第21話 妹とのデート
日用品もそろう大型スーパーへ歩いていく。
バイクで行くと荷物が詰めないからな。
「お兄とお買い物デート~、久しぶりだね。楽しいな。」
楓が浮かれている。口調が昔に戻ている気がする…。
えっ!更に手をつないできた。
「楓、いつもは兄さんじゃなかったか?あと手をつなぐ必要ある?」
「お兄は、お兄ですぅ。ずっとこうしてお出かけしたかったんだ。でもお兄は、私を守るためとか言って私のこと遠ざけてたでしょ?
私だって知ってるんだよ?私の為にケンカまでして、お兄が怪我をすると私もつらかったんだから…。
でもさ、私は遠ざける癖に、久美ちゃんとは仲良かったしねぇ。
だから、手をつなぐのは大切な愛情表現なんですぅ!」
愛情表現かぁ…。
「そっか。楓は、甘えん坊だったんだな。知らんかった、俺よりしっかりしているイメージしかなかったわ。」
嫌味でもなんでもなく本当にそう思っていた。
「私は、お兄に傷ついてほしくなくて、私が周りとうまくやれればお兄に変な事とする人が減ると思っていたんだけどね…、残念ながら、そんなに簡単じゃなかったみたい。ゴメンね。」
そっか、楓も俺のことを心配してくれてたのか…。
「楓が気にすることじゃないぞ。俺が勝手にやったことだからな。父さんとの約束でもあるし、何より俺の妹にちょっかい掛けようとすような輩を放っておけるわけないだろ。」
「ありがとう、うれしいよ。やっぱり私もあの家に住もうかな?」
ムム!とんでもないことを言い出したぞ。
でもそれは、容認できかねる。
「ダメです。」
だからキッパリと伝えた。
「むぅー。何でよ?」
楓はむくれて聞き返してきた。
「それは、あれだ。お前が突然引っ越したら爺ちゃん、婆ちゃんが寂しくなるだろ?!だから、だめです!母さんもまた、泣くかもしれないぞ?」
「今すぐじゃないよ。お兄ぃ、なに焦ってるの?何かあるのかな?彼女とかできたとか??まさか、久美ちゃんなの?」
な、なんで久美なんだ?
「いや、マジで違う。久美は唯の幼馴染だ。親愛というものはあったとしても、それは以上ない。」
「そんなに冷静に返されると、逆に困るね。でも、拒否する理由はあるんだね。妹の勘だけど…。」
何?その勘、怖いんだけど。
モカの事は知られてないし。大丈夫か。
「そういえば、久美ちゃんからチャットで聞いたんだけど萌香ちゃん帰ってきたんでしょ?なんで教えてくれないの?」
…情報駄々洩れジャン。いつからチャットやってるんだよ。
って、楓もモカと接点あったっけ?
「あれ?久美とチャットやってたの?ていうか、モカの事、楓も知ってたの?結構前に帰ってきてたみたいなんだけど、俺も最近なって再会したからな。」
俺の言葉に、楓が呆れた顔をしているような気がする。
「知ってるよ。というより覚えてるよ。私も小さい頃、お兄と一緒に遊んでたでしょ?まさかとは思うけど、忘れてたな、お兄。
さては、萌香ちゃんの事、やっと気が付いた感じか…。
私も萌香ちゃんがお兄の彼女なら問題ないんだけどな…。
無口だったけど、すごく可愛い子だったし、お兄にべったりだったもんね。
ちなみに久美ちゃんとチャット始めたのは、中学上がったころだね。」
そうだったんだ。
でも、モカが俺に気があるとか妄想だよな…。
「な、なにを言っている?あんな美人が…、俺となんて釣り合わないよ。それに多分、モカが俺のことが好きみたいなこと言ってたけど、それは昔助けたことがあって、その時の感謝の気持ちで言っているだけだぞ。それこそ親愛の好きみたいな…。」
「うわっ!お兄、マジか。ニブちんか。萌香ちゃんも大変だね。」
なんか言っている。苦笑いするなよ。
久しぶりに二人で楽しくおしゃべりをしながら買い物を済ませ、帰宅するのであった。
GW中に今度は普通の買い物に付き合うことになってしまった。
そして、母さんが作ってくれた昼食を食べバイトに向かった。
部屋が心配だったが、気にしないでおこう。
母さんがなぜかニヤニヤしていたが気にしないで置いた。
※ ※ ※
昨日ほど混んではいなかった。今日が日曜ということもあり昨日ほどお酒を呑みにくるお客が少なかったからかな。
帰宅した俺は、いつも通りに自室に入りライジャケをハンガーにかけクローゼットにしまおうとして気が付いた…。
本棚から出した卒業アルバムが開いたままであったことに。
しかもモカと久美の3人で撮った写真も出したままであった。
これは絶対に母さんに見られたな…。
変な勘違いしていなければいいんだけどな…。
とりあえず、モカに「ただいま」とだけチャットして風呂に向かった。
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※ このお話はフィクションです。実在のお店、メーカー、バイク・車も登場しますが一切、実在の物とは一切関係ございません。ご了承ください。
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