第10話
「宗太先輩………そりゃ、ヘコんでますよ」
きっと雷人は声で誰が自分の肩へと腕を回して来たのかっていうのが分かったのであろう。 だからそう名前を言ったのだから。
「そっか……なら、仕方ねぇな。 ホントは甲子園で優勝出来た時に言おうと思ってたんだけどさ。 お前に一つの魔法を掛けてやる。 でも、この魔法を掛けた時、もしかしたら俺もヘコむ可能性があるってことだけどな」
そう笑顔で意味の分からない事を語る宗太に雷人は頭にハテナマークを浮かべていた。
「よし! 決めた!」
宗太は足を止め、雷人の方へと向き両手を雷人の肩に置くと、
「俺はお前のことが好きだ!」
「……へ?」
「ただ俺はお前にそれだけを伝えたかったんだよ」
「……なーんだ。 そういう事だったんですか。 意外でしたよ宗太先輩」
それを聞いた途端に雷人の表情が変わり、
「俺も実は先輩のことが好きだったんですよ。 いつも先輩、俺に優しくしてくれていたじゃないですかぁー。 だから、俺はわざと可愛いフリをしてたんです。 今だって、わざと可愛いフリして一人で帰っていたんですからね。 先輩の気を引く為に」
そうクスクスと笑う雷人。
「先輩も俺に対して、そういう気持ちならば、もう、こんな事してもいいですよね?」
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