第3話 リセット

「こんばんは」

「こんばんは、なんであんなことしたの?」


「全てをリセットしたかった」

「リセット?」

「うん」


私は、私があなたの望む私でないことが分かったとき、あなたはこのまま違和感を抱えながら、あなたもあなたの心の中の真実を上手に書き換えながら、ただ、だらだらと緩い幸せが続くような関係。そんな爛れた繋がりは無い方がよい、そう思った。だから全てを断ち切った。リセットした。


「そっか、いろんなことが突然絶たれてビックリしたよ」

「そうだよね、ごめん」

「いぬくんは小説は読んでる?」

「読んでる!ちょうど今日、夕方から"ホテル カクタス"を読み始めたところ」

「…!あれ面白いよね!」

「うん!」


今日は文庫版の"ホテル カクタス"を読みながらジャックダニエルをクラブソーダで割って飲んでいます。続きを読んだら、またあなたに感想を話そうと思ってる。


そんな夜の時間は少しずつ過ぎ、黒胡椒を大量に入れた自家製ポテトサラダをつまむ。大切な時間を文章と対話に使う幸せな今日があることに感謝する。

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