6 ヒミツの女子会

「リリコちゃん、さっき告白されたんだよ?よかったねぇ。」

ニヤニヤしながらセレナちゃんが直球で話してきた。

「そうだよー!いっそ付き合っちゃえば?」

ナナちゃんまでニヤニヤしてる!

「えぇ⁉︎」

私の顔は真っ赤になっちゃった!

「でっでも、さっきのは冗談だって!」

「そうだねー。でも神社のオバケたちがこのことを聞いたらヤバイかもよ?」

サナちゃんが苦笑いで返してくる。

「え?なんで?」

私が頭の上に?をのっけると、

「実わね。キョンシーのリィ、オバケ界でかなりの人気を浴びていて、ファンクラブもあるだとか。」

「リィってさぁ、女子に見つけられると二分の一の確率で『サインください!』って言われるんだよねぇ。」

「えええっ!」

ナナちゃんとセレナちゃんの話を聞いてびっくりしちゃったよ!

そんなに人気高いんだ…。

「だからリリコちゃん!奇跡なんだよこれは!」

サナちゃんが満面の笑みで返した。

「いや、だから告白じゃないって〜!」

こんな風に女子とじゃれ合うの、初めてかも。

私に大事な友達が増えたのがとっても嬉しい。

そんな話をしていると、いつの間にかもう日がくれそうだ。

「じゃあまた明日ね!」

「「「また明日!」」」

私はルンルン気分で家に帰った。


「遅かったじゃない、リリコ。」

お母さんは私を心配していたみたいで玄関で待っていた。

「ごめん、ちょっと用事があったんだ。」

「ならいいんだけど…。友達はできた?」

「うん!」

それもオバケの!と心の中で付け加えた。

「それはよかったわねぇ。」

きっとオバケのこと話したらお母さんはびっくりしちゃうからヒミツにしておこう。

「お風呂はいっちゃって。」

「はーい。」

私はお風呂に入る前に自分の部屋に戻って勾玉ネックレッスを外し、巾着に入れる。

もう一つの赤い巾着も気になるけど、ピンチになるまで開けちゃダメだ。

ムズムズした気持ちを抑えて巾着を大事に握った。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「ふぅ〜。」

お風呂に入ってご飯を食べて。

歯磨きも終わった私は疲れ切ってベットにゴロン!

「今日って確か満月だよなぁ。」

そういって部屋の窓をあけると、

ビュン!パシィ!

一枚のお札が飛んできてちょうどそこにあったクローゼットにビタンと張り付いた!

「え!え⁉︎な、何⁉︎今の!」

お札をペリッと剥がすと

【今から白梅東公園に来てくれる? ライより】

そう書いてあった。

え⁉︎今から⁉︎

もう夜の9時だよ⁉︎

するといきなりお札の文字が変わった。

【大事な話があるんだ。】

う〜ん。大事な話って言ったって…。

お母さんにバレたらライくんのヒミツだって話さなきゃいけないだろうし…。

でも、ライくんが大事っていうならいこっかな…。

「わかった。行くよ。」

お札に言っただけで、

【ありがとう!このお札も一緒に持ってきて。】

勝手にお返事が来た。

こわっ!!!ライくんのお札こわっ!!!

なーんて考えてないで早く行かないと!

パジャマで着替えるのめんどくさいし、上にジャンパーでもはおっていこ!

こっそり部屋を出て靴に履き替える。

(行って来まーす。)

心の中でそう言って真っ暗な夜を1人歩くことになった。


あれ?今更だけど、「白梅東公園」ってどこ?

これ、迷子になっちゃった?

するとお札の文字が、

【学校の東校門出て右行ってすぐ。】

に変わった。

道案内もできるしお札って便利だな。

窓から急スピードでくるのは正直メイワクだけど…。

てくてく歩いたらすぐについた。

「あ、リリコ!」

ライくんが手を振ってくれた。

「ごめんね。こんな夜中に急に呼び出しちゃって。」

急に謝罪されてこっちも気まずい!

「い、いや!大丈夫だよっ?」

変な風に声が上ずっちゃった。

ライくんは「ありがとう」と返すばかり。

そして、

「大事な話ってのもなんだからベンチに座ろう。」

ライくんがそう行ったので公園のベンチに2人、座ることになった。

「…あの、大事な話って何?」

おずおず尋ねると、

「ああ、びっくりさせちゃったかな。ごめんね。あのね。本当にリリコには申し訳ない話なんだけど、」

ゴクリ。

次の言葉を待っていると、ライくんがスゥッと息を吸って話した。

「リリコに家の神社にきて欲しいんだ。1人で。」

え。はぁ?

「父さんリリコのこと話したらぜひ会いたいって言ってさ。でも極秘密情報も話すから1人で来て欲しいって言ってたんだよ。」

そして最後にライくんがパチンッと手を合わせ、

「お願いっ!リリコ!父さん、ずっとリリコの勾玉探してたんだ。神社、来てくれないか⁉︎」

えーと。なんかいまいち頭に入ってこないけど、これ行った方がいいやつじゃない?

特に最近予定ないし、行ってもいいけど…。

そんな大事なんだ、勾玉。

ずっと探してたっていうなら見せてあげた方がいいし、ライくん家も見てみたいという好奇心がある。

するりと言葉が出てきた。

「いいよ!いつ?」

この言葉を聞いたライくんは目を見開いて、「ありがとう!ありがとう!」となんども言った。

「神社にきて欲しいのは今週の土曜日!待ち合わせ場所はここでいいかな。」

スラスラと決めていく情報を頭でなんとかキャッチ。

「わかった!楽しみに待ってるね!」

笑顔で返して帰った。


帰り道、家に着くもうちょっと前。

私は何かにポンと肩叩かれた。

後ろを振り返ってみても誰もいない。

するといきなりこんな声が聞こえた。

「君。ライという人間とはもう関わらない方がいいよ。」

アルトの透き通った男の子の声。

ライくんでもリィくんでもムーくんでも仁君でもない誰かの声。

私は怖くなって、走り出した。


この頃は、その声が危険をもたらす声だとは考えもつかなかったんだ。

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