第4話 蓄熱性
あたたかな秋の陽射し、澄んでいながらも気だるさの残るやわららかな熱を帯びた優しい風。
秋だなぁと思う。庭に立つ栗の木の葉は、こげ茶色に色づき、棘のついたまだ若くて緑の色の栗と、葉と同じ色に変わりつつある栗はまるで、熟れるのを競い合っているみたい。
蓄熱性−
陽射しを受けて熱を纏ったものたちは、熱を蓄えて実を結ぶ。それはただ、自然にそうなるように見えて、実はとてもたくさんの熱を毎日蓄えた成果なのだ。
栗の実が自身ありげに佇んでいるのは、そうして今までに蓄えた熱を正しく使った成果を自慢しているかのように映る。
「頑張ったね」
私は栗の実に、熱を帯びた風に、秋の陽射しに感謝したくてたまらなく、声をかけた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます