第3話 同世代対決! 紅VS紫!!激突する双璧
一人の科学者が夢見た理想郷
クローンや試験管ベビーの実験が成功し
遺伝子なんてものがハンバーガーのセット商品みたいに
組み合わせられる倫理観崩壊世界
家の外壁まで広告まみれの現代では全人類不労所得で成り立つ
もし笑う別惑星の民がいたら警告する。
物事に絶対はない、が、起こりうる最悪の答えはここにある。
ー通学路 雨ー
航空ドローンに
先輩を吊るしてクラシックを流し登校する。
彼女には雨合羽を着せてある
彼女は蒼転寺ラン。私を飛び級にする程度には勉強の教え方がうまい
緑髪のポニテ、目元にホクロ。乳盛って眼鏡足したような
分かりやすい体格。私よりもちょっとスタイルがいい。
ーイクシア学園高等部2年教室ー
教室に着き蒼転寺さんを解放する。私のほうが年下だがそれでいいのか、
この先輩。
今日も学園という名の懲役を償う。いや、サボろうとすると
「りえちゃん、めっ」
と幼児退行した先輩が怒る。無視したら泣くし、
ほっといたらどっか行っちゃうし
大変である。
当人曰く「夜九時に寝ても眠いのよねー」らしい。
起きてるときは切れ者だけどね
さて今回は答え合わせである。
前回量産型マシンを20機配布した後輩というか同年代の少女
紫ロングの少女だが実は腹黒い
キキョウ・リゾルートのホームである機械部にカチコミに行くのだ
蒼転寺さんがソシャゲのガチャの為に
仕事頑張れ!と応援するタイプなら、
キキョウは出世すればガチャ回し放題でござるよ?
おりゅ?おりゅ?してくるタイプ
どちらもパワハラせずに尊厳破壊してくる堕天使だ
ー放課後 機械部ー
「たのもー」
昔の癖でノックもせず上がり込む
そこには地獄絵図が広がっていた
パーツが3Dプリンターで作られている
3Dプリンターは魔法の機械ではない。
設計したデータが一発で出るのではなく、
積層跡やサポート材(補強材)の除去など手作業の過程が存在する
それを機械部の先輩たちがやっている。キキョウは指示を出すだけ。
キキョウはマシン操縦とその性格で、かつて紫の双璧なんて通り名があった
「いらっしゃいませ、リエ殿そして泥棒猫先輩♡」
蒼転寺さんステイ、ステイ。ダメだキキョウと蒼転寺さんは相性が悪い。
「ごきげんよう、ウェーイ年下ちゃん見てるー、
いまからリエちゃんとイチャコラしまーす」
寝取xれビデオレターのような挨拶をする先輩。
私の周りって濃い人間ばっかだなー
「リエ殿、手芸部の先輩とは和解したようですねー」
キキョウはなんだかんだ私のことを心配してくれてる。続けて話す
「でもいいんですかー?また昔みたいに目立って孤立しちゃっても」
「思い出させないで。嫌なの、もう失うのは、、、。」
私は思わず声を荒げてしまった。
あの時も今日と同じく雨が降ってたっけ?
ー過去回想 リエとキキョウー
そう個人主義がまかり通る学生時代ではなかったのだ。
声が小さいだの、協調性がないとか、担当教師に媚売ってないなんて
理由でレギュラーを外され孤立し続けた部活動
当然助けてくれる人なんていやしない。
だって次は自分が狙われるかもしれないのだ。
社会人から見れば私は悪だ。人に媚び売るのもスキルの一つ
若気の至りといえばそれまでだが、給料の発生しない部活は
社会人以下である。
そんななかクラスメートのキキョウだけが救いだった。
結局私は逃げて依存して、一人では何もできなくなっていた
そして装狂演譜の大会に誘われた。内部メカに強いキキョウと、
私の狙撃テクも相まって
結果を出した。それがクラス中に知れ渡ったのがまずかった。
出る杭は打たれるというか良くない噂が流れた。
相手に賄賂送ったとか根も葉もない物。キキョウに心配かけまいと
保健室登校を試みた。いつかクラスメートに復讐をしてやると思ったけど
心が壊れた。そう無気力に。
人は所詮利益なしでは動かない、善意なんて存在しないと!!
それは違うわ!!!
「異議あり!!」
人の回想に土足で入り込んだ蒼転寺さんはさぁ、空気読めない人なの?
ー現代 機械部ー
「リエちゃんの隣にいながら救えなかった後輩ちゃんこそ黒幕じゃないかな?」
えっ?なにその着眼点。
いや私がキキョウに依存するというならその解釈は正しい。
でもそんなことするメリットがない。もともと親友だったのに。
「上出来だ。流石泥棒猫、一瞬で状況判断できるとは。敵ながらあっぱれ」
パチパチパチと拍手しながらキキョウは言う
「部活の件は知らないよ?リエ殿が社会性皆無なだけ。
でも利用させてもらった。
リエ殿が依存すればするほど拙者の存在が大きくなる」
何だこの偽善者。本x寺と共に燃えればいいのに
「噂流したの拙者だし。自己犠牲で保健室登校は予想外。
でもリエ殿がこの学園に進路を出したと聞いて
ピンときた。まだこの子は諦めきれてないって。
勝利の為にまた拙者に依存してくれるって。」
「やはりあなたと私ではリエちゃんラヴ性の違いが発生するわね」
音楽性の違いみたいなことなのか?蒼転寺さん?
「あなたは監禁するタイプのヤンデレ、
私はスマホで位置情報チェックして浮気許さないタイプね」
母親っていうか、おかん?蒼転寺さんは?
「もういい、私はキキョウと決着をつける。過去との因縁此処で絶つ」
この2人は真面目に話すと埒が明かない。
誰も信じない。私の生き方はそれでいい。
「ほんとリエ殿は精神攻撃に弱い。
拙者なしでは生きられないようにしなきゃね」
ー仮想バトルフィールド 荒野ー
「クリエリエ、クリエール・アーリータイプフルアーミー作戦開始」
「キキョウ・リゾルート、ケルベロス・フューチャーブレイカー、狩りを開始する」
「蒼転寺ラン、ソウテンマル・フラット、出陣をする」
全身に武器をまとう旧式素体の人型兵器、
犬型で3つの頭に4足歩行、全身に紫のファイアパターンが目立つ機体。
そしてその場のノリで侵入した3等身のマントな騎士
紅紫の双璧が激突する
「なんで蒼転寺さんがいるの?」
つい昔のようにツンツンしてしまった
「私はただの見物客よ」
蒼転寺さんはさておきキキョウが口を開く
「リエ殿失望したでござるよ、思い出の品といえば聞こえはいいが、
旧式で拙者の新型には勝てぬでござるよ?」
「あなたとの決別の機体、そしてあなたを倒す機体よ」
「屁理屈を!!!」
キキョウが突っ込む。といっても距離は十分。遠距離狙撃は可能?
いやこのシーンはどこかで?
思い出した、最初の蒼転寺さんとの戦いだ。
マニュアル通りの戦法じゃ勝てないか。
プランA。地雷を設置し防衛を固める。
ゲームだと芋虫みたいに動かないスナイパー略して
「芋砂でござるかwwwリエどのぉ。拙者の新型は飛ぶぞぉ」
ケルベロスから機械の翼が生えてジェット飛行してる。
当然地雷には当たらない
プランB。スナイパーライフルで狙撃を試みるが躱される。
プランC。地雷を狙撃し誘爆を狙う。そこそこ効果あり。決定打なし
「万策尽きたでござるか?諦めたら?昔みたいに?」
キキョウが挑発する
一生言わせておけばいい。彼女を倒し未来を手に入れる。
「そのための策を考えたのさ、蒼転寺さんと2人で!!」
「ワイヤートラップ!!」
キキョウが驚く。こんな作戦過去になかったと悔しそうな顔を浮かべる
しかし流石新型。旧機体なら撃破も近いのにまだ動ける。
にぃと笑う。この戦局ならばSPスキルか!!
「拙者の秘奥義とくと見よ、SPスキル未来崩壊!!」
キキョウが叫び天候は雷となる。
なるほど長期戦になれば雷に当たるリスクが増えるのか
「それだけではござらぬ、リエ殿のすべてを食らいつくせ!!!」
キキョウのシャウトは続く。
唐突に3つの首を地面に潜らせる。背後から攻撃するつもりか。
たぶんワイヤー線で固定してるから切断はたやすいし空中に逃げればいい。
ダメだ、雷に当たる。八方ふさがりか。これがフューチャーブレイカー
敵ながら言い名だ。濁点ついてるけど。
こんな時蒼転寺さんならどうするかとモニターを見る
なんか3等身のロボが感電してる。
何も見なかったこととする。
勝敗には関係ないのに何で応援なんて。
勝敗に関係ない?この試合が公式戦なら乱入した時点で反則負けじゃ?
あるじゃないか、現状を打開する方法が!!
そう勝敗は関係ないのだ。これはゲームだ
「まだ動けるよね、アーリータイプ。もうちょっとだけ力を貸して。」
私の問いかけに僅かだが目のランプが光った気がした
まさかね。市販品のカスタム機に感情が宿るわけないじゃない。
覚悟を決めた私は敵機に突っ込む。当然首が地面から生え挟み撃ちとなる
「どれだけ着飾ってもあなたは変わらない。
こころという柔肌が見えるまで噛み砕こうぞ!!!」
キキョウが前のめりになる。遺言ぐらいは聞いてあげる
しかし武装や装甲がビームで剥がれる。いくら重装甲とはいえ持ちそうにない。
ので、意図的に横方向にバーニアを傾ける。
同士打ちだ。攻撃の手が緩み再びキキョウを正面に捕らえた
「くっ」
キキョウが後方の攻撃をやめた。そりゃそうよ
「誰だって自分が傷つくのは嫌だからね」
ついにケルベロスをとらえてバーニアを吹かす
機体の負荷が限界を超え顔の装甲すらパラパラと崩れていく。
涙と表現するのが良いのだろうか。
「さよならキキョウさん、私なんかを愛してくれて」
私の最後の言葉。キキョウへの選別
「まさか、、、。よくて引き分け。こんなことしても何も変わらないぞよ!!」
そう最終プランは地雷源に突っ込み重装甲でHP勝ちすること
でももう勝ち負けとか関係ない
「消えろ、私の過去、亡霊たちよ」
「ははは、できたじゃないか、リエ殿はやはりこうでなくては」
キキョウが笑ってる?この戦いの勝者ってまさか!!
両機爆発。結果は引き分け。抱き合ってもう動かないフレーム部分に雨が伝う
ロボットは泣かないんだ、そう泣かないんだ
ー機械部ー
「いやぁ、参ったでござる」
はははと笑っているよこの人は。
「で、本心は?」
「リエ殿なら過去を薙ぎ払えると信じて芝居打ってたのでござる」
キキョウは敵に回したくないな。相変わらず。
「また私の心が折れたらどうする気だったのさ」
「その時は拙者も保健室登校でござる。それはそれとして。
今日はスペシャルゲストで私の当時の愛機を持ってきたのだ、戦わせる?」
「もち!!」
なつかしさで口調が戻っていく。
「クリエリエ、クリエール・アーリータイプフルアーミー。作戦開始」
「キキョウ・リゾルート、ケルベロス・フィーネ。狩りいっとく?」
エラー音が響き渡る
システムエラー勝者キキョウ・リゾルート
「あれクリエール動かないや」
「ちょい見して、、、。うわぁなんだこれ!駆動系が崩壊してる!
ギアなんてかみ合ってないし!!こんな整備不良に引き分けとか
末代の恥じゃん拙者」
「いや、最終チェックしたしあの爆発も仮想空間だよ」
「リエ殿、もしかしたらマシンに魂が宿ったのかもしれないぞよ」
「オカルトを信じろと?」
とはいえ旧式にガタが来ていたのは事実
「神社で供養してもらおうか」
「拙者のフィーネも連れてってあげてよ。戦友だし」
機械に心が宿るなんてありえない
物事に絶対はない、が、起こりうる最高の回答はここにある
次回予告
幼児退行した蒼転寺さんは
ハンカチを返す。よだれやら鼻水やらついているし
しかし予想外なのは委員長さんだ。そのハンカチを
チャック付き袋に入れてタッパーで封印した
おまけに日付も添えて。
次回は委員長さん回です!!
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