第3話 紋様と咎(とが)人
「何なんだ、これはっ!……っにゃ!舌に絡みつく様な、もぐもぐにゃっ!それでそれにゃでクドくにゃない甘辛のタレ美味しいむぐむぐにゃ!お替りはないのかこってりとこれはむぐにゃうぐにゃあにゃあにゃ」
「うっ……ぜえわっ!!!」
ごっすん!!
「ふんぎゃあ?!」
握りこんだ拳を、猫耳と猫耳の間で着地させる。
頭のてっぺんを押さえたまま、床を右に左に転がるエルフェルナ。
「い、痛!頭が割れちゃう!……にゃ!」
「食べるか騒ぐか、どれかにしろ!『にゃ』を取ってつけるな!猫獣人に謝れ!」
「だって、にゃ……あ!ウソ、ウソウソ!わあ?!」
拳骨を軽く振りかぶると、エルフェルナが頭を抱えてソファの背中に逃げ込んだ。
「……だって、さ?最近忙しくて、あんまりご飯食べれなかったんだよ。こんなに落ち着いて、美味しいもの食べたのって……」
しょんぼり、と肩を落とし、ソファに顎を乗せた魔王。
●
(魔族が、
「あ!ピリ辛、にゃ!
目の前でローテーブルに並べたジャンクフードや総菜を片っ端から食べ、ソファで尻をぴょんぴょん!と弾ませるエルフェルナ。
お前は食レポのタレントか。
「お前、猫の獣人見た事ないだろ。もう黙れ。質問する迄は食ってていい」
「わあいっ!」
こいつ、キャラ変してやがる。お堅い感じだったのに。
ま、関係ない。
こいつが食い終わるまで、質問をまとめておくか。
●
聖カルニアスから逃げ出し、桔梗の結界に守られつつも攻撃の手段を持たない俺が獣達に襲われていた時、女神に救われた。
その女神が、力を貸してほしいと俺に語った内容。
(……てる?ねえってば!)
カルニアスが滅ぼそうとしている魔王は、自分の妹神。
苦しむものを見捨てることのできない妹は神に反旗を翻した結果、堕天した。
召喚者は強い。
このままでは罪なき妹が殺されてしまう。
(『ぴざ』と『ちぃずぱんばーぐあ』おかわり!食べたいー!聞いてよぉ!)
能力は望んだものをできる限り与える。
誰か策略で無効となった、『世界渡り』で得た力を戻す。
妹を封印して、害の無い事を証明してほしい。
授けた力とその力を
俺のスキルと転生ボーナスを無効にしたクセにな。
酷い茶番だった。
(ちょーだい、お代わり!ちょーだい!にゃっかわり!ん?何か違う?おっにゃわり!えう?!待って……待ってよ!魔王にお触りしようとするなんてっ!で、でも……しょーがないなあ。ちょっとだけだからねっ!猫耳もふもふ!だけ、あ?!)
……覚悟はいいな?
●
お姫様抱っこをして、窓から捨てた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます