第15話 なにが……!?


 ここ最近、誰かにつけられている気がする。

 そしてそれは、決して俺の気のせいじゃないはずだ。

 歌音と一風変わったデートをしたあの日以来、どうもつけられているような気がするのだ。

 それも、黒塗りのヤバそうな車に。


「まじか……」


 またしても、登校する俺のうしろを、なめまわすように観察しながら、車がついてきているような気がしてならない。

 これが俺の被害妄想なら、頭にアルミホイルをまけばすむ話だが……。どうもそうでもなさそうだ。

 もしかして、週刊誌なんかに目をつけられたのだろうか……?

 でも、その心配はないと、歌音も言っていたしなぁ……。

 まあ、いざとなれば、俺も抵抗はする。

 多少の素人くらい、何人かかってきても、俺は返り討ちにする自信があった。

 むろん、プロであろうと同様だ。


 そんな不安をかかえながらも、俺は学校に向かった。

 そして、休み時間に、歌音から意味深な言葉をもらった。


「あの……望都もとくん……放課後、少しお話が……」

「ああ、うん。いいけど……」

「じゃあ、そういうことなのでっ!」

「え……ちょっと、歌音……!?」


 それだけを言い残すと、歌音はそそくさとどこかにいってしまった。

 なんだったのだろう……。なにかただならぬ雰囲気だったけど……。

 そして来る放課後。

 歌音が見当たらないので、とりあえず校門の前で待つことにしよう。

 校門前にいれば、入れ違いになることもないだろう。

 一応携帯にメッセージを入れ、俺は校門を出る――。


 そして、校門を出た瞬間に、例の車に、拉致られた。


「は…………?」


 一瞬の油断した隙だった。

 本来なら、この俺が拉致られたりなんてのはありえないことだ。

 しかし、まさか校門を出た瞬間に、車に拉致られるなんて考えもしないじゃないか。

 しかも、あの俺をつけ狙っていた黒塗りの高級車にだ。


「ちょ……!? どこに行くんです……!?」


 俺が運転手に尋ねるも、無言のままだ。

 脇をSPのようなガタイのいい男たちに、完全にかためられてしまっているし……。

 これは逃げようもないな。

 なにせ車は超高速で走っているのだ。

 まあいざとなれば、なんとでも抵抗はできる。

 俺に危害を加える気はなさそうだし、とりあえずこのままついていくか……。


 あきらめた俺の携帯に、通知が入った。

 ちらと携帯を見ようとする。

 男たちに止められる気配はなさそうだ。


 そこには、驚きの相手から驚きのメッセージが入っていた。

 その相手は歌音だった。


「すみません望都もとくん……。バレちゃいました……! ゴメン!」


 お辞儀して謝るかわいらしいスタンプつきだ。


「なにが……!?」


 俺は黒塗りの高級車の中で、思わず叫んだ。

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