第7話 ヒロイン登場メロメロくん
pm7:46
「遅いっすねぇ」
涼はネックレスをいじりながらビールを飲む。
「そのネックレス重そうだねぇ」
「これヴィトンのコリエチェーンですよ」
「コリエ?」
「十万くらいしたんすよ!先月は給料はカツカツだったんすよ」
「俺もこの前カード買ったからカツカツだよぉ」
「でも趣味にお金使わないと働いてる意味ないっすよ」
「そうだねぇ、働いてるもんね」
けど、百万オーバーのカード買ったなんて涼くんには言えないなぁ
その時..
コンコン
襖が開いた。
「こんばんわぁ」
スラッと伸びた足、高身長でスタイル抜群。
髪は巻かれて目はパッチリ、今時のギャルが入ってきた。
「涼くーん」
涼に手を振りながら隣にちょこんと座った。
この女子が涼くんが狙ってるって女子かぁ
あれっ?1人?
これはまさか目の前でイチャつくカップルを眺めながら飲むという地獄めぐりか!
「あれっ?1人?友達は?」
「友達お酒弱いからコンビニで胃薬買ってからくるって」
「胃薬?おっさんだなぁw」
たしかに飲む前に飲むとかおっさんやんかぁ、だいたいこんな可愛い女子の友達ってブスって設定なんやろぉ!アニメだったら絶対友達も可愛い設定なのに!
「この人が俺の世話になってる会社の先輩で、小阪さん」
「小阪です。コボって言われてます」
うわぁ目があったぁ、聞かれてないのにコボとか言ってしまったぁ
「じゃぁコボちゃんはじめましてヒナです」
コボちゃん?きたぁー!女子にコボちゃん言われんの悪い気はしないやんかぁ!
「ヒナさん?なっ何飲みます?」
「コボちゃんのそれなに?一口ちょうだい」
ヒナは小阪のグラスを取るとコクっと一口飲んだ。
「美味しい!これにする。涼くん頼んで」
小阪はヒナの口をつけた部分を凝視する。
飲み会始まって2分!楽しすぎる!あーヒナさんが可愛く見えてきたぁ!涼くんには悪いけどヒナさんが好きにになりましたぁ!
初めての飲み会。小阪はアルコールに弱いからアルコールのせいか、妄想に酔ってしまっているのか定かではないが、今この時、絶好調の有頂天野郎なのである。
pm8:07
コンコン
再び襖が開く。
「お待ちどうさまです。カシスオレンジになります。」
店員が注文したドリンクを運んできた。
その後ろに誰かいる。
「こんばんわぁ、遅れました。」
これまた美人登場!赤の首もとにヒラヒラのついた服に白地に黒のバラの模様のスカート。ほっそりしていて身長は160センチくらい。しかし出るとこは出てるグラマーというやつだ。
髪は背中くらいまで伸び、毛先はクルンと少しくせのある感じ。
目は目尻が気持ち下がっていて優しそうな潤んだ目をしている。
小阪は完全に思考停止。
もろにタイプ!大好き。大好物。
「遅いよーカレン」
「ごめんなさい。はじめましてカレンです」
透き通るような優しい声に、小阪はまたも手首を折り曲げ胸の高さで左手を硬直させたままぼーとしてしまった。
「私の隣にいるのが涼くんで、この人が涼くんの先輩のコボちゃん」
「コボちゃん?」
カレンは先輩がコボちゃんと呼ばれてるのが不思議だった。初対面からコボちゃんていったい元の名前は何?小堀とか?
「彼女が友達のカレンね。コボちゃん仲良くしてあげてね。」
「よろすくしますです」
緊張しすぎてしどろもどろな小阪。
「wwwコボちゃん緊張しすぎ!カレンのことタイプなんでしょ」
ヒナちゃんなんてことを...
ズバリあなたが言うように1ミリも外れてない真っ直ぐなストレートのど真ん中ですよ。
同じ空間にいるだけで幸せというか、なんだか部屋が明るくなったというか、いやいい匂いもする。
「コボちゃんの隣いいですか?」
カレンが小阪の隣にすっと座ってきた。
「汚いとこですがどーぞどーぞ」
「小阪さん、汚いところってw自宅に招待したわけじゃないんすからw」
「小阪さん?」
またもカレンの頭は考えてしまった。
こさかに「ぼ」なんてついてない!名前が「ぼ」から始まるってこと?外人?
「カレンさん、僕、小阪っていいます。みんなコボって呼んでますからコボでいいんで」
「コボ?」
イントネーションも違う!「ぼ」で上がる発音!何かをこぼしたって時と同じイントネーション!ヒナ間違ってるよ!コボ↗️だからコボ↘️じゃないのよ!それよりどこから「ぼ」を持ってきたのよ!お笑いのボケだったとか?しかもめっちゃこの人細い!私といい勝負の腕の細さというか足も細っ!なんだか興味しんしんなんですけどぉ!
小阪はカレンのじっくり観察する姿を見て思った。
なんだぁジロジロ観察してるぅ、服に穴でも空いてるとか?いやいやダメージは涼くんのほうが...ださいとか思ってるのかなぁ?
でも興味深い顔で見てるよなぁ。
あっ!もしかして!
あなたも僕がタイプとか?でなきゃそんな興味深い顔しないよね?
マジですか!マジですか!
その顔は今時な言葉でマジ卍ってやつですね!今まさに俺はマジ卍ですよ!
絶好調の小阪の妄想はこの時暴走していた。
妄想を暴走ってマジ卍!
飲み会はまだ始まったばかり!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます