第10話 修行

「そうは言っても他国に負けるのも嫌だし、優勝賞品もできればもらいたいな。」


僕は3人で修行することに決めた。


勇者と聖女と収納の中のパーソナル空間に一緒に入る。



次に、パーソナル空間を広げて競技場と同じフィールドを創り出した。



拡張に成功したことを確認してから、勇者に教えてもらった通りに魔力1のファイアーボールを無数に作り出す。


とりあえず魔力キャンセラーをつけて、的に当てられるようにならないと意味がないからな。


50mから100mくらい離れた場所にいくつか的を立てて、そこにめがけて投擲の練習を始める。


初めはなかなか当てられなかったが、朝から晩まで1ヶ月も投げ込んでいれば、結構な確率で当たるようになってきた。


筋トレや走り込みなどを続け、半年後には僕と勇者は動く的にもかなりの確率で当てられるようになってきた。


聖女もがんばってついて来てくれている。


タンパク質多めの食事と1日19時間にも及ぶトレーニングを1年間続けた僕らは、とうとう動く的にも98%の確率で当てられるようになった。


スノーボールの投げ込みも同時に行っていたので、僕対勇者聖女組で模擬戦を毎日くり返し、当て勘、避け勘なども鍛えていった。


一応練習終わりには毎晩、お疲れさんの意味も込めて2人のことを気持ち良くほぐしてあげた。


筋力アップしたおかげで、皆の締りが良くなったのは、付け加えておこう。



こうして1年間鍛え続けて自信をつけた僕らは、現世に戻った。



時計の針は、修行を開始した時と変わっていない。

時間停止の効果はさすがに便利だ。

僕たち3人は少し疲れたと言って、早めに寝かせてもらった。



次の日朝起きて、そういえば決勝の模擬戦のことを聞いてなかったので、勇者に聞いてみると、決勝にも魔力キャンセラーは使われるので、純粋に殴り合いになってしまうとのこと。


それを早く言ってよ。


再び収納の中のパーソナル空間に戻り、今までのハードな練習をこなしつつ、格闘技の練習を取り入れた。


格闘技は奥が深い。


試行錯誤しながら1年間鍛えまくり、1mの間合いで勇者の蹴りとパンチを聖女が見切りかわしながらカウンターを放てるようになったので、終了とした。


魔力キャンセラーは防護服も兼ねているので衝撃が数値化されて表示されるので便利だ。

1万ポイントダメージを受けるとノックアウト負けになるが、例年、魔力0ではなかなかそこまでにはならないのだが、先ほどの聖女のカウンターは3,800ポイントのダメージを勇者に与えていた。

聖女を怪物に育てたのは誰だ。

仲間で良かったと思いながら、現世に戻る。


成長した勇者は決して弱くはないのだが、明日の試合のために、早く寝ることにした。



「今日だけは、僕のことを好きにしていいからね。」


少しだけ落ち込んでいた勇者にそう言ってあげたら、涙を流して感謝された。

可愛い奴め。

勇者が興奮して元気になり、僕の中で果てたので、今度はお返しに僕の方から突き入れて、寝かしつけてあげた。


朝早く、聖女が起きぬけに僕のところに寄り添ってきた。昨日お預けを喰らったのが寂しかったのだろう。


簡単な手技で昇天させ、もう1度寝かしつけてあげた。少し満足そうな寝顔を見れたので良かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る