第2話 アラサー女子、夜はドロボー
携帯電話で110番することは……できない。
町工場に空き巣に入って襲われました、なんて警察に言えるはずもない。
アミ。アラサー女子。独身。
日中は、ある会社の総務グループ契約社員。これは表の顔。
裏の顔は……ドロボー。
ドロボーといっても、漫画やテレビドラマにあるような、大金持ちの家から大粒のダイヤモンドを盗み出すような華麗なものではない。
深夜、誰もいないオフィスや町工場に忍び込んで、金目の物をあさる、ケチな空き巣だ。
ドロボーとしての信条は、ただ一つ。
【絶対に人を傷つけない】こと。
アミには人には言えない性癖があった。物を盗むことに、異様な高揚感と達成感を覚えるのだ。
きっかけは、小学校低学年の時、近くのコンビニで駄菓子の「まずい棒」を万引きしたことだ。それ以来、万引きが止められなくなった。幸か不幸か、一度もバレたことがない。
就職し、一人暮らしを始めてからは、コンビニでの万引きでは満足できず、深夜、無人となったオフィスや町工場の事務所を狙うようになった。
大きな会社や工場では、セキュリティー・システムが完備していて危険だ。警備員が常駐している場所も同様。
今回狙った町工場は個人経営で、日中行った下見では、警備システムも警備員の常駐もないはずだった。
《続く》
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます