第5話 派遣社員くんと元ホストくん
pm 8:00
「おはようございます。」
見た目とは違って礼儀正しい派遣社員の涼くん。
襟足がピンクに染めてあり、今時っといった風貌だ。身長は170センチくらいで体重も普通くらいのスタイルで、仕事も出来るしリーダーからの信頼も厚い。人見知りの俺でもなぜか涼くんには話ができる。元ホストだけに聞き上手なのだろうか?
「最近ミスだらけでリーダーに怒られてばっかで嫌になるよ。」
「ミスも繰り返ししなければ大丈夫ですよ」
「でもさぁ、ちょっとのミスでも怒られて目の敵にされてるよ」
「期待されてる証拠ですよ。リーダーも小阪さんが時期リーダーだって言ってましたよ」
「ホントに?」
「ええ、自分も小阪さんしかいないと思いますよ。」
あーなんていいこなんだ。俺の事を理解したうえでの褒め言葉。
その気にさせられちゃうよ。
明日お気に入りのレアカード見せてあげよ。
小阪は涼の上手な受け答えに満身の笑みを浮かべた。
pm1:09
「小阪さん聞いてくださいよ。昨日インスタで知り合った女の子スタイル抜群だったんですよぉ」
「....」
苦手なんだよなぁ女子系の会話。
「小阪さんインスタしてます?」
「あっ一応Twitterはしてるけど...」
「あっそうなんすか?アカウント教えてくださいよ」
「いやぁ...」
会社の不平不満ぶつけてるツイートなんかみせられんちゅーの
「やっぱプライベートだからダメですよね」
「まぁ、まぁね」
「小阪さん今は彼女いるんすか?」
「えっ、あっ、今はいないけど」
「もうクリスマスも近いし、彼女捕まえないとですね」
「...」
今はじゃなくてずっといないが正解。
生まれてからこの年になるまで彼女はいないし、好きになった女子は中学の時の同級生。
告白すら出来なかったなぁ...
ゲームでの疑似恋愛やアニメのヒロインは裏切らないとのめり込んだ青春時代。
小阪はリアルな女の子との接し方など知るわけもなく。涼の話す女の子の話を頭のなかでアニメ化して少しだけ羨ましいと思いながら聞いているのだった。
pm4:52
「小阪さん今日も、もう少しで終わりそうですね」
「うん。トラブル少なくてよかったよ」
「今日なんすけど、インスタの女の子が友達連れてくるらしくて、定時で終わりそうだしこの後どうですか?」
「えっ!こっこの後?」
「はい、ご飯てか飲みに行きません?明日はシフトお互い休みですし。」
「....」
女子と飲み会!初飲み会!どうしよう、酒もそれほど飲めないし、断る理由も見つからない!行きたいけど、なんかどうしたらいいかわからない。
「その女の子狙ってるんで、小阪さんは友達のほうをお願いしますよぉ」
友達のほうをお願いって、どうすんの?
付き合うってこと?
「はいはい、もう計算のチェックも終わったし、早く帰って飲みに行きましょ」
涼は小阪の両肩を後ろからつかみ、グイグイ押して更衣室へ向かった。
pm5:15
やばいやばい!どうしたらいいんだ!
タイムカードの前で着替えた涼が待っている。派手にペイントされダメージのあるジージャンを来て、スリムなパンツ、これまたダメージのあるジーンズ。
どんだけダメージあたえてるんだ!
前髪を人差し指で横に流すとこっちを見て
「小阪さんタイムカードOKです。現地まで小阪さんの車同乗お願いしまぁす」
「あっ...えーっと、」
おどおどして断ることも出来ない小阪の後を涼は今日の作戦やらどこで飲むとか話を続けながら、とうとう車の助手席に座ってしまった。
「それじゃぁナビしますんで宜しくお願いしまぁす」
「あっああ」
もうこうなったら諦めて行くしかない!
これは合コンというやつか?
まさか女子との飲みに誘われるとは、
カードやライブのオフ会以外参加したことない俺と、
いつもリアル女子に囲まれてる涼くんと...
飲み会...
少し気乗りしない小阪であったが、
これから起こりうる想定を思いつく限り妄想し大いに胸を高鳴らせた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます