第9話 えっちじゃん
「いい!? 二人とも! あなたたちが付き合っていることは、絶対に世間には秘密よ! 原作者と声優が……しかも二人とも高校生が、付き合ってるなんてこと世間に知れたら大変なことになるんですからね!」
「わ、わかってますよ……」「はい……」
カエデさんは俺たちに口を酸っぱくしてそう言ってきた。
そんなこと、言われなくても俺が一番に気を付けるっつーの。
なにせこの作品だけはぜったにこけたくないからな……。
それに、美咲に迷惑をかけてしまうのも絶対に避けたい。
付き合っている女の子の将来を台無しにするなんて、男として最低だからな。
「それから、高校卒業までは絶対に健全なお付き合いをすること……! セッ〇スなんてもってのほかよ!
!」
「わ、わかってますよ!? そんなことしないって……!」
まさかカエデさんの口から〇ックスだなんて言葉を聞くことになるとは……。
一応叔母でもあり、昔から知るカエデさんの口からそういう言葉をきくのは、俺としてはなんか気まずい。
しかし次の瞬間、俺の耳はさらなる信じがたい言葉を聞くことになる。
「そ、そんな……! 私、そんなの耐えられません……!」
「「はぁ……!?」」
美咲がそう言ったとたん、俺もカエデさんも仰天して思わず立ち上がった。
「私、今すぐにでも
「だ、だめです! 私が保護者としても、担当としても、そんなことは絶対に許さないんですからね!」
「そ、そんな……! 私はすぐにでもお嫁さんにしてもらうつもりだったのに……」
「な、なんて恐ろしい子……!」
まさかあの人気声優である美咲歌音の口から、エッチだなんて言葉を聞くことになるとは……しかも生で。
人気JK声優の生〇ッチ……なんだかすっごくエッチだ……。
ていうかこいつなにを言ってるんだマジで……知り合ったばかりだというのに愛が重すぎる……。
まあもともとストーカーをするような子だしな……慣れるしかないか。
「私、
美咲はとんでもないことを言いやがりますね……。
俺はそれを一応否定する。
「それは絶対に違うと思う!」
「いえ。絶対にそうです! 今すぐ即〇コオッケーです!」
「JKが即パ〇とかいうんじゃないよ! 仮にも売れっ子声優でしょうが!」
「なんなら生〇メ即エッチ希望です!」
「んなもん希望すんな! 勘違いしたらどうする!」
「勘違いじゃありません! この愛は本物です!」
「だから愛が重い……!!!!」
美咲の口から放たれるえっちな言葉に、俺はついつい反論を繰り広げ、なんだか漫才みたいな掛け合いになってしまう。
それにしても、JK美少女声優の口から放たれてはならない言葉の数々に、俺は動揺を隠せない。
俺たちのそんなやりとりを見て、カエデさんはとうとう笑いだしてしまった。
「あはは……ほんと、なんだかお似合いの二人ね……」
「そうか……?」
いったいどこら辺がそう見えたのだろうか……わからん。
「まあ、そういったことはほどほどにね。美咲さんも、冗談で言ってるだけだとは思うけど……」
「はあい」
美咲はお茶目な感じで舌をぺろっと出して返事をした。
そういったあざといしぐさも、アイドルだからか様になっている。
「っていうか、冗談だったの……!?」
どうやら俺は弄ばれていたようだ……。
まあ数々の業界で成功をしてきた俺ではあるが、性交はまだ未経験なのだ。
もちろんそういう機会を得られなかったわけではないが、まだ高校生だから焦る必要もない。
「じゃあ、私はこれで帰るから。あとは若い二人でごゆっくり。くれぐれも……その、コン〇ームはつけるのよ? さっきの生とかなんとかは冗談だと信じているからね?」
とカエデさんが席を立つ――とともに、またもやとんでもない発言。
まったく、カエデさんは変なところが抜けてるというか……。
高校生男子の前で軽々しくコン〇ームとか言わないでほしい。
「わ、わかってますって……!」
てなわけで、俺と美咲はその場に残された。
ちょっと待って。
今、俺の自室に、二人きりなんですけど……?
俺がそう思った瞬間、美咲が俺の耳元で囁いた。
「やっと二人きりになれましたね……」
「ひゃう……!」
俺の耳に息が甘い吐息が吹きかかり、思わず体が反応する。
現役JKアイドル声優の、生ASMR……。
耳元でそんなことを言われたら、健全な男なら反応しないわけがなかった。
それと同時に、さっきのカエデさんの言葉を思い出す。
そう、俺たちは、あくまで健全なお付き合いをするべきなのだ。
俺の残り少ない理性が、そう告げる。
こんなこと、世間にバレたらやばいし、他にもいろいろな面から考えて、今美咲とそういうことをするのは誠実じゃない……と俺は思うのだ。
だが、理性と本能とは別だ……。
二人きりになったとたん、美咲が俺の横に座りなおして、体を密着させてくる。
俺の固くなった肘関節に、美咲の豊満な胸が当たる――てか当ててんのよ。
そういうものに疎い俺でさえ、雑誌の表紙とかで美咲のグラビアは何度も目にした。
その胸が、今俺の手の届く範囲にある。
「ねえ
美咲はそう言いながら、いやらしい手つきで、俺の顎を撫でる。
「え、えーっと……あれはその……冗談……なんだよね……? ね?」
さっきカエデさんの前で、美咲も冗談だと認めていた。
だからこれはきっと、誘惑などではなく単なるスキンシップなのだそうなのだ。
俺が童貞だから気にしすぎるだけで、このくらいのスキンシップは世間のカップルはみんな当たり前にやってるんだろう。
「冗談……じゃなかったら……どうします?」
「へ…………?」
気が付いた時には、俺はそのまま美咲によってベッドへ押し倒されていた。
くそ……抗えない……俺の理性よ、カムバック!
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