第6話 飛翔の照蜴
第6話 飛翔の照蜴 Part1
その青年は職場でそう呼ばれていた。
平和を守るために
悪さをするモンスターを許さない。
モンスターを使い、悪さをする人間も許さない。
だが、戦いは外だけで起きているわけではなかった。
中では中で、くだらない争いが起こっている。
彼はその若さにしては異例の役職に就いていた。
その優秀さを尊敬し、慕う者もいたが、出世を狙い媚びる者もいた。
心にもないことを言い、他人を蹴落とそうとする。
そのような者に対して、彼は嫌悪感を抱いていた。
そいつらに比べれば、暴れ回るモンスターなどかわいい。
3ヶ月前、
「お前らも知ってるとは思うが、この前、街が襲われた事件があったろ?
あれ、俺だよ。
いつの間にか技術も発達して、ここまで完全に攻撃を防げるようになるなんて
でも、この前は俺の力のほんの一部を見せただけ。
残念ながら、今の俺は前の時代の奴に負わされた傷のせいで、力が弱まっている。
俺の力が元に戻れば、こんなもんじゃねえ!
もっとデカい被害が出るかもな。
だからそれまでの間、退屈しのぎにみんなでゲームでもしようぜ。
ルールは五仕旗でこの俺を倒すことだ。
俺は
お前らにはまず、パーク内の四つの国の王を倒してもらう。
王はどいつも強敵を用意しておいてやったからよ。
必死になって探し出せ。
道中の敵はシミュレーション用のコンピューターに務めてもらうぞ。
それとパーク内は歩いて進んでもらう。
空を飛べるモンスターで簡単に移動されたんじゃつまんねぇからな。
そして、全ての国を制覇した時残っていた奴だけに、俺に挑戦する権利を与える。
一度でも負けた奴は黙って出ていってもらうから、覚悟しろよ。
それと、このゲームに参加したい奴を止めるのも禁止な。
基本的には誰でもウェルカムだから、俺は。
指定した時間にここに集まった奴は誰でも入れてやるからよ。
とにかく腕に覚えのある奴はここに集まれってことだ!
俺が最高のもてなしをしてやるからよ!」
外部からはパーク内へ連絡や攻撃ができないようにされていた。
内部の様子も確認することもできない。
食料が少なくなった時、必要な分だけ補充することが許された程度だった。
これは用意周到に作り上げられたゲーム。
当然彼もそれに参加した。
参加者の中には、腕試し感覚の者や
それが彼の仕事だからだ。
他の者にとっても同じはずだ。
それにもかかわらず、"副部長自ら。頭が下がります"、"さすが同期の鑑"などと言われると腹が立つ。
**********
<芸術の国>
あのモンスターの好きにさせれば、世界中が混乱する。
そのためにも、今は目の前の王を倒さなければならない。
革霧は初期手札を揃えた。
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