第5話 太陽点一夜苺靴…

第5話 太陽点一夜苺靴… Part1(ゲーム)

類清は昔馴染みの風潤とともに、森林の国の王と戦うことになった。

2対2のチーム戦。

風潤は守備にまわり、迎撃で勝利に近づこうとする。

しかし、カラムローのコンビネーションの前に、その戦術が裏目に出てしまうのだった。


二人が言うことはもっともなことだ。

悔しいが何も言い返せない。


「(確かに、類清からしたら私は迷惑なのかも…。

何年も会ってなかったのに、突然現れて、足引っ張っちゃうなんて…)」


風潤は恐る恐る類清の方を見た。


「ねぇ、類清。

私ってさ…」


「そんなことねぇよ」


自分の心を見透かされているような気がして動揺した。


「あいつらの言うことなんて気にする必要ないよ。

風潤が来てくれなかったら、俺一人であいつらを相手しなきゃいけなかったんだから、それだけでも助かってるって」


類清はカラムローの方を見る。


「お前らは風潤の動揺を誘ってる。

そうだよな?」


黙っている二人。


アブゼリードも話し始める。


「類清の言う通りだ。

類清一人であの二人を倒せるわけないだろう。

第一、彼がダメージを受けたのも結果論だ。

たまたま相手が君の戦術を上回ってきただけのこと」


「ちょっと、待て。

俺だけじゃ、あいつら二人を倒せないってどういうことだよ!」


「言葉の通りだ。

君一人では心許ない」


「こいつ!」


その様子を見て、風潤は笑ってしまった。


「あの頃から全然変わってないね、二人とも」


「そうか?」


「私は芯がぶれないが、君は成長が感じられないと言われているんだ」


「そんな風には言ってねぇだろ!」


風潤は調子を取り戻した。


「ありがとう。二人とも」


「大丈夫。

久々に会ったんだ。息が合う方がすごいってもんさ」


「引き続き頼んだぞ、風潤」


「うん」


「待たせて悪かったな。

俺はこれでターン終了だ」


手札

類清:3枚

風潤:2枚

カラム:4枚

ロー:3枚


TURN7

(ローのターン)


「私のターン」


カラムローが考える。


「(奴らにも、チームワークが少なからずあったようだな。

流導類清。

【コンバットフォート】の効果に即座に対応し、戦意喪失寸前だった果地風潤を立て直したあたり、奴は侮れない)」


「(しかし、個人の力だけで勝てるほど甘くはない。

チーム戦においては、優秀な人間がチームに身を置いていることよりも…)」


「(足手まといが存在していないことの方が重要なのだ!)」


「(なぜなら、チーム戦では各プレイヤーが累積ダメージをカウントし、一人でも敗北値に達した時点でそのチームの敗北が決まる)」


「(つまり、弱いプレイヤーを攻めれば、手強いプレイヤーを敵とせずとも、チームに勝利をもたらすことができる)」


「(このゲームの場合、狙うべきは間違いなく果地風潤!)」


「(現状、果地風潤の場にモンスターはいない。

こちらが攻撃を仕掛けられるのは、流導類清に対してのみ)」


カラムローをちらりと見る。


「(大丈夫だカラム

そのための策は用意してある)」


ローが手札1枚を手に取る。


「私は【ちょうしょう ウマ】を召喚する」


ちょうしょう ウマ

モンスターカード/思念部類/固有ターン3/指揮系

思念攻撃力1100

思念効果:相手の場にモンスターがいない場合、自分ターンに1度、発動可能。

相手の場に【架空先兵イマジナリー・モンスター】を召喚する。

(トリッキーな動きで敵を翻弄する戦士。

刺客を送り込む様々な方法を会得している)


「【ちょうしょう】の思念効果発動」


ちょうしょう】が何かを唱えると、風潤の場に【ちょうしょう】と同じ姿のモンスターが現れた。


「これは…」


「【ちょうしょう】は相手の場に【架空先兵イマジナリー・モンスター】を召喚することができるのだ!

バトル!」


ちょうしょう ウマ】思念攻撃力1100

     vs

架空先兵イマジナリー・モンスター】架空攻撃力0


「こんなの対処の仕様がねぇだろ!」


架空先兵イマジナリー・モンスター】が破壊される。


「くっ…」


風潤の累積ダメージ:2700(1600+1100)


「次にまた【架空先兵イマジナリー・モンスター】を召喚されたら、風潤の負けだ!」


「(くそっ!

俺の累積ダメージはまだ【アブゼリード】を召喚できる数値に達してはいない。

それなのに風潤ばっか傷つけられていって…。

どうすりゃいいんだ!)」


「ターン終了」


手札

類清:3枚

風潤:2枚

カラム:4枚

ロー:4枚


TURN8

(風潤のターン)


「私のターン。

もう一度、【ラピッド・コンバットベーシック-αアルファ】を召喚する」


【ラピッド・コンバットベーシック-αアルファ】(2体目)

モンスターカード/打撃部類/固有ターン1/采配系

打撃攻撃力500

打撃効果:自分・相手ターンに1度、発動可能。

このモンスターの固有ターンを、1~9の内、任意の数値にする。

(剣と盾を携えた白と黒の戦士。

目立った技は使えないが、基本的な戦い方はマスターしている)


「さらに効果を使って、固有ターンを9に変更」


【ラピッド・コンバットベーシック-αアルファ】固有ターン9


「さらに、【装甲手加アーマドリョーシカ】。

自分の累積ダメージが相手以上の時…」


風潤の累積ダメージ:2700

ローの累積ダメージ:0


「自分モンスターを基礎ベースとして、リードデッキから昇級レベルカードを召喚する」


装甲手加アーマドリョーシカ

特殊カード/采配系

発動条件:自分の累積ダメージの数値が相手の累積ダメージの数値以上の場合、発動可能。

効果:自分のリードデッキの昇級レベルカード1枚を選ぶ。

そのカードの召喚のために、基礎ベースとして指定されているモンスターを確認する。

自分の場から、指定されているそのモンスターを基礎ベースとすることで、選んだ昇級レベルカードをリードデッキから召喚する。

(その際、本来の召喚条件は無視してよい)

それが采配系カードなら、このターン、そのカードは効果で破壊されない。


戦士の手から剣と盾が消える。


「【ラピッド・コンバットマスター-アスタリスクαアルファ】を召喚!」


【ラピッド・コンバットマスター-アスタリスクαアルファ

昇級レベルカード(リード)/打撃部類/固有昇級値1st/采配系

召喚条件:固有ターン9の【ラピッド・コンバットベーシック-αアルファ】を基礎ベースとし、固有ターン9の【ラピッド・コンバットベーシック-αアルファ】を吸収させてリードデッキから召喚する。

打撃攻撃力1700

打撃効果:このモンスターが場にいる限り、このモンスターは固有ターン9を得る。

互いの場のモンスターの固有ターンの合計が15以上の場合、このモンスターは戦闘で破壊されない。

(コンバットベーシックの別の姿。

素手で戦い、身をかわす術にも長けている)


「バトル!」


【ラピッド・コンバットマスター-アスタリスクαアルファ】打撃攻撃力1700

     vs

【ラピッド・コンバットフォート-+プラスαアルファ】打撃攻撃力1500


ローが動く。


「【迎撃後援アンブッシュ・プッシュ】発動!

迎撃モンスターの攻撃力を800上げる!」


迎撃後援アンブッシュ・プッシュ

特殊カード/演舞系

発動条件:自分モンスターが迎撃する場合。

効果:その戦闘中のみ、攻撃力を800上げる。


【ラピッド・コンバットマスター-アスタリスクαアルファ】打撃攻撃力1700

     vs

【ラピッド・コンバットフォート-+プラスαアルファ】打撃攻撃力2300(1500+800)


「さすがだロー


「これで…」


「【上下方修正じょうかほうしゅうせい】!

モンスターの攻撃力を、その固有ターン1につき100上げる!」


「何!?

しかし、昇級レベルカードには…」


「違う!

奴のモンスターには…」


「【コンバットマスター】は場にある限り、固有ターン9を持つ!」


上下方修正じょうかほうしゅうせい

特殊カード/加筆系

発動条件:場にモンスターがいる場合。

効果:モンスター1体の攻撃力を、その固有ターン×100分、上げるか下げる。


【ラピッド・コンバットマスター-アスタリスクαアルファ】打撃攻撃力2600(1700+固有ターン9×100)

     vs

【ラピッド・コンバットフォート-+プラスαアルファ】打撃攻撃力2300(1500+800)


【コンバットマスター】が拳を構える。


制裁乱気スパイラル・オーバーウェルム!」


戦士の一撃は、棘ごと砕いてしまった。


「うっ!」


カラムの累積ダメージ:2600(0+2600)


「ターン終了」


「やったな、風潤!」


類清とアブゼリードの様子に、嬉しそうにする風潤。


「調子に乗るなよ。

所詮、お前達が倒したのは我々が奪ったモンスター」


「その割には、そこそこ大事にしてたじゃねぇか」


「ふんっ!

目にもの見せてくれる!」


手札

類清:3枚

風潤:2枚

カラム:4枚

ロー:3枚


TURN9

(カラムのターン)


「私のターン!」


ドローカードを見て笑うカラム


「(よし、これなら…)

私は【じかしょう クルマ】を召喚」


じかしょう クルマ

モンスターカード/思念部類/固有ターン3/指揮系

思念攻撃力1000

思念効果:???

(直線的な攻撃しかできず、戦闘力は決して高いとはいえない戦士。

しかし、仲間を鼓舞する才能があるため、ムードメーカー的な存在になっている)


「バトル!」


とおしょう トビ】思念攻撃力1400

     vs

【ラピッド・コンバットマスター-アスタリスクαアルファ】打撃攻撃力2600


「【かえししょう】の効果で追加された【とおしょう】の効果を発動!

相手の攻撃力を100上回る!」


かえししょう セイ

モンスターカード/思念部類/固有ターン1/指揮系

思念攻撃力300

思念効果:

自分の場に【とおしょう トビ】または【こうしょう ギョウ】がいる場合、発動可能。

このモンスターを墓地に送り、どちらか1体に次の効果を与える。

とおしょう トビ】:このモンスターが攻撃する場合、発動可能。

このモンスターの攻撃力はその戦闘中のみ、戦闘する相手モンスターの攻撃力+100になる。

こうしょう ギョウ】:このカードは、1ターンに1度まで破壊されない。

(サポート役の戦士。

仲間の能力を最大限に高めることが得意)


とおしょう トビ】思念攻撃力2700

     vs

【ラピッド・コンバットマスター-アスタリスクαアルファ】打撃攻撃力2600


龍の戦士の攻撃を、白と黒の戦士が腕で止める。


「【ラピッド・コンバットマスター-アスタリスクαアルファ】は場の固有ターン合計が15以上の場合、戦闘で破壊されない!」


場全体の固有ターンの合計:24

類清:

【レッドスケール・マテリシャル】固有ターン3

風潤:

【ラピッド・コンバットマスター-アスタリスクαアルファ】固有ターン9

カラム:

とおしょう トビ】固有ターン3

じかしょう クルマ】固有ターン3

ロー:

こうしょう ギョウ】固有ターン3

ちょうしょう ウマ】固有ターン3


「だが、【じかしょう クルマ】の効果発動。

戦闘でモンスターを破壊できなかったことで、もう一度攻撃を可能にする!」


じかしょう クルマ

モンスターカード/思念部類/固有ターン3/指揮系

思念攻撃力1000

思念効果:自分のモンスターが攻撃し、勝利したにも関わらず、モンスターを破壊できなかった場合、発動可能。

このモンスターを墓地に送ることで、その自分モンスター1体は、このターン、もう一度攻撃できる。

(直線的な攻撃しかできず、戦闘力は決して高いとはいえない戦士。

しかし、仲間を鼓舞する才能があるため、ムードメーカー的な存在になっている


じかしょう】が声を上げると、【とおしょう】は再びやる気になったようだった。

じかしょう】が消滅する。


「くっ…」


「今一度、攻撃!」


とおしょう トビ】思念攻撃力1400

     vs

【ラピッド・コンバットマスター-アスタリスクαアルファ】打撃攻撃力2600


「効果を使い、攻撃力が上がる!」


とおしょう トビ】思念攻撃力2700

     vs

【ラピッド・コンバットマスター-アスタリスクαアルファ】打撃攻撃力2600


「何度やっても同じよ。

【コンバットマスター】は破壊されない!」


「これでもか?

【急所き】!

これで私のモンスターは、戦闘破壊無効を無視して、モンスターを破壊できる!」


「!?」


【急所き】

特殊カード/格闘系

発動条件:自分モンスターが戦闘で破壊されない効果を有している、または、戦闘で破壊されない効果を受けているモンスターと戦闘を行う場合。

効果:自分モンスターはその戦闘で、戦闘で破壊されない効果を有している、または、戦闘で破壊されない効果を受けているモンスターを、その効果を無視して破壊できる。


龍の戦士はぐんぐん近づいてくる。


「どうすれば…」


手札を確認する風潤。


「もしかして、これなら…

再招集リプレイス】!

互いの墓地から特殊カードを1枚選んで、その効果を使う…」


再招集リプレイス

特殊カード/采配系

発動条件:互いの墓地のいずれかに、特殊カードがある場合。

効果:互いの墓地の中から特殊カード1枚を選ぶ。

このカードをそのカードと同じカードとして扱う。


その時、類清が閃いた。


「墓地から…」


「風潤!」


「え!? 何!?」


「もしよかったら、その攻撃、俺に譲ってもらえないか?」


意外な言葉に皆が驚く。


「類清。突然何を言い出すんだ」


動揺するアブゼリードを見て風潤は思う。


「(そういえば、アブゼリードってまだ…

あっ!)」


笑う風潤。


「今度は風潤まで。

一体君達はどうしてしまったのだ」


「そういうことか。

そんなに欲しいなら、どうぞ」


「(気づいてくれたか!)」


「私が【再招集リプレイス】で選ぶのは…

【導かれし活路ヒドゥン・ルート】!」


「何!?」


【導かれし活路ヒドゥン・ルート

特殊カード/采配系

発動条件:自分のモンスターが攻撃された時。

効果:場の他のモンスターへ攻撃を移す。(攻撃してきたモンスターに返すことも可能)


攻撃が類清に向かう。


「流導類清。

確かにお前の【レッドスケール・マテリシャル】は戦闘で破壊されない効果を受けているが、私が発動した【急所き】の効果を忘れているようだな!」


とおしょう トビ】思念攻撃力2700

     vs

【レッドスケール・マテリシャル】打撃攻撃力700


「この攻撃で、お前の敗北だ!」


「(忘れてねぇよ。

だからこそ、攻撃を俺に向けさせたんだ!)

【レギュレーション・スタンプ-ワンデー】!

ダメージを半分にする!」


【レギュレーション・スタンプ-ワンデー】

特殊カード/印字系

発動条件:既に1度以上戦闘ダメージを与えているモンスターが場にいる場合。

効果:以降、そのモンスター1体は、与える戦闘ダメージが半分になる。


龍の戦士の剣に「One Day」の文字が刻まれる。


赤い悪魔は切り捨てられた。


「うっ…」


類清の累積ダメージ:2850(1500+2700÷2)


「さらに、【とおしょう】の効果で、【レッドスケール・マテリシャル】が復活!」


【レッドスケール・マテリシャル】が復活。


「(これでいい…)」


アブゼリードも類清の意図に気づいたようだった。


「ターン終了」


手札

類清:2枚

風潤:1枚

カラム:3枚

ロー:3枚


TURN10

(類清のターン)


「俺のターン」


ドローする類清。


「それじゃあ、頼んだぞ」


「やっと私の出番か」


「自分の累積ダメージが2500以上の時、リードデッキから【鍛凍龍かこおりゅう アブゼリード】を召喚する!」


鍛凍龍かこおりゅう アブゼリード】

モンスターカード(リード)/魔法部類/固有ターン5/加工系

魔法攻撃力1800

召喚条件:自分の累積ダメージが2500以上の場合、リードデッキから召喚可能。

魔法効果:自分ターンに発動可能。(複数回発動可能)

素材系カード1枚を指定する。

そのカードの性質を被加工系に変化させる。

(素材を加工し、新たな姿にする能力を持つ龍。

見た目は悪魔に近いが、本人は龍だと主張している)


「累積ダメージ2500以上…

まさか!?」


「そう。そのため…」


「私を召喚するために、わざと類清は攻撃を受けたのだ」


「それ、今俺が言いたかったのに!」


「君が傷だらけで疲れているだろうと思って、代わりに私が説明しようと思ったのだが」


「絶対わざとだろ!

…でも、これも全部、風潤のおかげだ。

ありがとな」


「うん。これでいいんでしょ?」


「本当に、私からも類清に代わって礼を言わせてくれ」


「今、俺、お礼言ったよね!?

…おっと、まだターンの途中だった。

俺はさらに、【レモネスカル・マテリシャル】を召喚」


【レモネスカル・マテリシャル】

モンスターカード/思念部類/固有ターン1/素材系

思念攻撃力400

思念効果:自分の場のこのモンスターの性質が被加工系になった場合に発動する。

このモンスターカードを以下の特殊カードとして自分の場に発動する。

<???>

(見た目は龍に近い、黄色の悪魔。

体は丈夫な骨でできていて、それを素材にした輪で呪いをかける)


黄色の悪魔が現れる。


「【アブゼリード】の効果を発動。

急冷鍛錬アブソリュート・クラフト


【レモネスカル・マテリシャル】に氷の塊がぶつかると、姿が変わり、生き物の頭部の骨のような不気味な首飾りになった。

それが【アブゼリード】の首から提げられる。


「何だ、あの奇妙な首飾りは?」


「バトル!

鍛凍龍かこおりゅう アブゼリード】で【レッドスケール・マテリシャル】を攻撃!」


鍛凍龍かこおりゅう アブゼリード】思念攻撃力1800

      vs

【レッドスケール・マテリシャル】打撃攻撃力700


太陽点一夜苺靴サン・ドット・ワンナイト・ストロベリー・シューズ…」


【アブゼリード】は何かを呟いている。


「【呪称骸じゅしょうがい】の効果を発動。このカードが指定したモンスターが攻撃する場合、場からモンスター1体を選び、そのモンスターの固有ターン×100のダメージを相手に与える!」


【レモネスカル・マテリシャル】

モンスターカード/思念部類/固有ターン1/素材系

思念攻撃力400

思念効果:自分の場のこのモンスターの性質が被加工系になった場合に発動する。

このモンスターカードを以下の特殊カードとして自分の場に発動する。

<【呪称骸じゅしょうがい

特殊カード/残存型/装飾系

効果:このカードの発動時に、次の効果を発動する。

場のモンスター1体を指定する。

このカードが場にある限り、そのモンスターはカードに記載されている攻撃部類を失い、追加で思念部類を得る。

また、指定したモンスターが攻撃する場合、発動可能。

互いの場からモンスター1体を選び、そのモンスターの固有ターン×100ダメージを相手に与える。>

(見た目は龍に近い、黄色の悪魔。

体は丈夫な骨でできていて、それを素材にした輪で呪いをかける)


首飾りの口から光線が、カラム目掛けて発射される。


「【累積の代替】を重発動リリアクト

パートナーと累積ダメージを入れ替える!」


【累積の代替】

特殊カード(重発動リリアクト)/指揮系

発動条件:3人以上の特殊ルールによるゲーム中のみ発動可能。

・自分が戦闘ダメージを受ける場合、発動可能。

・自分にダメージを与える効果が発動した場合、その効果の発動に対して発動可能。

効果:自分の累積ダメージと自分のパートナーの累積ダメージを入れ替える。


カラムの累積ダメージ:0

ローの累積ダメージ:2600


光線がカラムに直撃する。


「うわっ!」


カラムの累積ダメージ:900(0+900)


「そして戦闘は続く!

鍛凍奇ホリボー・フリズポイント


首飾りの口から冷気が放たれると、【レッドスケール・マテリシャル】は倒れ込んだ。


カラムの累積ダメージ:2700(900+1800)


「ターン終了」


手札

類清:4枚

風潤:1枚

カラム:2枚

ロー:3枚


「(我々がここまで追い詰められるとは…)」


「(こうなれば、あのカードを使うしかない!)」


TURN11

(ローのターン)


「私のターン!

我々の場から【とおしょう トビ】【こうしょう ギョウ】【ちょうしょう ウマ】の3体を墓地に送り…」


選ばれたモンスターが消滅する。


「リードデッキから現れろ!

指南しなんおう 不獲殼数フエガラス】!」


カラスのような格好をした戦士が現れる。


指南しなんおう 不獲殼数フエガラス

モンスターカード(リード)/思念部類/固有ターン5/王座系

召喚条件:TURN11以降、自分の場から固有ターン3以上のモンスターを3体墓地に送って、リードデッキから召喚可能。

思念攻撃力:1000

思念効果:???

(倒した敵の数を数えるのが大好きな王。

自ら行動することはほとんどなく、相手が接近してくるのを待ち続ける)


「何だこのモンスター!?」


「固有ターン5で、3体もモンスターを使いながら…」


「攻撃力1000…」


三人は驚きを隠せない。


「私はこれでターン終了」


「モンスターを召喚しただけで、ターン終了?」


「明らかに我々の攻撃を待っている…」


「さぁ、果地風潤!

お前のターンだ!」


手札

類清:4枚

風潤:1枚

カラム:3枚

ロー:5枚


TURN12

(風潤のターン)


「私のターン…」


カラムローが考える。


「(さて、果地風潤。どう出る?

この状況が不自然なのは、誰が見ても分かることだ)」


「(そう。我々が待っているのはお前達からの攻撃。

だが、お前は攻撃をせず、ターンを終えることなどできない。

なぜなら、行動せず敗北すれば、お前は自分自身を許すことができないからだ)」


「(律儀なお前にとって、このゲームで流導類清に手を差し伸べられたことは、支えになっている反面、負い目にもなっているはず。

些細なミスで勝敗が決まるこの状況において、仲間を敗北させるかもしれぬ決断を、お前が許せるはずなどない)」


「(このターン奴は、必ず攻撃してくる!)」


風潤はしばらく黙っていた。


「(あのモンスターは明らかな罠。

分かってる…。

でも、あいつらは私が攻撃する勇気がないと読んで、わざとあのモンスターを召喚したとも考えられるよね?

手札に攻撃を防ぐカードがないのなら、モンスターを別のモンスターに変えた方が、攻撃を躊躇ちゅうちょさせられる。

何か効果を持っていると思わせて、私にターンを終えさせるのが向こうの意図なら、ここは攻撃した方が…)」


「風潤!」


類清が話しかけてきた。


「何?」


「顔が怖くなってるぞ」


「え?」


「昔から、お前は深く考えるとそんな顔するからな。

なんか、青充あおみみたいだな!」


青充あおみ君と一緒にしないでよ!

私、あんなに表情硬くないじゃん!」


「どうかな?」


「そうだよ!」


類清は一拍置く。


「…お前の好きにしろ」


風潤の表情は戻り、頷いた。


「バトルフェイズ!

【コンバットマスター】で、【指南しなんおう 不獲殼数フエガラス】を攻撃!」


【ラピッド・コンバットマスター-アスタリスクαアルファ】打撃攻撃力2600

     vs

指南しなんおう 不獲殼数フエガラス】思念攻撃力1000


【コンバットマスター】が【指南しなんおう】に向かっていく。


カラムローは勝利を確信した。


「バカめ!

これでお前達の敗北は決まった!」


「!?」


「【指南しなんおう】には、迎撃で破壊された時に発生する戦闘ダメージを、自分ではなく、相手に与える効果があるのだ!」


指南しなんおう 不獲殼数フエガラス

モンスターカード(リード)/思念部類/固有ターン5/王座系

召喚条件:TURN11以降、自分の場から固有ターン3以上のモンスターを3体墓地に送って、リードデッキから召喚可能。

思念攻撃力:1000

思念効果:

全ての相手モンスターは、このモンスター以外の自分モンスターを攻撃できない。

このモンスターは相手の効果を受けない。

このモンスターが相手の攻撃により戦闘で敗北して破壊された場合、発動する。

その戦闘で発生する戦闘ダメージは、相手が受ける。

(倒した敵の数を数えるのが大好きな王。

自ら行動することはほとんどなく、相手が接近してくるのを待ち続ける)


「そんな…」


風潤は愕然とする。


「ここまで耐え抜いたことは褒めてやる!

しかし、我々を…」


「何だ。そんなことか」


「何?」


「何かあるとは思ってたけど、心配して損したよ。

アブゼリード!」


類清がアブゼリードに合図する。


「了解!」


アブゼリードはそう言うと、首飾りを外した。


「受け取れ! コンバットマスター!」


投げられた首飾りをコンバットマスターはキャッチし、自身の首に提げる。


「特殊カード【装飾転嫁アタッチメント・トランスポーズ】を発動した。

装飾系カードによるモンスターの指定を、別のモンスターに変更する!」


装飾転嫁アタッチメント・トランスポーズ

特殊カード/加工系

発動条件:自分の場に装飾系カードがある場合。

効果:そのカードによって指定されているモンスターを別のモンスターに変更する。


「これにより、【呪称骸じゅしょうがい】は【アブゼリード】から【コンバットマスター】へと移り変わった。

そしてその効果を発動する!

それじゃあ、風潤。後任せた!」


「類清…。

【コンバットマスター】の固有ターン×100、900のダメージを相手に与える!」


【コンバットマスター】が拳を構えながら唱える。


太陽点一夜苺靴サン・ドット・ワンナイト・ストロベリー・シューズ…」


「そのモンスターの効果は、戦闘が成立しなければ発動しない。

その前に決着がつけば、私達がダメージを受けることはない!」


「バカな…」


首飾りの口から光線が放たれる。


「うわぁ!」


ローの累積ダメージ:3500(2600+900)


戦士の拳はギリギリで止まる。


類清&風潤の勝利。

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