5 任せられた仕事
−「君は本当に選ばれし者なのかをテストさせてもらう。」
誰もいない校庭で。
私の前には1人、キョンシーのリィくんとライくんが突っ立っている。
そしてライくんはのんきそうに
「その勾玉をつかってオバケを封印できるかチャレンジ〜!」
と言った。
ってマジですか‼︎
封印とかやり方知らないのに!
「今からこのキョンシーのお札をはがすから、自力で封印してみてね。もし危なさそうになったら助けるから!ちなみに呪文は『時と共に眠れ。空と繋がり星を取り、今、今宵の元へ封印させよ。』だよ!」
ゴクリ。
なんか危険な予感がしてきたゾ?
「僕、ここなん年もお札はがしてないから心配だなぁ。」
リィくんさえも緊張してる。
「じゃあ行くよ!3、2、1!」
よし!
「スタート!」
ライくんがリィくんのおでこに貼ってあるお札をベリィっとはがす。
すると
「うう…ぐっ…うああっ…!」
リィくんがうなり始めたと思ったらリィくんの目は充血して真っ赤になっている。
私の方を見ると、
「人間…人間…血…食料…人血…」
いきなりボソボソ呟き始めた。
そして。
「人血!人血ぃぃっ!」
おそいかかってきたっ!
ピョンピョン飛ぶ速さも、人間が走ってる速度とおんなじくらいだ。
「ぎゃああ!」
怖い怖い!怖すぎるって!ホラー映画みたい!
夢中になって逃げるけどすぐに追いつかれそう!
そうだ呪文!呪文とかなきゃ!
「時と共に眠れ。えーと、空と繋がり星を取り、…今、今宵の元へ封印させよだっけ?」
「きちんと言わないとダメだよ!」
ライくんが大きな声で言う。
「と、時と共に眠れ。空と繋がり星を取り、今、今宵の元へ封印しゃしぇよ⁉︎」
惜しい!早口すぎて最後ちゃんと言えてなかったよー(泣)!
そんなことしているとキョンシーのリィくんにあっという間に追いつかれちゃった!
「人血…人血…ちょうだい!」
「いやぁ!」
「リリコ!」
ライくんが助けようとしてくれた時。
なぜか自然と口からこの言葉が出てきたんだ。
「時と共に眠れ。空と繋がり星を取り、今、今宵の元へ封印せよ‼︎」
シュワァァ!
勾玉は光だし、リィくんは「ウウッ…!」うなる。
「リリコ!このお札を『攣』と言ってはれ!」
ライくんにお札を渡される。
私はリィくんのおでこにビタン!とはって、思いっきり叫ぶ。
「攣!」
するとリィくんはまたうなり出し、そのあと目も元に戻った。
「はぁ、よかったぁ。」
すっかり腰を抜かした私をリィくんがジッと見てくる。
「君、すごいね。封印するの初めてでしょ?」
「う、うん。でも、ライくんにアドバイスとかもらわなきゃできなかったよ。」
へへっと笑う私を見たリィくんは私に近ずいてきていきなり抱きしめられた!
「大好き!」
「はぁ⁉︎」
その場にいたみんなポカーンとしている。
「僕ね、感じたんだ!お札はられた時のリリコちゃんの顔見たらさ、本気で取り掛かろうとするあのやる気に満ちた顔。目は見開いて怖がりなのにしっかりやりとげたんだ。僕そういう子好き!」
急にリィくんが笑顔で語り始めた。
我にかえったらしいライくんは、
「きゅ、急に何⁉︎」
赤くなっちゃってる。
「ふふっ!なんちゃって〜!ライ、焦って赤くなるのかわい〜。」
ニヤニヤ笑うリィくんにライくんはもっと赤くなる。
「っじゃあ本題戻るね!」
ライくんは話題を変えようと深呼吸をした。
「リ、リィも言ってた通り初めてにしては封印するのが早い。やっぱり、選ばれし者なのかもな。呪文はもう覚えたか?」
「う、うん!」
褒められた!私も呪文をみっちり覚えられたよ!
「今日はもう遅いし帰るか。詳しくは明日話す。父さんにも言っとくね!」
「う、うん。またね!」
ニコッと返したらライくんが振り返る。
「あと…。これからもよろしくねっ!リリコ!」
そういってライくんは自慢の足で走って帰ってしまった。
男の子オバケグループもライくんの後に続いて帰って言った。
この勾玉…そんな威力を持ってたなんて。
そんなことを考えていると…
「「「リーリッコちゃん!」」」
目の前にオバケさ3人が現れた。
「メデューサのナナちゃんと、セイレーンのセレナちゃんと幽霊のサナちゃん!」
「「「正解!」」」
「どうしたの?」
「ちょっと友達になりたいなぁ〜って思ったんです〜。」
「!」
友達を作りたいと思っていた私が幽霊に友達を申し込まれるなんて!
ちょっとドキドキしたけど、
「この後少しお話ししてから帰らない?」
サナちゃんが言ってくれた。
この後予定もないし、少しおしゃべりもしたかったし、
「うん!」
正直に答えた。
「じゃあ決まりね。女子会の始まりよ!」
ナナちゃんの合図で夕方の女子会が始まった。
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