不
前向
3月、入試終了まで
第1志望の高校受験で落ちた。
自分が受験生の時は絶対に視界に入れたくない言葉だ。しかし、これは現実である。受け入れたくないがこれが現実なのだ。
正直、自信は無かった。塾の先生からも五分五分と言われていたし、もちろん学校からも受からないと言われた。それでも挑戦したかった。いくら無理だと言われていても、あの高校(以降A高校)で楽しい日々を送る自分が想像できたから。
入試2日前、熱を出した。微熱だった。無理は良くないと夜はしっかり休んだ。
入試前日、願掛けに神社へ行った。縁結びらしい。私とA高校の縁を結んでほしい。それ以外は外出せず、勉強した。
入試当日、起きた時は不安だった。寝てて良かったのだろうか。そんな事さえ考えた。
自宅出発。歩いてバス停まで向かう。いつも歩いていた朝の道がなんだか肌寒い気がした。バスに乗り、降り、A高校まで向かった。出願の時よりも距離が長い気がした。
国語、数学、英語、理科、社会の五教科を受けた。この時の気持ちは思い出せるが、後で読み返した時に後悔の念に駆られるので心の中にしまっておく。
入試終了。これで私の受験生生活も終わった。
帰る時、塾や制服の仕立て屋がパンフレットを配っていた。私にはくれなかった。落ちると思っていたのだろうか。
帰りのバスが来ない。次来るのは1時間後だ。
歩いて帰っても1時間かかるだろうし、歩いて帰る。
帰宅。父にどうだった、と聞かれ無かったはずの手応えを伝えた。今からずっと見たかった韓国ドラマを見る。
話が全く入ってこない。頭がショート寸前で何も考えられない。ドラマはやめにして、ずっと我慢してたスマホを開いた。主要なSNSはほとんど削除した私のスマホは、特になんの意味もなかった。とりあえず入れ直してみたが、我慢してた頃はあんなに見たかった携帯が、今ではただの重い鉄だと感じた。
スマホもやめにして、ソファでくつろぐことにした。夕方、また熱が出た。次の日の学校は休んだ。
学校に行った。あまり何も覚えていない。
入試後から始まった無気力は、2週間ほど続いた。
不 前向 @nanam_i
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