第6話 初飲み会はドキドキくん

pm6:55

会社から30分ほど車を走らせると繁華街に入る。田舎だけど金曜日ともなればそれなりに賑わっている。初めてくる繁華街の狭い道を涼が助手席からナビゲートする。

「そこの立体駐車場に停めちゃいましょう」

涼の指差すパーキングに小阪はウインカーを出して入る。

ゲートが見えてきた。

運転席の窓を開け駐車券を取るとゲートが開く、立体駐車場を登って行くと三階でやっと空車の文字が見える。

「三階でいいかな?」

「どこでも大丈夫です」

車間の狭い駐車場にバックで停車させパーキングにギアを入れほっと一息つく小阪。

助手席の涼はスマホで女の子と連絡をとっている模様。

ほどなくして涼のスマホが鳴る。スマホを見て涼は小阪に言った。

「女の子たちは後一時間くらいかかるそうなんで、場所も決めてあるんで先に行って飲んでましょう」

「そうだね」

立体駐車場のエレベーターに向かう二人。

エレベーターの中は大人四人がやっと乗れるくらいのスペース。階数の表示を眺めながら小阪の緊張は増していった。

一階についてエレベーターを降り、繁華街の細い裏路地を慣れた感じで涼が進む。

そのあとをとぼとぼと下を向いてついていく小阪。

5分ほど歩くと和風モダンな建物があらわれる。

「ここです」

涼に言われて、あらためて建物を眺める。


なんかおしゃれな店だなぁ、値段も高そうな感じがする。白のノレンをくぐり入り口のドアを開ける。

「いらっしゃいませ」

若い女の子の店員が丁寧にお辞儀をして迎えてくれる。

「予約した小阪ですけど」

涼は小阪の名前で予約していたようだ。

「はい、御予約の小阪様ですね」

店員はタブレットで予約席を確認する。

「二階の個室になります。履き物を脱いで下駄箱に入れてからお上がりください」

下駄箱に靴を入れ、鍵の代わりに木で出来た札があるので、その札を取ると鍵が掛かるようになっている。

「ご案内します。こちらへどうぞ」

小阪は店員のあとをついて階段を上る。

階段を上る若い女の子のおしりが目の前にある。これからの飲み会への興奮とおしりが小阪の股間を熱くさせる。

ポケットに手を入れ股間を押さえつける。

飲み会に誘われ、店に入り部屋に案内されるだけのことなのだが小阪の人生で初めての経験。ドキドキ感がおさまらず股間にまでドキドキを伝えてしまう。

階段を上り、廊下の突き当たりを右に行った個室に案内されれる。

気持ち前屈みで部屋に入り、堀ごたつ風のテーブルに足を入れる。床が暖房になっていて暖かい。

「ご注文方法はわかりますか?」

店員が二人に問いかける。

「はい、何度かきてるんで」

涼は慣れた手つきでタブレットを取りメニューを開いた。

「それではごゆっくり」

店員は丁寧に挨拶をして入り口の襖を閉めて出ていく。

「小阪さん何飲みます?」

「カシスオレンジで」

「俺はビールいきますね。ツマミはみんなが来てからにしますか。」

涼はタブレットで注文すると、

自分のスマホでなにやら女の子にLINEを送ってるみたいだ。

「先に飲んでるから早くこいって催促しときました」

「あ..ああ」

小阪は女の子がこれからくるという現実にもう興奮がとまらい。心臓はずっとドキドキしてるし、股間はいまだにあついまま。

とりあえず冷たいもん飲んでクールダウンしないと!

「小阪さん鼻血!」

小阪は押し寄せる緊張と興奮の波が最高潮に達し鼻血を出した。

「あっあれ?」

バックにあるティッシュで鼻血を拭う。

「興奮しすぎですよぉwww」

鼻血により、少しだけ落ちついた小阪であったが左手の手首を折り曲げ胸の高さで硬直させ目をパチクリさせながら、右手で鼻にティッシュを詰める姿が涼にはツボだったらしく涼は笑いころげている。


トントン


襖が開いて注文した飲み物が届く

「カシスオレンジと生ビールです」

小阪は乾杯もしないでカシスオレンジをグビッと飲んで「ふぅー」と息をもらす。

涼もやっと笑いがおさまりビールをグビッグビッっと飲んで小阪を見る。

「いやぁ鼻血早くおさまるといいですね、ちょっとゆっくり飲みましょう」

「そっそうだね」

冷たい飲み物とアルコールで気持ちがだいぶ落ち着いた小阪。


飲み会はこれから..


はたして小阪は初の飲み会を乗り切ることができるのか?

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