はい!ドッカーン!

青いバック

卒業おめでとう

 今日は私たちの卒業式の日。なのに、私は遅刻しちゃったよ。ううん、仕方ないよね、皆に喜んでもらうために色々と準備してたんだから!きっと喜んでくれるはずだよね。


 私たちは仲良しだったもん。トイレで話したり水をかけあったりして、楽しかったなあ。それも、今日で全部お終いだ、少し悲しいな。


「卒業生、退場!」


 あらら、もう終わっちゃったみたい。まっ、いっか。勝手に進める予定だったし、関係ないや。私は扉をがっちりと閉められた体育館に歩を進める。


「まつり、今到着しました〜!」


 うわぁ!体育館が綺麗に飾り付けされてる!お花もいっぱいだぁ!これ、自分たちに向けてのお花かな?あ、そうだ。このお花に体育館周りに撒いてきたお水をかけてあげよう!お花は、お水が大好きだからねえ。

 みんなもこっち見て、私が来るのをさては、楽しみにしてたな?そんな驚いた表情までして、照れるなあ……。


「……まつりちゃん。 その手に持ってるのは何?」


「え? これですか? 嫌だなあ! 先生たら、卒業証書ですよ。 みんなの!」


 私が持ってる筒は、みんなへの卒業証書。それにジョウロ、中にはお水が入ってたんだけどもう空っぽ。これを私が投げたら、晴れてみんなは卒業ってわけ。幸せじゃん、ここにいるみーんなと卒業出来るんだから。


「いいから、それを置きなさい。危ないでしょ?ここには親御さんたちもいるのよ」


「えぇ? いいじゃないですか。みんなで卒業しましょうよ? ハッピーですよ、ハッピー!あっ、咲ちゃん! あれれ?泣いてるのかな?私に会えてそんなに嬉しいの?私たち仲良しだったもんね。よく一緒にお話したもんね、靴を隠しあったりしてね楽しかったよ。」


「ち、近寄らないで!先生たちも、こいつを取り押さえてよ!」


「もう、近寄らないでなんて言わないでよ。ほら、咲ちゃんがいれてくれたタトゥー今もちゃんと残ってるよ?」


 お腹に残ってる、ちょっと紫色の丸いタトゥー咲ちゃんが友達の証って言いながら、いれてくれたのに酷いなあ。


「まつり、落ち着いて聞くんだ。まず、その手に持ってるものを地面に置きなさい。……生徒と保護者の人たちは体育館の後ろにある扉から逃げてください」


「え〜!なんでそんなこと言うの! あ、でも外には行けないよ?うふふ、みんながどこにも行けないように外から塞いでるんだ。これでみんな一緒。あぁ、みんな泣かないで。せっかくの卒業式なんだから。あっ、卒業するから泣いてるのか!」


「置きなさい! 今なら、まだ戻れるぞ」


「私の時だけ必死だね〜? 卒業するのがそんなに嫌?」


 すごい剣幕で怒る先生。顔がしわくちゃになっている。面白い。


「こんなのは卒業じゃない! 君は卒業をなんだと思ってるんだ!」


「これが卒業じゃない?……わかってないな。いいや、もうちょっとみんなと思い出を語る予定だったけど、先生たちがうるさいしもう卒業しちゃおうか。みんな! 卒業おめでとう! あ、これ言わないとね。 卒業生退場!」


 手に持っていた、卒業証書を地面に叩きつけて私たちは晴れて高校生を卒業しました。


「速報です。天晴高校が放火され、推定死亡者は200人以上とされてます」

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