15 鈴音とかえで

ヒメちゃんに地図をもらって三日後の日曜日の朝。

私は家の玄関の前で土下座するばかりにお母さんを見上げる。。

「だ〜か~らっ!福島にチャチャっと行ってくるだけ!えっと、その、社会科見学!自主学習しようと思って!」

私は福島県に行くためにお母さんにお願いしてるところですぅ!

「いやぁ、社会科見学に行くのはいいけれど、私がついて行った方がいいんじゃないかしら…。1人で行かせるのはちょっと…。」

お母さんは考え込んでいる。

「大丈夫!1人じゃないから!」

私はそう言ってへいの外からライくんを登場させた。

「こんにちは!同じ学年のリリコさんと親しくさせてもらっています!今日は社会科見学に行くんです!」

ライくんは私のお母さんに向かって元気良く挨拶。

「1人じゃないならいいでしょ?」

私がまくし立てようとすると、お母さんはいきなりプッと吹き出した。

「リリコ、社会科見学だなんて嘘つかなくていいから〜。本当はデートなんでしょ?お母さんに秘密で何してんのよ〜。」

「「で、でででデートじゃないっ!!」」

私たちは顔を赤らめお母さんに向かって叫ぶ。

お母さんったら!誤解を招くようなこと言わないでよ!

「ふふっ、この男の子と一緒なら安心ね。2人で楽しんで行ってきなさい。お土産もよろしくね。」

お母さんは茶化すような笑顔で私たちに手を降った。

「もう、行ってきまーす。」

「行ってきまぁす!」

私たちはお母さんに手を降って出発!

気持ちを切り替えて、と。

まず向かうのは駅!

私が東京から引っ越してきた時のあの駅。

「リリコ、お金は大丈夫?」

ライくんはお財布を確かめながら言う。

「うん、ちゃんと計算して持ってきたよ!自分の切符の分とお土産の分と予備のお金!」

私は昨日と今日とでお金はちゃんと確認してきましたから!

「じゃあ大丈夫だね!さっすがだなぁ、予備の分も持ってくるなんて優秀だねっ!」

ライくんはびっくりしながら感激している。

そうですとも、そうですとも。お母さんのおかげなんだよ!

お金は万が一のためって、どこか行くときにお母さんに毎日言われてたから自然に体に染み付いちゃったみたい。

ようやく駅に着いて、私たちはさてと、と息をつく。

最初にこの駅にいた時は、桜ちゃんと離れてしょげていたっけ。

今も桜ちゃんがいなくって寂しい。でも桜ちゃんを助けるための駅でもある。

切符を買ってホームに行って。

桜ちゃんのことを考えていたらいつの間にか目の前に電車がついていた。

「リリコ、乗り遅れるよ。」

ライくんに言われて慌てて電車に乗ったら。

「リリコ、さっきから大丈夫?顔色悪いよ。」

ライくんが心配気に私の顔を覗き込んだ。

「え…。」

私、桜ちゃんのこと考えてるうちに気分が悪くなってたかな?

そんな気持ちを読み取ったライくんは、

「無理するなよ?なんかリリコ、頑張りすぎちゃいそうだからさ。」

ライくんは窓の外を見ながら一言かけてくれた。

「ありがとう…。」

そうだ。そうだよ。

あんな大きくて強い悪精を生み出したのはセツくん。

だったらセツくんはもっと強いに決まってる。

私、突っ走りそうなところだった。

まずは冷静に状況を確かめないと!

「リリコは無理しすぎるといけないから。大丈夫。俺がセツを止めてみせる。」

「ライくんも無理しすぎないでね?」

「あ、バレた?」

なーんていつもの会話をしていると、ひとつ気が付いたことがあった。

「えっと、ライくんのお父さんとお母さん、和さんと綾女さんはこの旅のことなんて言ってたの?」

和さんと綾女さんはとっても厳しかったはず。

この旅のことをどうやって認めてもらったんだろう?

「あー、それはねー、えっとぉ、代わりの俺を作ってきた。」

「⁉︎⁉︎⁉︎」

どうゆうこと⁉︎ライくんを代わりに作ってきた?

「俺の魔術で代わりに留守番させてきた。だからこの旅のことは秘密ってワケ。」

「はぇぇ。」

バレたらまずいってことは感じ取ったよ…。

「まぁとにかく秘密ねっ!」

「はいいいいい。」

バレたら私も危ないっ!絶対に隠し通さなきゃ!

そんなこんなで話しながらと乗り換えしたり、軽いお昼ご飯を食べたりして楽しかった!って場合じゃなくて、

「着いたー!福島県だぁぁ!」

駅前でライくんは大声で叫んだ。

すると周りから声が聞こえ始めた。

−「あの子超イケメン!何年生かしら。」

 「背が高いから、高校とか?」

 「アイドルグループの1人だったりして?」

 「サインもらっとく?」

うわーぁぁ。これ絶対に私たち、バリバリ目立ってますよね⁉︎

「ラララ、ライくんんん!ちょっと急ごうか!早く桜ちゃんのこと助けたいなあっ!」

「リリコ、どうしたのいきなり!」

「いいから黙ってええ!」

私、注目浴びたくない!恥ずかしいっ!

ライくんを引きずりながら、近くの公園で休憩を挟んだ。

「ゼェッ!ハァッ!ゼェッ!ハァッ!」

私は全ラウンドを終えたボクサーみたいに息を荒くしている。

「リリコ、大丈夫?」

ぜんっぜん大丈夫じゃないよおおおぉっ!

「私っ、ゼェッ、注目浴びるのっ、ハァッ、嫌なのっ!」

私は喘息ぜんそくの人ぐらい息を荒くして答える。

「注目浴びた方が神社について詳しく聞けそうじゃん?」

ライくんはいたずらっ子のような笑みで返してきた。

「それはそうだけどっ!嫌なものは嫌なのっ!」

「えぇ〜?」

ライくんはまたまたいたずら顔だ。

その顔に許せそうになっちゃうけど、私はもっと怒ったふりをして、

「神社について聞くならライくん1人で聞いてっ!」

それなら私は注目浴びずに済むし、我ながらナイスアイディア!

「ふふっ!リリコ膨れちゃって可愛い!じゃあいいよ。じゃあ早速行ってくるから、リリコはそこで休んでて。」

「もうっ!」

ライくんは走って行っちゃった。

−それから10分後

ライくんがやっと帰ってきた。

「遅かったね。」

私も一緒に行った方が良かったかもっておもえてきちゃうよ。

「ごめんごめん。でもいい情報ゲットしたよ。」

ライくんはニヤリ。

「目指してる神社、この公園から近くて、徒歩で1分だって!」

「1分!」

「じゃ、さそっくいこー!」

ライくんはそう言うや否や、ビューンといちゃった。

「ちょ、待ってよぉ〜!ライくんってばぁ〜!」

全然徒歩じゃないじゃん!

走って休んでまた走って。

ライくんと一緒にいると、やばいくらい疲れるのが実感できましたとさ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「この神社すっごい!」

「おっきいねえ。」

無事に到着したその神社はライくん家に負けないくらい大きい神社。

「ここに噂の巫女さんがいるといいんだけど…。」

ライくんと私はキョロキョロキョロキョロ。

でもあたりに人はいないしとっても静か。と、思ったら。

「お前ら だれ?」

たどたどしい子供の声。

振り返ると、そこには大きい目の女の子がいた。

着物を着ていて髪はぱっつん。お人形さんみたいだ。

「あの、私たち、ここに『闇夜界』っていうものを知っている巫女さんがいるって聞いてやってきたんだ。その巫女さん、知ってるかな?」

私はその子に尋ねてみると、

「お前らの探している人 知ってる。 でも教えない。」

その子は無表情を崩さぬまま淡々と告げた。

「なんで?」

ライくんは神妙な顔で問い詰める。

けれど女の子は引き下がらない。

「お前らが知る必要 ない。 かえでと鈴音 忙しい。」

「かえでちゃんと、鈴音ちゃん?」

知らない女の子の名前が出てきた。

「自分 かえで お前らが探してる巫女 鈴音」

「あなたが、かえでちゃん?」

「ん」

かえでちゃんはコクリと頷いた。

「じゃあ、噂の巫女さんは鈴音ちゃんっていう子なの?」

またまたかえでちゃんはコクリと頷いた。

「いいから帰れ かえでと鈴音 忙しい 帰れ」

かえでちゃんはまた帰れコールをしてくる。

「お願い!その鈴音ちゃんに会わせて!」

でも引き下がるわけにはいかないんだ。

「なら かえでと遊んで」

かえでちゃんは無表情のままその言葉を口にする。

「遊ぶ?」

私たちはポカーンとした。

「かえでと遊ぶ だから勝負 かえでと戦う」

「えっと…かえでちゃんと勝負するってこと?_」

「うん」

かえでちゃんはそういうと、1つの細い枝を取り出した。

「お前がこの枝折れ 折れたら 鈴音 呼ぶ」

かえでちゃんはその枝を突き出して見せた。

「その枝折ればいいの?」

簡単じゃん!早くおって、桜ちゃんを助けなきゃ!

「もし 5分たって 枝折れない 帰れ」

「もしも五分以内に枝が折れなかったら帰るってことね。いいよ!」

私は笑顔で答えた。

「じゃあ 始め かかってこい」

かえでちゃんは動かずにじっとしている

「行くよ!」

私はかえでちゃんのそばまで走って枝を折ろうとした。

すると、私の目の前のかえでちゃんは霧に包まれた。

「えっ!」

私がびっくりしていると、

「こっち」

かえでちゃんは私の真後ろに立っていた。

「「今の、何⁉︎」」

私とライくんは同時に仰天。

「リリコ!あと4分30秒!」

ライくんはスマホを片手に叫んだ。

「任せて!」

私はまたかえでちゃんの持っている枝に掴みかかろうとすると、またかえでちゃんは霧に包まれて私の後ろへ。

「おまえ 動き 遅い」

かえでちゃんはニヒッと笑うと今度は一本の笛を取り出した。

すると、急にそれを吹き出した!

「ピュゥ〜ピュロロロロ〜」

短調のなんとも不気味な音を出すと、また霧に包まれ、霧が晴れたと思ったら、

「「「「フシャァァ〜ッ!」」」」

かえでちゃんの周りに白い狐が四匹出現した。

毛先は赤く、目はとてもつっている。

まるで幽霊ぎつねみたい!

そんなことを考えていると、その狐が襲いかかってきた。

「リリコ!これを!」

するとライくんが四枚のお札を投げてきた。

私はそれをギリギリでキャッチ!

「ありがとぉッ!」

って言ったのに。

そのお札を狐に取られてしまった。

「か、返してッ!」

私は狐からお札を取り返そうとジタバタしていると、

「あと2分50秒!」

ライくんに大きな声で叫ばれた。

どうしよう。

このままじゃ桜ちゃんを助けられないっ!

「あがいても 無駄」

かえでちゃんは勝ち誇ったように笑う。

考えろ考えろ!考えるんだっ!

今までの記憶の中にヒントがあるはず!

あっ!もしかしたら!

「青玉よ!霊を消せ!」

私は一か八かで叫ぶと、首に下げていた青玉がピカッと光ると、ピキィィィッと音を鳴らしてさらに強く光った。

その強い光に狐たちの目はくらみ、かえでちゃんの元へ帰って消える。

「リリコ!あと30秒!」

「うんっ!」

ライくんに合図を受け、私はかえでちゃんの元へ!

「あおだま…⁉︎」

かえでちゃんはびっくりして動きがとまった!

「隙ありっ!」

私はかえでちゃんの持っている枝を掴み取った!

そして力を入れて折り曲げる!

ポキッ!

「「折れたっ!」」

私は折った枝を握りしめて、ライくんと顔を見合わせる。

「「 やったぁぁぁっ!」」

私はライくんとハイタッチしていると、

「ほほう、見事じゃ!かえでに勝てるものなんぞいないと思ってたわい!」

神社の方から無邪気に笑う女の子の声がした。

振り向いてみると、そこには背の高い女の子がいる。

お団子頭の下にツインテールをしている個性的な髪型で、くっきりとした目の美人さん。

巫女さんの服を着ているから、もしかしてっ!

「鈴音!」

かえでちゃんは巫女さんの方を見てそう言った。

「この人が、鈴音ちゃん?」

私が尋ねると、巫女さんが笑って答えた。

「そう、わらわが鈴音じゃ!『神堂 鈴音』!ここの主!兼、ここの巫女さん!中一じゃが学校は面倒なもんなんで行っとらん!」

鈴音ちゃんはどーんと胸を張ってニコッとした。

「コイツはかえで。とっくの昔に死んだ女の子じゃよ。霊になってずうっとあの世へ行きたくないって言うもんだからここにすませてあげてるんじゃ!」

「鈴音 優しい」

かえでは嬉しそうに鈴音の近くに行った。

「そんでお前らは?」

鈴音ちゃんに聞かれたので、

「わ、私はリリコ!こっちはライくん!私の親友がライくんの弟、セツくんにひどい目に遭わされているかもしれないんだ!だからそのセツくんのいる場所、『闇夜界』に行きたくてきたの!行き方を知っていたら教えてくれませんかっ?」

私は言いたいことを言い切ると、鈴音ちゃんは顔をしかめた。

「そんなところに行ってどうする?一度行ったら戻れないかもしれない。もしかしたら自分もひどい目にあうかもしれないんじゃよ?」

鈴音ちゃんは念を押すようにもう一言。

「最悪の場合、死ぬリスクもあるんじゃ。」

「「!!」」

死ぬ。

私が一番嫌いな言葉だ。

でも、桜ちゃんはもっと苦しい目にあってるはず。

親を殺されて。

その殺した憎き相手の仲間になって。

その辛さを誰にも打ち明けられなくて。

暗くて苦しい闇の世界でずっと怖い思いをしてきたんだ。

「…それでも行く!」

私はまっすぐに鈴音ちゃんを見つめた。

「お前は死ぬのが怖くないのか?」

鈴音ちゃんも三白眼の綺麗な目で見つめ返す。

それが逆にためらう気持ちを生まれさせてくる。

「怖くないっ!」

でも本当はすっごく怖い。

痛いのは嫌。怖いのは嫌。暗いのは嫌。死ぬのは嫌。

それでも桜ちゃんは親友だ。ここで引き下がることは許されないの。

「私の、大切な友達だもんっっ!」

「リリコ…」

ライくんも私をなんとも言えないような目で見つめる。

「わらわは責任を取らないぞ?」

「う、うん…。」

鈴音ちゃんは、はぁとため息をつくと青玉に指をコツンと当てた。

「その勾玉を使うからこっちに持ってこい。」

「いいのっ⁉︎」

「だって友達のためなんじゃろ?」

「うんっ!」

鈴音ちゃんの顔は仏頂面だけど、なんだか柔らかさを感じる。

立派な神社に足を踏み入れるとお札がびっしり張ってある。

「これ、どうしたの?」

私が聞いてみると、

「昔、闇夜界を勝手に開いてしまったものがいる。闇夜界にはたくさんの悪精が存在しているからこの世に出てしまったんじゃ。わらわたち神職にしか見えないもので、警察は呼べんし困ったものじゃ。まぁ、わらわたちだけでなんとか倒して闇夜会を封印できたんじゃがな。その時に使ったお札ちゅうわけ。また闇夜界をあけるとはなあ。」

鈴音ちゃんは半笑いでやれやれ、と首を降っている。

「確かに、うちの神社にある古い本にもそのようなことが書いてあったな…。」

ライくんもうなずいている。

「え、でもちょっとまって!もしかしたらセツくんが生まれる前から闇夜界があったってわけ?悪精も?」

じゃあ黒幕はセツくんじゃない?

セツくんも誰かに操られている?

「そうかもしれないな…。」

ライくんも難しい顔をして腕を組んでいる。

そうしたらセツくんを動かしている何かを封じなきゃ行けない可能性がある。

そんなことを考えていると、

「2人とも、ついたぞ。」

鈴音ちゃんがくるりと振り返る。

私たちは鈴音ちゃんのところにある物に「えっ」と目を見開いた。

だってそこにあったのは、

「「ツボっ⁉︎」」

そう、人が入れるくらいの大きなツボがあった。

フタには大きなお札が何枚もびっしりと貼られていて不気味な感じ。

「んじゃ今から開けるから急いで入るんじゃよ。」

鈴音ちゃんはそう言うや否や、お札を豪快にビリビリッと剥がした。

そして大きなフタを開けると、

ゴォォォォォォォッ!

大きな風がツボの中から吹いてきた。

「早く 入れ!」

かえでちゃんは鈴音ちゃんの後ろから叫ぶ。

「リリコ!行くぞ!」

ライくんが手を伸ばす。

私はその手を強く握って振り返った。

「鈴音ちゃん、かえでちゃん、ありがとう!絶対に帰ってくるからねっ!」

そういって私はライくんと一緒にツボの中に飛び込んだ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「あらぁ、可愛いお客さんが2人も来たみたいねぇ。」

暗い闇の中、1人の女がリリコとライが闇夜界に入って行くところを写している水晶玉を覗き込みながら、嬉しそうに体をくねらせた。

「気持ち悪いなぁ、そんなに体をくねらせて何が面白いのだ?こいつらはこのリミア様が遊ぶのだ!」

すると小柄の男の子が否定する。

「オキャクハヒサシブリ…。タノシミ。」

大きな石の怪物ゴーレムはワクワクしている。

「まぁまぁ、男子の方は好きにしてもいいけど女の子の方は傷つけないでね。」

一段高いところに置かれた大きな椅子に座っている男の子はみんなに向かってそう告げた。

「ナニユエ?」

ゴーレムが問いかけると、

「だって僕のお気に入りだからさ。それに、その子を傷つけると桜が悲しむだろう?」

そういって1人の女の子に視線をを向ける。

「セツっ、リリコちゃんを元の世界へ戻して!あなた達が傷つけなくてもリリコちゃんはセツに心を傷つけられるのよ!それに、リリコちゃん達は何も悪いことをしていないじゃないっ!」

そう叫んだのは桜だった。

そして大きな椅子に座っているのはセツである。

桜にまくし立てられても、セツは怯まずむしろあざ笑った。

「ハハッ、桜も分かってないなぁ。リリコは君を助けにきたんだよ?全部桜のせいじゃん。」

セツくんは笑顔で桜に皮肉を言う。

「っ!」

桜は苦しそうに顔を歪めた。

「大丈夫、すぐにリリコと会わせてあげるよ。君の死の間際にね。」

そう言ったセツの声は冷たい氷そのものだった。

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