第3話


 ここは公園。わたしは今日、お日様がみえる場所に来ています。少し前まで、ずっと暗いところにいました。その時のわたしはしっとりしていましたが、今は乾いています。このちゃんがスコップで穴を掘ったので、私はここに来ました。このちゃんは、まわりの子に自分のものを貸してあげます。りくくんが転んで泣いたときは、一緒に涙を流していました。少し悲しいようなメロディを口ずさむので、わたしはこのちゃんが来るとすぐわかります。歌はなく、ハミングです。私はこのちゃんが好きです。

私はどこに移動しても、周りの仲間とよくお話します。次々出会う初めての仲間とのお話は、とても楽しいです。今日は、多分すごく遠い場所からやって来た仲間とお話しています。聞いたことのない場所で、青と白とお日様が輝いていたそうです。わたしも行ってみたくなり、空を見上げます。お日様は高いところにあります。

 次の日、わたしは出発しました。あおくんのバケツの底にくっついて、あおくんのおうちへ行きました。玄関にいるわたしには、あおくんとあおくんの家族の声が聞こえました。誰かが言った沖縄、という言葉にあおくんとわたしは同時に驚きました。正確に言うと、あおくんは沖縄と聞いた途端に大きな声を出したので、驚いたのだろうな、と思いました。わたしは青と白とお日様の輝く場所の名前と結びついたので、驚きました。

その次の日には、青と白が輝く場所にわたしを入れたバケツがありました。バケツはひっくり返され、わたしは真っ白のなかのグレーの一粒になりました。まわりと違うのは、なんてワクワクするのでしょう。

わたしは随分長く、お日様が見えたり見えなかったりを繰り返しながら真っ白の中で過ごしました。そんなある日、まわりの真っ白な仲間とスコップですくわれ、小さな瓶に入りました。

瓶はどこかに運ばれ、棚に飾られました。真っ白な部屋です。この部屋にいる人は、ほとんどの時間をベッドで横になって過ごしているようでした。誰かが部屋に入ってきて話しかけても、ベッドの人は何も答えません。とても静かな毎日でした。公園でのこと、青と白の輝く場所のことが思い出されました。窓から見える雲や鳥、雨が

とても遠くに思えました。

窓の外に曇った空が見える日、メロディに気付きました。ずっと昔に聞いたことがある気がします。


 さて、わたしはだれでしょう。

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