第2話 考古の復元 Part3
フォーカスは泣き出す。
「負けた!
あの人に何て報告すればいいんだよ!
君達のせいだぞ!」
「何で俺達のせいなんだよ…」
「君のいう"あの人"というのは…」
アブゼリードが聞こうとすると、フォーカスは走り出してどこかへ行ってしまった。
「何だあいつ! 子どもかよ!」
「まぁ、子どもだから仕方ないな…」
**********
結局少しも食べないまま、すっかり日は沈んだ。
「あいつ倒しても飯出てこなかったぞ!」
「もう少しでパントリーがあるはずだ。
そこで食事すればいいではないか」
「絶対あるって言えるのか?」
「私とて全てを把握しているわけではない。
ただ我々が歩いてきた距離を考えると、そろそろあってもよいころだと思っただけだ」
「何だよそれ、勘じゃねぇか。
道にも迷うし、ちゃんと地図とか用意してくればよかったなぁ」
「その通りだ。
よく考えずに行動する君のそういうところは、良くもあり悪くもあり…」
「良くもあるならいいじゃねぇか」
「悪くもあると言ったはずだ」
「なぁ、アブゼリード」
「何だ?」
「森だぞ。
木々に囲まれてんだぞ、俺達。
ここのどこに飯があるって言うんだよ…」
その時、ガサガサと音がして木の陰から二人組の男が出てきた。
「お前達、挑戦者か?」
「は?」
「我々の王の座を狙った、挑戦者かと聞いているのだ」
「いや、違いますよ」
ボーッとする類清とは対照的に、アブゼリードは何かに気づく。
「そうか、ここは!」
「森林の国だ」
「えっ! ここが!?
それじゃあ俺達、ラッキーでここまでたどり着いたのか!?」
「どうやらそのようだな。
やはり無計画に動くと良いこともある」
「お前さっき悪いこともあるって言ってたじゃねぇか」
「何を話している!」
男達は怒る。
「我々は二人組。
君にチームメイトがいないのならば、二対一の変則ルールで勝負を受けてもらおうか」
「二対一だと!?
ほら、やっぱり悪いこともあったじゃんか!」
「二人登場した時から、嫌な予感はしていたが…。
勝負の条件がそれならば、仕方がない。
類清、君一人で相手をしろ」
「やるしかないのか…」
「待って!」
遠くから女性の声が聞こえてくる。
こちらの様子が見えているであろう位置からの声だ。
草木が音を立てて、その声の主が走ってくるのが分かった。
その人物は飛び出すと類清の横に着地した。
「私がこの人の、流導類清のチームメイト、パートナーとして戦う」
その女性は類清と同じ年くらいだった。
急いで来たせいか、息があがっている。
その人物を見て、類清とアブゼリードは驚いた。
「えっ…嘘だろ。
続く…
**********
「おいおい、いつの間に次の国にたどり着いてたり、いきなり王に遭遇したり、
「確かに。私も驚いている」
「そんなことよりもアブゼリード」
「何だ?」
「飯はいつになったら…」
「結局食事のことか」
次回 昇級
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