第10話 闘争組換

第10話 闘争組換 Part1

PARSKR IIパースクル・ツーのゲート前>


数ヶ月前。


風潤はPARSKR IIパースクル・ツーのゲート前にいた。

守り神に勝利した後、ここに駆けつけるとすっかり日は沈んでいた。


「(遅刻しちゃったな…)」


Centralセントラルの職員や報道陣が見受けられたが、昼間ほど人は多くない。

参加者達は既に入場し、それから特に進展がないので、引き返した者もいるような状況だった。


門のギリギリのところまで行くと、Centralセントラルの職員が話しかけてきた。

何も起こらないことに退屈した周囲は、待っていましたとばかりにこちらを見ている。


「君、どうした?」


「今からでも入れますか?」


「いや、時間は過ぎている。

危険だから、ここから…」


「何? どうかしたか?」


テレビで聞いたのと同じ声がスピーカーから聞こえた。

あのモンスターだ。


「入場する意思のある奴は止めるなって言ったよな?

何帰そうとしてんだよ。

あんまり余計なことすると…」


「いや、これは…」


職員は言い訳しようと慌てだした。

風潤は構わず話を続ける。


「まだ中って入れます?」


「一応入場時間は過ぎてるからな。

ダメってわけじゃないけど、中にいる奴らが大したことない奴らで、話にならないようならその時また募集しようと思ってるから、その時また来てくれない?」


うちのベッドの寝心地はどうだった?」


「あ?…」


しばらくして、風潤の言った意味が分かったようだ。


「お前、まさか…」


この様子はカメラで撮られているだろうから、話を進めれば自分の存在が公になってしまうだろう。

だが、後はどうにでもなれだ。


「果地風潤。

私のこと知らなくても、私のこと嫌いでしょ?

どう、これで?」


「果地…」


しばらく考えていたようだったが、再び声がした。


「いいよ。入れよ」


ゲートが恨みの音とともに開いた。

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