第4話 二週間のリミット
また窓ガラスを叩くエルフェルナに呆れつつも、ログハウスに入れてやった。
嫌だけど、聞きたい事が山程あるんだよ。
「口調を戻せ。普通に喋らないとまた捨てるぞ」
「……む?仕方がない。神や魔族からは面白みのない奴と言われた私だが、許せ」
いや、猫獣人の変化とけよ。
十分面白いよ。
「まあいい。まず、魔族は種族じゃないのか?」
「ああ。この世界の秩序を守れぬ者として、咎人の紋様を刻まれたのが魔族だ」
何か斬新だわ。
「んじゃ、お前は何をやらかしたんだ?」
「神同士の争いで失われそうになった命を守った。同胞を傷つけた罪は重い」
神同士の揉め事、か。
「次。女神は俺にお前自身を封印させようとしていた。何が起こる?」
「封印だと?私をか?」
「ああ。んでお前の心臓に埋め込まれた魔石を抜き取れば、神に戻れるとか何とか」
「……!」
俺の言葉に驚くエルフェルナ。
違うのか?
「魔石が失われれば私は死ぬ。だがお前が私の代わりになっていたかもしれん」
「……は?何だと?」
「私は、咎人が紋様の苦しみによって破壊や殺戮を行うのを止める役目がある。魔族の管理者でもあるのだ。まあ、私を殺した者が存在しないから何とも言えんが」
あのクソ女神……!
行き当たりばったりもいいとこだ。
あっぶねえ!
召喚者四人と国。
俺一人より遥かに可能性があったはずだ。
それを、俺に狙いをつけ断れないように、ありがたみを感じるように整えた。
気に食わない。
俺が出した答えがそれだった。
俺は結局、召喚スキルと女神から無理やり得た概念魔法、小刀に宿った桔梗の力で魔族の住む地全体を封印した。
封印した日以来、女神は俺の前に出て来ない。
●
「アネキから俺の事を何か聞いてるのか?二年前の事とか」
「神が咎人に会うこと自体許されていない。ましてや、他の神が罰を与えた咎人なら
ほったらかしか。
「で。お前の頼みってのは何だ?」
「……転生しないように、私の命が消える二週間以内に殺してほしい」
「は?」
何言ってんだ、こいつ。
「転生する度に暴れる咎人達の命を絶つ。罰が嫌なのではない。同じ命を絶ち続ける事が耐えられないのだ。お前なら、転生できないように殺せるのではないか?とな」
おいおい。
「んで、俺が晴れて管理者って訳か。ヤダね、断る。この世界にも紐づきたくない。それに、忙しい」
「……虫のいい話だったな。忘れて……くれ」
うつ向いたエルフェルナ。
ぽたり、ぽたりと涙が零れていく。
おい。
「……泣き落としか?効かんぞ?」
「私はかつて、人族だった。少女の頃、雨を呼ぶ儀式の贄にされた。神が私を呼び、長い年月を経ていつしか私も神の座に連なった。せめて、ささやかで愛に満ち溢れた命達を見守っていたかった!それが……!」
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