第7話 変化
「そろそろ、部屋に入ってみる?」
セリの予定は、カナンのひと言で決まった。寝ているロードの部屋に入ろうという誘いだ。
嫌がらせじゃなく、ロードは側にいれば反応がある程度には覚醒しているけど、まだ眠っている状態だろうって。
「ずっと番<ツガイ>と離れているのも落ち着かないもんだから〜。寝惚けた竜人なんて、希少だぜ!」
ロードが起き出して来れば、会話できるのは嬉しい。とても良い笑顔のカナンと一緒に行くことにした。
「おじゃましまーす。」
セリが扉を開けて部屋にそっと、入る。
天蓋のあるベッドは、窓の方にくっつけて配置してある。この広い部屋、元々はテラスも開放してパーティが開催できるよう想定されていた。貴族向けの屋敷として建てられている仕様だ。
セリからベッドが見えるものの入り口の近く、扉の側でくつろぐ事にした。毛皮を敷き、カナンが長椅子を持ち込んで置く。
2人で本を読んで、静かに過ごす。カナンは近くに居たが、会話は少なかった。ロードはまだ起きる気配はないらしい。
「起きないね?」
「んー、意識は向けてる様子かなあ。獣人って感覚が鋭いからね〜。」
人族なら侵入も気付かないような時も、獣人はバッチリ察知するという。身体能力の差は凄い。魔力を【身体強化】や【種族特性】に使っている故で、魔法の扱いはとても得意・不得意が分かれる。
セリが過ごす場所が変わっただけで、食事の時間になればキッチンに行く。
部屋の出入りがあっても、ロードが身じろぎした様子はなかった。まだ寝ているのだろうとセリは思う。
夕食後は、
『打たせ湯』という湯が浴びれる魔道具で身を清めた。
「一人で浴びれた!」
ざばざば温かい湯が出てきて贅沢だとセリは驚いたが、一般家庭にもあるらしい。火の魔石を入れ替えれば、長く使える魔道具だとか。
セリの喜色ある声に保護者2人が、ほっこりする。
「ちゃんと使えたんだね〜」
「肩凝りに良いのヨネ」
カナンが使い方を教えて、1人で初☆打たせ湯だった。次はシュルトが湯を浴びに交代した。
先に寛いでいたカナンに、フルーツ牛乳なるものを貰う。瓶が冷えていたことに驚きながらも慎重に、冷えた瓶の飲み物を飲んだ。甘くて果物の味がしてセリは、一気に飲んでしまった。
「ぷはあ」
「ハハ、冷たくて旨いだろ?湯の温度は熱くなかった?」
「気持ちよかった!」
気に入ってもらえたらしい。
風呂は貴族の物という意識が強いが、公共の風呂などはあるとカナンの話を聞きながら、ロードの部屋に入った。
「ここで寝てみる?」
シュルトと相談して、セリをロードの近くで寝かせようか?と話していたのだ。
ベッドではなく、寝袋やクッションを持ち込む事にしようかと。
セリは、加えてお願いしてみた。
「うん。一緒に寝よ?」
一人寝は飽きたのだ。
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