第8話 小さな魔法でモテモテくん

pm8:20


「じゃぁあらためて乾杯!」

「かんぱーい」


「食べたいもん言ってね頼むからさ」


涼はテキパキと段取り、次々と料理が運ばれてくる。

会話の主導権も涼が握り、場を盛り上げてくれる。

さすがは元ホストといったところだろう。

女の子たちは涼のトークと美味しい酒に酔いしれる。

小阪はうなずくばかりでなかなか話に入れないでいた。


pm9:30


「俺酒飲むとすぐ赤くなっちゃうんだよねぇ、お酒もあまり強くないしね」

「涼くんお酒強いよ!顔赤くなったのも可愛い」

そう言ってヒナが涼の顔を撫でる。

だいぶお酒もまわり大胆になってきている。


涼くんモテるなぁ、あんな可愛い女の子が自分から言い寄っているように見える。

そういえば涼くん前に言ってたよなぁ...


「俺自分から女の子にいかないっす!相手からこさせる形にするのがベストっすね」


なんだかんだ言っても、元ホスト!俺なんかとは顔のつくりからして違うからなぁ...

いいなぁ...


小阪は羨ましそうに涼を見てる。その姿を隣にいるカレンは見逃さなかった。


「コボちゃん、今二人のこといいなぁって思ったでしょ」

「えっそんなことは...」

「そんなことは無いは、無いでしょ」

「うっ...」

カレンちゃん酔ってるのかなぁ?

上目遣いで頬を少し膨らまして口を尖らせている。

可愛いなぁ、唇キラキラしてる。

「今、私の口見てた?」

「あっいやっ」

「このリップグロス。香りつきで、お気に入りなの」

カレンはバックからキラキラしたパッケージのリップグロスを取り出して小阪に見せる。

「すっごいお気に入りなんだよ、パッケージもキラキラで宝石みたいでしょ。でも、もう買えないの。だから大事な日にしか使わないの」

大事な日?俺との飲み会をそんな大事に思ってくれてるのかぁ


小阪はたまたま涼に誘われ、カレンもたまたまヒナに誘われただの偶然なのに、どこをどう勘違いしたのか小阪ありきの飲み会にカレンが参加したくて参加したと、勘違いにもほどがある勘違いをしているのであった。

「そのリップグロスってネットでも買えないの?」

「全然買えないよ。コロナでマスクする生活が続いてリップグロス売れなくなってね、その会社潰れちゃったみたいなの。でも潰れた時の商品をどっかの会社が回収して売ってるって噂だけ」

「そっかぁ」

小阪はスマホを手に取り検索してみたがやはりどこにも置いてないようだった。

「誕生日に友達から貰ったんだ。自分でも買っておけばよかったなって今も後悔してる。」

カレンちゃんに買ってあげたいなぁ...

売ってないものを買うなんてできないよなぁ...

お金あげて違うグロス買ってもらえばいいんかなぁ...

小阪は、バックのなかの財布を取り出そうと財布を持ったとたん...

「あちっ」

またあの時と同じ熱さを指が感じ、絆創膏で隠した部分が中で光っている。

「コボちゃんどしたの?大丈夫?」

カレンは小阪がバックに手を入れて何かでケガをしたのかと心配して声をかける。

「大丈夫だよ、ちょっとバックの中にあるボールペンかなんかが当たっただけかな...」

「いきなり声あげるからビックリした」

「えっえー!」

小阪は先程より大きな声をあげる。

「なっなに?コボちゃん?」

小阪のバックの中に先程見たカレンのキラキラパッケージのリップグロスが三箱も入っている!!!

「こっこれっ」

「リップグロス!!なんでコボちゃんもってるの?しかも三箱も!」

「さっサプライズプレゼントだよ」

「ホントに貰ってもいいの?」

「あ..ああ」

「ありがとー嬉しい」

潤んだ瞳をさらに潤ませて彼女は微笑んでリップグロスを受けとる。


どうなってんだぁ!指が熱くなって光ったと思ったらカレンちゃんにあげたいと思ったリップグロスが一瞬で出てくるなんて!

もしかして欲しいと思ったものが強く願えば出てくるって仕組みか!

童貞で30超えたらなんちゃらって、

魔法が使えるってことですかぁ!

神さまが俺に力を与えてくれたってことですか!

落ち着け!落ち着け!落ち着け!俺!


小阪が隣のカレンに目を向けると幸せそうな表情でリップグロスを眺めている。

小阪は深く深呼吸し、心を落ち着かせてからバックを膝に乗せバックの中に手を入れる。


心の中でカレンの下着が欲しいと願う...


「...」


熱くなったのは指ではなく股間だった。

大きくなった股間のせいで膝に置いたバックは元に戻すことはできない。

バックの中をじっと見つめる小阪。

そんな姿を見たカレンはバックのなかを覗きこむ。

「何かまたでてくるの?」

ドラ○もんの異次元ポケットじゃねぇし...

「いやぁ、少し中を整理しとこうと...」

バックを覗きこんでるカレンと小阪の距離はほとんどなく、小阪の腕にカレンの豊満な胸がかする、さらにカレンの髪のいい香りが小阪の股間をさらに刺激した。

数秒の出来事が小阪には時が止まった感覚になり、カレンの香りと、かすった胸が永遠を感じさせた時...

「ううっ」

小阪は果ててしまったのだ。


バックから何か出るんじゃなくてバックの底敷のそのまたしたのところから出ちゃいましたぁって!おい!俺!

最低だなぁ...


小阪は初めて反省するのであった。


pm9:40


涼とヒナはまったりと語り合い。

小阪の魔法?により親密になる小阪とカレン

そして小阪砲の発射....


お店はラストオーダーの時間をむかえることとなったのであった。











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