第2話「チューブラー・ベルズ」マイク・オールドフィールド

 アンディ・ウイリアムスの「マッカーサー・パーク(ライブ)」がプログレだった(あくまでも個人的見解)としても、私がそれでプログレの世界に飛び込んだわけではありませんでした。


 その頃はほかに、映画音楽やイージーリスニング(これたぶんもう死語ですね)を中心に聴いていました。

 ポール・モーリア・グランド・オーケストラの「エーゲ海の真珠」(これ、映画「20世紀少年」でも使われてました)とか、レイモン・ルフェーブル・オーケストラとか。


 当時私は洋画にハマってまして、「ロードショー」や「スクリーン」などの雑誌を買って読みふけっていました。ほとんど邦画しか観ない今とは、真逆だったのです。


 それで、今では古典的なホラー映画になっている「エクソシスト」という作品に興味を持ちました。これも、ホラー・スプラッタ系の作品が苦手な今とは真逆です。


 ・・・あの頃の私と今の私は、本当に同一人物なのかな?


 当時の映画は、大都市で公開されてから地方の映画館で公開されるまで、相当なタイムラグがあったと記憶しています。お下がりのフィルムが回ってくるまで、時間が掛かったのでしょう。

 2本立て(2本セット上映)が当たり前で、一回分の料金を払えば何回でも観られる時代でしたが、「エクソシスト」の併映が何だったのかは思い出せません。


 地方での上映が待ちきれなかった私は、原作の本を買って読んだ記憶があります。さらに興味をかき立てたられのは、ラジオのFM放送で聴いた主題曲「エクソシストのテーマ」でした。


 印象的なピアノの奇数拍子のリフレインで始まり、色々な楽器が上乗せされていくこの曲は、聴いたことがない斬新なものでした。


 しかしもっと驚いたのは、この曲が18歳か19歳の少年によって(いや、年齢的には少年ではないか)、1人で全ての楽器を演奏して、2400回ものオーバーダビング(重ね録り)によって作られた、50分にも及ぶ大作の冒頭部分に過ぎないということでした。


 私は早速、そのレコードを買い求めました。それがマイク・オールドフィールドの「チューブラー・ベルズ(Tubular Bells)」です。


 間違いなくこれが、私がプログレにハマるきっかけとなった曲でした。


 当時のLPレコードのA面に「チューブラー・ベルズ・パート1」、B面に「パート2」の2曲だけが収められたこのアルバムは、とても美しく儚いインストゥルメンタル曲(楽器演奏のみの曲)で、私は毎日のように聴いていました。


 1974年のことだったと思います。この1974年というのは、重要な意味を持つのですが、それはまた後の話にします。



 その後マイク・オールドフィールドは、第2弾として私の大好きな「ハージェスト・リッジ(※オリジナル版)」を発表、さらに1978年には第4作でこれも私の好きな「インカンテイションズ(呪文)」を発表します。


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※オリジナル版とリマスター版があって、オリジナル版は「ハージェスト・リッジ<デラックス・エディション>」という2枚組CDのみに収録されています。リマスター版は、はっきりいって改悪版でした・・・。

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