第13話 三漂群
第13話 三漂群 Part1(ゲーム)
「これでお前の場は崩れ、もう手札のカードを残してドローを行うこともできない。
「ここまでだと?
これでもかよ?
特殊カード【
次のドローで、任意の手札を戻す必要がなくなる!」
【
特殊カード/維持系
発動条件:相手ターン中。
効果:次の自分ターンのドローフェイズにおけるドローで、任意の手札を戻さなくてもよい。
「あいつ、まだあんなカード持ってやがったのか!」
手札
類清:4枚
青充:5枚
TURN10
(
「俺のターン!」
手札2枚を残し、3枚をドローする。
「(ちっ、まだか…。
だが諦めてたまるかよ!)
【
このゲーム中に、固有ターン1、3、5のモンスターが1体ずつ召喚されている場合、2枚をドローできる」
【
特殊カード/駆動系
発動条件:このゲーム中に、以下の固有ターンのモンスターがそれぞれ1体以上召喚されている場合に発動可能。
(どのプレイヤーが召喚しているかは問わない)
・固有ターン1または2
・固有ターン3または4
・固有ターン5以上
効果:2枚ドローする。
「(勝つのは…)」
カードを引く
皆の鼓動が速くなる。
「(俺だ…)」
ドローカードを確認する。
「遂に…遂に来た!」
「!?」
「まずは1枚目!
【呼び起こす結界
「"
まさか! 奴は5枚の結界カードを!」
「さすがアブゼリード!
察しがいいな。
そう。
残る4枚の結界は手札にあっても発動することができない。
【呼び起こす結界
さらにこのカードがある限り、全ての結界系カードは効果で破壊されない!」
【呼び起こす結界
特殊カード/残存型/結界系
発動条件:手札にこのカードを含む5種類の結界系カードがある場合にカードの発動が可能。
効果:このカードがある限り、結界系カードは効果で破壊されない。
「全ての結界系カードということは、あのカード自身も効果では破壊されない…」
「これから発動する結界系カードは、確実に場に留まるということか…」
「そして2枚目!
【呼び覚ます結界
リードデッキから結界系カード1枚を召喚する!」
【呼び覚ます結界
特殊カード/残存型/結界系
発動条件:【呼び起こす結界
効果:このカードの発動時に、次の効果を発動する。
リードデッキから、結界系カード1枚を召喚する。
白い結界が場に広がり、地面から何かが飛び出してきた。
「暴れろ!
【
【
モンスターカード(リード)/中距離部類/固有ターン5/結界系
召喚条件:結界系カードの効果により、リードデッキから召喚可能。
中距離攻撃力2000
中距離効果:???
(結界の力により呼び覚まされるイルカ。
口から吐かれるリング状の水で、あらゆる物体を切断する)
巨大なイルカが現れる。
飛び出た勢いで、水しぶきがあがった。
「攻撃力2000!」
「こいつは並のモンスターとは違う。
こいつこそ、三つに別れた俺の力の一つなんだからな!」
「三つに別れた…」
「
「はるか昔、まだ子どもだった頃、俺には他のモンスターを取り込む能力があった」
「他のモンスターを取り込む能力?」
「強さを求め他のモンスターを取り込んだ俺は、ある男に敗れ封印された。
気がついた時、俺は厳重に封印され身動きがとれなかった。
人間に恨みを募らせること、そこから脱出する方法を考えること。
その二つをひたすら繰り返した…。
そしてある結論にたどり着いた。
俺は元々、複数のカードが統合した一枚のカード。
それならば逆に、複数枚のカードに分けることができるんじゃないかってな」
「まさかお前は、自力で?」
「ああ。
そして俺は三枚のカードに別れ、それらを"
前の時代の人間は、俺が再び暴走することのないよう、それはそれは慎重に、丁寧に俺を管理していたみたいだが、それはあくまでカード一枚に対してのみ。
俺の意思で複数に別れるなんて考えもしなかっただろうな。
【
「それが
「その通り。
前の戦いで深い傷を負っていた俺は、かつての能力を失い、三漂群は通常のモンスターのように意思を持たずで散々だったが、俺の分身であることに変わりはない。
お前らをボコボコにできないまでも、
三漂群の力は強大だ。
負荷を与えるための十分な力もあった。
お前らも随分と手を焼いただろう?」
「!?」
何かに気づく青充。
【
「まさか、このカード達が?」
「そう。
そのカードが三漂群だ!」
「知らないうちに俺達は、お前と間接的に戦っていたのか」
「革霧青充、お前を倒してその2枚は返してもらう!」
「お前、このカードを回収するために、王を倒した時カードを回収させたのか!」
「気づくの
続けて3枚目!
【召喚を縛る結界
黄色の結界が広がる。
「この結界がある限り、お前らは、俺の場のモンスターの固有ターン以下の数値の固有ターンを持つモンスターを召喚できない!」
【召喚を縛る結界
特殊カード/残存型/結界系
発動条件:【呼び起こす結界
効果:相手は、このカードを従えるプレイヤーの場のモンスターの持つ固有ターン以下のモンスターを召喚できない。
「奴のモンスターの固有ターンは5…」
「ってことは…」
「類清と青充は、実質全てのモンスターの召喚を封じられたということか!」
「【
俺はこのターン、攻撃はしない。
だがな!
それで安心だと思ったら間違いだぞ!
4枚目、【
赤い結界が広がる。
「この結界がある限り、自分ターンに1度この効果を発動できる。
全てのプレイヤーは自身の場のカードを1枚選び、他のカードを全て墓地に送らなければならない!」
【
特殊カード/残存型/結界系
発動条件:【呼び起こす結界
効果:自分ターンに1度、発動可能。
全てのプレイヤーは自身の場のカードを1枚選び、それ以外のカードを全て墓地に送る。
「なっ!?」
「(俺や類清のデッキには、場に留まることで効果を発揮するカードも多い。
この効果は、明らかに俺達にとって不利だ!)」
「でも、お前のカードも選んだ1枚以外は全部墓地に置かれんだよな?
これは破壊じゃないから【呼び起こす結界
「アホの類清にしちゃあ、なかなか良い所に気がついたな!」
「何だと!」
「心配は要らねぇよ!
そのための結界も当然用意してある。
これが最後の結界!
【結界を
黒い結界が広がる。
「こいつは、結界系カードを俺のカード効果の影響から守るカード。
この結界がある限り、俺のカードが巻き込まれることはない!」
【結界を
特殊カード/残存型/結界系
発動条件:【呼び起こす結界
効果:結界系カードは、自分のカードの効果の影響を無視できる。
「何だと!?
そんなのありかよ!?」
「長い時間をかけてやっと発動できたんだ。
これぐらいさせてくれなきゃ割に合わねぇって!」
「くっ…」
「さぁ、【
発動しろ!」
赤い結界が光ると、場に強い衝撃が起こった。
「うっ…」
「俺は【
お前達も選べ!」
「俺は…」
類清がカードを選ぶ。
「俺は…」
青充もカードを選択する。
大きな渦が場を飲み込んだ。
周囲が全く見えない。
やがて落ち着くと、
「やっぱり、そいつらか」
類清と青充の場には【
「類清。
君が私をそこまで思ってくれていたとは、感無量だ」
「そんなんじゃねぇよ。
お前は俺のデッキのキーなんだ。
お前がいなきゃ、どうにもならねぇだろ?」
「とか何とか言いながら、本当は私無しで戦うのは心細かったのではないか?」
「言ってろ!」
「(人間とモンスターが仲良さそうにしやがって。
心底気に入らねぇ!)
ターン終了だ!」
類清を包んでいた【
「さてと、どうすりゃいいんだかな?」
「案の定、ノープランか」
「せっかくこうやって、久しぶりに青充と五仕旗ができると思ってちょっと嬉しかったんだけど」
「能天気な奴だ。
俺はこのゲーム、仕事の一環としか思っていないがな」
「そんな悲しいこと言うなよ。
相変わらず真面目だな、お前は。
昔はもう少し…
あっ!」
類清が何かを閃く。
「そうだ! 青充?
あれってさ、まだデッキに入れてる?」
「あれ?…」
青充は一瞬、何のことか分からなかったが、しばらく考えて微笑んだ。
「ああ。気が変わらなかったんでな」
「良かった。
それならあとは、あのカードを引けるかどうか…」
手札
類清:4枚
青充:5枚
TURN11
(類清のターン)
「俺のターン!」
ドローカードを見る類清。
「よしっ!
俺は【
自分モンスター1体を
【
特殊カード/昇級系
発動条件:
効果:自分モンスターを
「【
「青充の場の【
アブゼリード!」
「了解!」
【アブゼリード】が粒子になり、【
「【
水色になった
【
召喚条件: 【
中距離攻撃力2000
中距離効果:???
(龍のような
氷の翼を広げ、冷気で敵を凍りつかせる)
「召喚時、効果発動!
【
張り巡らされた結界は次々に色を失っていく。
イルカも凍りついた。
「何だ、これは!?」
青充が説明する。
「【
お前の全てのカードは効果が無効になった!」
「くっ!」
類清がターンを続ける。
「これでもうお前は、俺達の場のカードを一掃する効果を使えない。
さらに俺は【オアマリン・マテリシャル】を召喚」
【オアマリン・マテリシャル】
モンスターカード/中距離部類/固有ターン3/素材系
中距離攻撃力1000
中距離効果:自分の場のこのモンスターの性質が被加工系になった場合に発動する。
このモンスターカードを以下の特殊カードとして自分の場に発動する。
<【
特殊カード/残存型/装飾系
効果:このカードの発動時に、次の効果を発動する。
場のモンスター1体を指定する。
このカードが場にある限り、そのモンスターはカードに記載されている攻撃部類を失い、追加で中距離部類を得る。
また、指定したモンスターが戦闘する場合に発動可能。
戦闘中のみ、相手モンスターの攻撃力を1000下げる。>
(見た目は龍に近い、青色の悪魔。
尾は鉱石でできていて、それを素材にした鎖で敵を拘束する)
「ターン終了」
手札
類清:3枚
青充:5枚
TURN12
(青充のターン)
「俺のターン。
【
効果が無効になっている相手の場のカードの枚数まで、自分のカードの性質を変更する。
俺は【オアマリン・マテリシャル】の性質を素材系から被加工系にする!」
【
召喚条件: 【
中距離攻撃力2000
中距離効果:召喚時、発動可能。
自分の場のカードと相手の場のカードの差分、相手の場のカードを選んで効果を無効にする。
自分の場のカードが1枚だけの場合、相手の場のカード全ての効果を無効にしてもよい。
(このカードが場を離れても効果は続く)
自分ターンに1度、発動可能。
相手の場の効果が無効になっているカードの枚数まで自分のカードを選び、それぞれのカードに対して性質を指定する。
選んだカードの性質を指定した性質に変化させる。
(龍のような
氷の翼を広げ、冷気で敵を凍りつかせる)
「【オアマリン・マテリシャル】が被加工系になったことで効果を発動し、【
鎖が尾に巻き付く。
「バトル!」
【
vs
【
「【
指定したモンスターが戦闘する場合、相手の攻撃力を1000下げる!」
鎖がイルカに巻きつき縛る。
【
vs
【
「
氷の羽が放たれ、イルカに刺さる。
「うわっ!」
「勝った…」
「俺達の勝ちだ」
「ああ…。
?」
「どうした青充?」
青充の様子に疑問を抱く類清。
「ゲームが終わらない」
「え?」
「【
奴のカードも…」
「どうなってんだよ…」
「終わらないんじゃねぇ…
終わってないんだ!」
「!?」
「何で…」
「さぁ、何でかな?」
「…!」
青充が気づく。
「三漂群か!」
「その通り!」
「え…あのイルカか?」
「あいつだけ、まだ効果を発揮していない」
「でも、あいつの効果は俺達が無効にしたじゃねぇか!」
「そんなもんよりずっと前に効果を使ってんだよ!
【
【
モンスターカード(リード)/中距離部類/固有ターン5/結界系
召喚条件:結界系カードの効果により、リードデッキから召喚可能。
中距離攻撃力2000
中距離効果:このモンスターを召喚したプレイヤーの敗北値は、ゲーム開始時の敗北値×このゲームの参加プレイヤー人数になる。
(この効果は、このモンスターの効果が無効になっても適用され続け、このカードが場を離れても続く)
(結界の力により呼び覚まされるイルカ。
口から吐かれるリング状の水で、あらゆる物体を切断する)
「通常、ゲーム開始時点の敗北値は3000。
それが参加しているプレイヤーの人数だけ増えるということは…」
「3000×3人で、9000…
って! あいつの敗北値、今9000なのか!?
それじゃあ、あいつに勝つには…」
「累積ダメージを9000以上にしなければならないというのか!」
「正解!
残念だったな! せっかく頑張ったのに!」
「(奴が2対1の勝負に応じたのは、この効果を最大限活かすためか…)」
「さぁ、お前のターンだが、まだ何かあるか?」
「ターン終了だ…」
手札
類清:3枚
青充:5枚
TURN13
(
「俺のターン!
俺の累積ダメージが3000以上の場合、このモンスターは召喚できる。
見せてやるよ。
この時代での、俺の真の姿を!
【
ローブを纏った
かつては三つだったであろう目は、一つが潰れ、こちらを青と黒の目が見ていた。
「これが
「俺の
「
「召喚時及び互いのターンの開始時に攻撃部類1つを指定することで、その攻撃部類のモンスターは攻撃と効果を封じられる!」
【
モンスターカード(リード)/
召喚条件:自分の累積ダメージが3000以上の場合、リードデッキから召喚可能。
自分は攻撃部類を1つ指定する。
このカードが場にある限り、指定した攻撃部類のモンスターは攻撃できず、効果は無効になる。
(この効果は累積する)
(一度は封印されたが、執念で復活した龍の姿。
様々な色の沼を作り、モンスターの動きを止める)
「何だと!?」
「俺は魔法部類を指定!」
場に黒い沼が広がる。
「この沼の上に召喚された魔法部類のモンスターは身動きがとれなくなるぞ!」
「くっ…」
「バトル!
この俺で、【
【
vs
【
「
「青充!」
「類清、後は…」
青充の累積ダメージ:4600(2100+2500)
青充は吹き飛ばされ気を失った。
「三漂群は返してもらうぞ!」
2枚のカードが青充から
「まずい!」
「これで遂に…」
「類清!」
その声に類清は振り返る。
声の主は風潤だった。
「お前、無事か?」
「大丈夫、勝ったよ…」
倒れている青充に気づく。
「青充君!」
「青充はあいつにやられて…」
「俺がかつて持っていた能力は失われたが、同時に、三漂群の中には新たな能力を発現したものもあった。
今こそそれを見せてやる!」
「さぁ、
出番だ!」
それぞれの国の
「あっちこっちから…
これもしかして、今まで俺たちが戦ってきた国から!?」
「ああ。
お前らとの戦いで、十分なエネルギーが集まった。
【
【
エントランスの
その時、風潤が持っていた【
「!?」
白と黒の光の柱が類清、青充、風潤の三人を守るように広がっていく。
その範囲はさらに大きくなっていく。
**********
<社>
守り神が異変に気づく。
「(あのカード、どこまで君達を助けてくれるか。
死者である私の力は、奴に対して有効なはずだ。
しかし、あのカードはモンスター達に残酷な決断をさせることになるかもしれない…。
健闘を祈る…)」
**********
【
「これは…」
その時、スピーカーから声がした。
「聞こえるか!」
風潤が応答する。
「えっ…
はい!」
「こちらは
君は?」
「
今、
「なっ!?
遂にそこまで…」
「でも、どうして急に外部との連絡が…」
「俺だよ!」
「今この様子は、世界中に流れている!」
「はっ!? 何でそんなことする必要があるんだよ!」
「お前ら人間を苦しめるために決まってんだろ!」
「どういうことだ!」
「おい、人間ども!
お前ら本当にモンスターと仲が良いよな?
今どんな気持ちだ?」
「モンスターと?
…!?
嘘でしょ?」
風潤は嫌な予感がした。
「お前が考えてる通りだよ。
今集まってきてるこれは、全部、世界中のモンスター達だ!」
「!?」
続く…
**********
類清。みんな。
君達が無事なら、きっとまた…。
そのためなら私は…
次回 さよなら
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