でるはず
79:名無しのハンター ID:******
伽藍洞区って旧スラムじゃなかったっけ
なんか骨董品とか違法薬品とか違法武器とか一杯流通してたイメージある
あの辺探せば大儲けできないかな
80:名無しのハンター ID:******
>>69
恐竜滅んでなくね?
Pref:GUMMAとか今やばいことなってるぞ
81:名無しのハンター ID:******
>>68
ターミナルってよく分からなかったから今さら調べた
あれね、解放区から解放区へ、まだ魔物から奪還していない危険な未開拓領域を横断して物資を運ぶあの鋼鉄列車のところね
やばすぎじゃん
83:名無しのハンター ID:******
ちょっとまって、今揺れなかった?
84:名無しのハンター ID:******
うお
85:名無しのハンター ID:******
ダンジョン速報来てるじゃん
【Pref:OSAKA】で中規模の《
地下鉄ダンジョンに緊急招聘依頼がかかってる
◇◇◇
「わァ……ァッ……」
「泣いちゃった……」
半狂乱になった彼女をスケルトンたちで抑え込むと、程なくして彼女は泣き出してしまった。
一見全裸に見えた彼女だが、よくよく見ると迷宮探索武具の一つ、
探索者なんだから泣くな、とは言わない。服を着ることも許されず、骸骨に身動きを封じられたら、そりゃ泣くだろう。
すっかり目の光を失った彼女が「もうやだ死にたい」とか「あんたを殺して私も死ぬ」とか怖いことを囁いているが、そういう怖いのはやめてほしい。
「
メイノミヤ家? と頭に疑問符が浮かんだ。
もしや、旧公家とか旧財閥系のような華族だろうか。《魔物災害》以来、この国を牛耳っているとされる上流階級。だが自分の浅い知識では、そんな華族の家名の中に、彼女の口にした名前が入っているかどうか分からなかった。
「なんでこんな、ゾンビだらけの場所にわざわざ来ようと思っちゃったのよぉ……」
確かになぜだろう。普通は来ない。そりゃあ《死霊使い》の能力の検証のためですよ、なんて言うわけにもいかないので、客観的な動機を用意しておく必要があったが、そんなことにすぐ頭が回るはずもない。素っ裸の女のせいで気が散って仕方がない。
「というかなんでアンタも魔物を操れるのよ! どうしてよ! アンタも魔物を使役する能力を持っているわけ!?」
「! ……」
ふと思った。このまま黙っているだけでも、テンパっている彼女から、色々と重要な情報を聞き出せるんじゃないだろうか。
それにしても"魔物を使役"とは聞き捨てならない。まさかとは思うが、彼女も魔物を使役できる能力を持っているのだろうか。だがそれならば色々と説明はつく。
こんなゾンビだらけの場所にわざわざ住んでいる理由も、ゾンビたちに襲撃されない理由も、全て納得できる。あくまで予想だが、恐らく彼女はゾンビを操る能力を――。
「!? 分かった! まさか、アンタが例の、ちょっと名が知れるぐらいになってきた探索者を狙うという
「いや、違うけど」
「あっ、えっ、まさかアンタ、めめめんの
「それも違うけど」
「え、嘘、めめめんのこと好き過ぎて行動に移しちゃったってことだよね、え、やば、どうしよう、そういうの早いんですけど! 早いんですけど!?」
あわわわ、とか赤面して口をもにょもにょさせているが、こちらがあわわわである。明後日の方向に飛んじゃっている会話と、女の裸に注意を削がれて仕方がないが、背後が気になってたまらない。
正直ゾンビの襲撃が怖い。あくまで仮説ではあるが、もし本当に彼女がゾンビを操る能力者なのであれば、今の状況は全く油断できない。骸骨で陣形を囲んでいるが念には念をだ。
というか、めめめんなんて聞いたこともない単語だ。心当たりがないか記憶を探してみても、今ひとつピンとこない。果たして彼女は、新人狩りやストーカー行為を警戒しなくてはならない高貴な身分なのだろうか。
「お姫様か……?」
「おひ、ひ、ええっ」
「誘拐したくなるような……いや、違うな……多分もっと大事にしたい人……」
「ひえええっ」
すっかり茹で上がった顔の彼女をよそに、俺は黙々と観察を続けた。本当に高貴な身分、なのだろうか。今一つ自信を持てない。口をぱくぱくしてる。酸欠の金魚みたいだ。瞳は半泣きで、心なしか目を回しているようにも見える。それに息が荒い。冷静さを失っている。
取り敢えずゾンビを操られては困るので、対策を取らないといけない。
骸骨で抑え込んでる今のうちに、手足を拘束して自由を奪う。意外にも彼女からの抵抗はなかった。「あっ、あっ、あっ」みたいなよく分からない短い悲鳴はあったが、目が合うと、顔を真っ赤にしてしおしおと大人しくなっていた。次いで目隠しも行う。はーっ、はーっ、と彼女の息が更に荒くなる。何か怖い。
「……抵抗はしないで。痛い目には遭いたくないだろ? さっき見せた通り俺は死霊を操れる。つまり分かるな?」
「はーっ、はーっ……」
拷問をすると思っているのかもしれない。半分正解だが質問を行うだけだ。敵意がないとわかったら協力してほしいし、魔物を使役する能力持ち同士仲良くしたい。
「君のことが知りたい。できれば包み隠さずに教えてくれ」
「はーっ、はーっ……」
「乱暴なことはしないって約束する。俺からも色々教える」
「色々……」
何だかぼんやりしたような答えが返ってきたが、何を想像しているのだろうか。ちゃんと話が通じているだろうか。そんなに大したものは教えられないので、あまり期待されても困る。
「多分お互い、手探りで分からないこととかあると思うんだ。正直今でも力の加減とか、そういうのに不慣れなんだけど、色々教えて欲しい」
「あ、うう……めめめんも、不慣れで……」
「ちなみに俺は、ある日突然隕石が落ちてきて目覚めた。よく分からない声が聞こえたんだ。医者にも相談しようと思ったけど全然だめだった」
「あわわわ、すっごい強烈な人だぁ……!! めめめんなんかよりやばいよぉ……!!」
失礼なやつである。全部事実なのに。
確かにある日隕石が落ちてきて能力に目覚めた、なんてのは荒唐無稽な話である。下手くそなポエムみたいだ。言うなれば、君に出会った瞬間僕の心に隕石が落ちた、みたいな。
「そ、その……めめめんのこと……守ってくれますか……?」
「? 勿論守る」
「そうじゃなくて……一生……守ってくれますか……?」
(急に重いな……)
びっくりするぐらい重い。まるでプロポーズみたいだ。そんな話だったっけと頭が混乱する。
だが確かに、魔物を使役できるなんて能力を下手に口外したらとんでもないことになる。この秘密は墓まで持っていくことになるだろう。
「一生守る、どんなことがあっても絶対にだ」
「!!」
息を呑む声が聞こえた。時が止まったかのような感覚。急に世界が鮮やかになったような気がした。何故だろう。もしも彼女が目隠しの奥で目をきらきら輝かせてたとしたらどうしよう。
相好を崩して熱っぽい息を吐く少女を前に、俺は何だか噛み合わないものを感じてしまった。
何だかすごい勘違いがあるような気がする。
あれ、俺何かやってしまっただろうか?
――――――
こういう、恋に落ちる瞬間がクソデカ勘違いで始まってるやつ大好き()
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