半分
双子だからか、私と妹の好きなものはよく被る。
好きな本やドラマ、ミュージカルにアーティスト。挙げていくときりがない。子どもの頃は絵本の取り合いになって、それぞれが強く引っ張った末、真っ二つに裂けたこともあった。
両親から何度も「仲良く半分こしなさい」と注意された。初めこそ私たちは反抗したけれど、歳を重ねるごとに、分け合った方が無駄な諍いが生まれないと学んだ。
食べ物や飲み物は半分にしやすい。カニと卵を贅沢に使った炒飯や、肉汁が溢れるハンバーグ。蜂蜜たっぷりのパンケーキに、ダージリンのミルクティー、一時期流行したタピオカドリンクも、平等に取り分けて味わった。
信じられない不味さの食べ物も、同じ苦しみを味わえとばかりに押しつけ合ったものだ。
片方だけが損をしないように、いつでも分けて共有出来るように。だから高校も大学も、就職先だって同じにしたし、旅行に出かけるときは必ずお互いに声をかけて、どんな思い出も分け合った。
就職して二年経った頃、たまたま休日に会ったのをきっかけに直属の上司と仲良くなった。恋も生まれて、このまま結婚まで進めると思えた。
しかし当然のごとく妹も彼を好きになった。それどころか、彼も妹に惹かれ始めた。そのくせ私を捨てられず、挙句の果てに「姉妹両方と付き合う」なんて言い出した。堂々たる浮気宣言である。
私も妹も許せなかった。喧嘩に発展しかけたものの、そこは〝半分こ〟に落ち着いた。長年の経験から、これが一番いい解決方法だと知っていた。
私は彼の左側、妹は右側。偏りが生まれないよう、真ん中で丁寧に切り分けた。
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