真っ黒な獣

お昼寝の後は、森に薪拾いに行く。もちろん、彼と一緒に。


そしたら、彼が、


「フェリナ……!」


硬い声で私の名前を呼んだ。でもその前にはもう私も、彼の気配が変わったのを察してた。


「来たの?」


拾った薪はその場に置いて彼の傍に戻る。尋ねなくてもそうだって分かってたけど、つい、ね。


「うん。僕から離れないで」


彼が腰に下げていた剣を構える。私も同じように剣を構えて備える。


そんな私達の前に、真っ黒な獣。だけど、普通の獣じゃないのは一目で分かると思う。だって、禍々しすぎるから。真っ黒な体に真っ赤な目。それが、


「ガアッッ!!」


って吠えながら飛び掛かってきた。だけど、私は何も心配してない。


もう次の瞬間には彼が獣を倒してたからね。


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