8.血溜まりの中で
何故こうなったのだろう。
床に転がったまま、僕は思った。
眼の前の赤い染みがみるみるうちに広がっていく。自分の呼吸音と鼓動が、遥か遠くから聞こえてくるかのようだった。もう痛みは感じない。ただふわふわと夢見心地で、意識が揺らぐ。長い長い回想を終えて、僕は現在に帰ってきた。これが走馬灯ってやつなのか。やたらと冷静に思う。どうやら人は死を覚悟すると恐怖や痛みを感じなくなってしまうらしい。
何故こうなったのか。今でも分からなかった。僕はただ普通に生きて、死んでいくはずだった。そう生きてきたつもりだったがあの雨の日、僕が選択を間違えたあの日から、僕の何かが壊れたんだろう。
どうやら僕の脳は生き残る事を完全に放棄したようだった。酷く眠く、意識が曖昧になる。そんな状態でも、最期に思い浮かべるのは被害者ではなくフェネの顔だった。結局、僕はクズだ。これは
そのまま僕はゆっくりと、沈むように限りない暗闇と静寂に滑り落ち、長い長い眠りについた。
完…?
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