第3話「狂ったダイアモンド」ピンク・フロイド

 ピンク・フロイドの「狂ったダイアモンド(Shine On You Crazy Diamond)」は、1975年に発表されたアルバム「炎~あなたがここにいてほしい~(Wish You Were Here)」に収録された曲で、パート1からパート5までが冒頭の1曲目に、そのあと3曲を挟んで、パート6からパート9が最後の曲として収録されるという、変則的な構成になっています。


 私がこの曲を初めて聴いたのは、やはりラジオのFM放送でした。

 ピンク・フロイドのニュー・アルバム特集で、ほかの曲も流れたと記憶していますが、何といっても惹かれたのは1曲目の「狂ったダイアモンド・パート1~パート5」でした。


 ピンク・フロイドというバンドは、プログレ・バンドにありがちな「スーパー・テクニック・バンド」ではありません。ライブ・ツアーではサポート・メンバーも連れて行ってましたし、演奏自体はほかのバンドでも可能なレベルです。


 ただ、作曲と編曲のセンスは抜群でした。「狂ったダイアモンド・パート1~パート5」も、イントロで鳴り響くエコーの掛かった4音のギター・フレーズにまず引き込まれます。


 その後、長いギターソロが入ってからヴォーカル・パートに移り、サックスをメインにしたインストゥルメンタル・パート(楽器演奏のみのパート)でフェイド・アウトするんですが、この流れがもう完璧です。


 ピンク・フロイドは1973年に「狂気(The Dark Side of the Moon)」というメガ・ヒット・アルバムを発表しているので、「炎」を買った後にそれも購入してみたんですが、これは私にとっては「?」でした。期待が大きかっただけに、残念でした。今聴いても、もう1回聴きたいとは思えません。


 むしろ、「狂気」の前のアルバム「おせっかい」の方が良かったです。このアルバムに収録されている「エコーズ」は、23分以上に及ぶ大作でした。


 また、「炎」の後、1977年に発表された「アニマルズ」は、彼らにしてはハードで社会風刺的な楽曲が収録されたアルバムで、当時パンク・ロック・ムーブメントが全盛だったことから、「パンク・フロイド」などと揶揄もされましたが、好きなアルバムです。


 その後ピンク・フロイドは1979年に「ザ・ウォール」という2枚組のアルバムを発表し、これもメガ・ヒットになっているんですが、バンドが分裂(というか、ワンマンになったリーダーが追放された?)した後は、私の心を掴む曲は現れませんでした。

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