第9話 黒い

「朝ヨー」


ロードの寝床からセリが姿見えて、ちょっと安心する。

(マア何もないとは思うケド)

保護者の1人として、心配は尽きない。何せ、人族の力では物理的に止めるのは不可能だ。そこを補う、カナンも隣で起き出している。


「フワァ」

昨日の酒瓶をささっと片付けていると、セリが出てきた。

「おはよう」


ちょっと寝惚けている声のセリが立っている側。ロードが甲斐甲斐しく、セリの髪を整えている。


「おはよー、無事起きれたね〜」


カナンはセリを撫でようとしたが、ロードに阻止されてた。ロードがピッタリとセリにひっつきながら、キッチンへ移動になり朝食の用意を始める。


「ここ、座ってて。」

ロードに邪魔だと言わず、席を指定すればすんなり離れた。


「全然、取れないと思ったワ。」

「頑固な汚れか?」


シュルトとカナンの軽妙な会話。朝食は簡単に、腸詰めに焼き色をつけ、パンを切って炙る。スープは、味を変えて出す。少し辛い香辛料は子供向けに少なめ。各自で足せるように準備した。


セリが水魔法で給水して、用意したハーブと混ぜてハーブ水を出す。

「いただきまーす。」


初めて、4人で朝食を食べた。


「セリに王都の案内がしたいワ」

予定は決まっていない。シュルトは店に詳しい。ロードは真面目に話に加わった。


「俺は、森しか知らないな。」

「そこは、案内する場所なのか?」


カナンがツッコむが、予定を入れる。

「装備を整えて、登録してからだろー」


保護者2人は、森に行くことは反対しない。


「ここを拠点にして良いもんなの?」

「自由にして良いって言ってたケド。キースに確認が必要ネ。」


まだ数日かかると伝言は受けている、とシュルトが言い添える。

食後は、ロードが果物を食べさせていた。

「美味しい」


セリは温かい紅茶と酸味が、強いが果汁が合うと知った。のんびりしながらも色々、思いつく予定を整理しようとしたところ…


「くしゅんっ」

「アラ、寒い?」


セリのクシャミに、シュルトが風邪を心配する。額に手をやって様子を伺う。

「熱はないみたいだけど、怠いとかアル?」

「特には」


ロードにぎゅっとされながらも、体調不良の様子はなかった。疲れが出ているのだろうと言う結論に、昼寝を勧められた。

「部屋で休んでくる」


素直に聞くセリに、ロードも続いた。

「俺も」

「オマエは、入っちゃダメ!」


カナンが付いていきそうなロードを抑え、シュルトが言い切った。

「女の子の部屋に入り込もうなんて、サイテーよ?」


流石のロードも、固まった。昼寝案は、少し気怠さを感じさせるためすんなり受ける。しっかり寝た筈だけど?まだ眠れそうでセリは寝床に収まった。

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