第4話「エピタフ」キング・クリムゾン
私がプログレッシブ・ロックというジャンルの存在を知ったのは1974年ですが、プログレッシブ・ロックが誕生したのは、それを遡ること5年の1969年でした。
キング・クリムゾンのファースト・アルバム「クリムゾン・キングの宮殿」をもって誕生したのです。
これには異論もありまして、ビートルズの「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」やムーディー・ブルースの「デイズ・オブ・フューチャー・パスト」が発表された1967年とするべきだという意見もあります。
ですが、クリムゾンの「宮殿」を起源とする説が圧倒的に支持されています。なぜなら、このアルバムの登場は極めて衝撃的であり、他の追随を許さないほど完成された歴史的名盤だったからです。
なにしろ、ビートルズの「アビーロード」を英国チャートのトップから蹴落とした、などというまことしやかな伝説まで生まれたほどです。実際は最高位5位だったらしいのですが。
私がキング・クリムゾンの存在に気づいたのは、おそらく1976年だったと思います。やはりFM放送で、このアルバムからの1曲「エピタフ(Epitaph)」が流れたからです。それは8分以上にも及ぶ、壮大で荘厳な曲でした。
「エピタフ」とは、「墓碑銘」という意味です。この曲の有名な一節、「”混乱”が我が墓碑銘となる(Confusion will be my epitaph)」を見てもわかるとおり、厭世的な歌詞ですが、ピート・シンフィールドによる詩の評価も高い曲です。
一聴して、バックにストリングスが使われていると勘違いするのですが、これは「メロトロン」という鍵盤楽器です(詳細はウィキペディア等を参照)。たった1台でストリングスの音を出せるメロトロンは、この時代のプログレで大活躍でした。
当時私は、ロックというジャンルにエルビス・プレスリーのような「ロックンロール」のイメージを持っていたのですが、「こんな芸術的な曲が、ロックでできるんだ」と目から鱗が落ちる思いでした。
このアルバムでもう1曲、重要な地位を占めているのが、「21世紀の精神異〇者」です。現在は「21世紀のスキッツォイドマン」とか訳されているのですが、これだと意味がわかりませんよね?伏せ字にしていますが、当時は普通に表記されていたんです。
この曲のイントロは、CMや映画や色々な番組のBGMに使われていますので、ほとんどの人が耳にしたことがあるはずです。
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