第5話 太陽点一夜苺靴… Part2

カラムローはその場に倒れる。


「やったな」


「うん」


その時、機械のような声が聞こえた。


「こちらのカードをお持ちください。

最終ステージにて、必要なカードです」


一枚のカードが類清と風潤の足下に来る。

そのカードは、【指南しなんおう 不獲殼数フエガラス】だった。


「これ、貰っちゃっていいのか」


「いいみたいだね」


類清はそれを手に取ると、デッキケースの中の予備のカードの収納場所に入れた。


「これで森林の国の王も倒したし、残る国はあと2つか。

風潤、久しぶりに会ったばっかで悪いんだけど、今日はもう休んでいいかな?

疲れた」


「うん。私も。

また明日話そう。

すぐ近くに泊まれる場所があるから」


「何だ。近くにあったのか。

そこに寄って準備してから、ここに来るのが正解だったな」


「準備も何も、君の言う準備は寝るか食べるかのどちらかしかないだろう」


「デッキの調整とかあるだろ!」


**********


次の日。


食事をとりながら、類清と風潤はこれまでの経緯を話した。


「ここに来て3ヶ月。

結構、人も減ったよな。

これだけ広い敷地内にほとんど人が居ないってのも、考えてみれば怖いっつうか」


「うん。でも類清が元気そうで良かったよ。

見つけた時びっくりしたんだから」


「俺もだよ。

それにお前もCentralセントラルの職員だったなんてな」


「ホント、偶然だよね。

類清すごいね。

鉱山の国の王も倒しちゃうなんて。

鉱山の国の王が敗れたって言うのは聞いてたけど、それをやったのが類清だったなんて」


「まぁ、俺の腕をもってすれば、大したことではない」


「私の、いや、私達モンスターの腕でもあるがな」


「はいはい。いつもお世話になってます」


「他の国はどうなってるんだろう?

3ヶ月経って、誰も勝ってないとなると、たくさんの人が負けてここを追い出されてるのかな?」


「どうかな。

王のところへたどり着くのも一苦労だったから、道に迷ってるだけかもしれねぇぞ。

Sortソート:Asエーの奴らも、こういう時のためにいるんだから、もっと頑張ってほしいよな」


「そこまで言うなら、ここから出た時、君がSortソート:Asエーに入ればいい」


「嫌だよ!

俺はこの仕事続けたいんだから!」


束の間の休息は続く。


**********


<芸術の国>


Centralセントラル Sortソート:Asエー所属のその男は、古びたアトリエに足を踏み入れていた。


「王といえば、豪勢な建造物の中で寝そべっているイメージがあったが、どうやら偏見だったようだな」


その言葉は、王の印象からはかけ離れた容姿の男に向かった。


「よく来たな。

私はパース


「お前の名に関心はない。

分かっているな?

俺の相手をしてもらおう」


「ここは狭い。

表に出ろ。

そこで相手をしてやる」


外に出る両者。


起動聳スターターカク、オン」


システムが起動する。


「五仕旗…」


Media=II Generationメディア・ジェネレーション!」


続く…


**********


「なぁ、アブゼリード。

お前が唱えてた"太陽点一夜苺靴サン・ドット・ワンナイト・ストロベリー・シューズ"って何?」


「あれか。

あれは円周率だ」


「円周率?」


「円周率は3.141592…

太陽サンは3、ドットは小数点、一夜ワンナイトは14、ストロベリーは15、シューズは92」


「へぇ~、意味あったんだ。

ところでさ」


「ん?」


「何で円周率を選んだ!」


次回 飛翔ひしょう照蜴しょうき

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