第4話 カードをカードでお支払くん

あれから数日がたった...

11月某日、朝晩冷え込む時期になってきた金曜日のこと。

pm 12:05

「ふぁぁぁあ」

小阪は連日の残業で疲れきっていた。

もう昼なのに布団から出れない。

「カードもうきてるかなぁ」

寝癖のついた頭をボリボリかきながら布団からやっとのことで出た。趣味のカードのためなら疲れも忘れるのだろう。

身仕度をしてカード販売店に車で向かう。

「今日はわりと暖かいなぁ」

お気に入りのアイドルプロデュースの音楽をボリューム上げてノリノリで車を走らせた。


pm13:23

カード販売店に着くと入り口の自販機で暖かいコーンポタージュを購入した。

カードの新作発売日だけあってわりと込み合っている。

みんなカードを買って開封しながら歓喜の声が飛び交う。

「やったぁレアカードゲット!でもこっちじゃないんだよなぁ」

そんな人たちを横目に小阪はカウンターに向かう。

俺はボックス買いだから、レアカードは必ず入ってるんだよね、この日の為に残業頑張ってご褒美だよねー。1ボックスたしか78000円だから倍の2ボックスで156000円かぁ、今日は財布に二十万ちょい。給料全額おろしたからなぁ。アイツらとは愛が違うわけですよ。

「予約した小阪ですけど」

「いつもありがとうございます」

店長も俺がいつもボックス買いしてるせいか他の奴等とは扱いが違うな。

「今回はだいぶ気合い入ってますねぇ」

「まぁ今回は絶対欲しいレアカードあるんでね」

「そうですか、それでは品物を用意させていただきますね」

店長はレジ裏の部屋に予約したカードを取りにいった。

いつもならすぐ近くの棚にあるのですぐに持ってくるはずだがこない。

店長も2ボックス頼まれることもないから違う棚にでも大事に保管してんだな、焦らしやがって早くカードを持ってこいっちゅーの。

小阪はワクワク期待しながら待った。

「小阪さんお待ちどうさまです」

小阪の背後から店長の声がする。振り返って見ると、

「えっ」

小阪は息を飲んだ。

台車に乗せられ大量のボックス。

「いやぁ20ボックスの注文なんて初めてですよ、レジ裏の部屋に入らないので倉庫に保管してたんですよ。」

「20ボックス...」

「お支払はやはりカードですかね」

「あっあっそっそうですね」

小阪は全身の血の気がひいて、震える声で答えた。と同時にスマホ購入を確認する。

「!」

うわぁやっちまったぁ!0が一つ多い!1ボックスで200枚で1袋×10袋=1ボックスなので注文は20袋と頼んだはずが200袋頼んである!単純に金額は俺が思っていた金額の10倍、ひゃっ百五十六万!まてまてまて財布の中身は二十万ちょいで全然足らんやんかぁ!!!カードをカードで払う?カードの限度額は大丈夫かぁ!


小阪の所持してるカードは親のクレジットカードである。日頃お金が足りない時に使って支払期限までに親にお金を渡すといったものだ。


とりあえず今はこのクレカしかない、なんとか足りてくれぇ。でも何回払いにしたらいいんだ百五十六万だろ!軽自動車なら新車買えるじゃねぇか!

小阪はとりあえずカードを店長に渡す。

「ありがとうございます。何回払いにしますか?」

「あの12回でお願いします。」

1ヶ月に約十三万も払わないといけないのか!生活費切り詰めて他の課金も辞めて!

一年もそんな生活俺には無理だぁ

涙が頬をつたう...

店長には嬉し泣きに見えたのだろう。

「これなら狙ってるレアカードでますね」

そういって肩をポンっと叩いてくれた。

小阪は台車を借り、そのまま停めてある車に向かう。周りのやつらは20ボックスという業者なみの買い付けに、うらやましそうな顔で俺をみんなが見てる。しかし表情を曇らせたまま店をでて車にカードを積み込む。


完全に仕入れの業者状態。


「はぁ」

大きなため息をはく。

小阪はカード購入の嬉しさを忘れ、ただただこれからの支払いのことで頭がいっぱいになっている。

ぼーっと空を見上げると、皮肉にも空は雲一つない晴天。


小阪保 35歳 通称(あだ名)コボ

彼女いない歴イコール年齢。

趣味 カードゲーム アイドル育成ゲーム

身長175センチ やせ形

髪型 短髪

特長 黒淵メガネをかけて、色白。無口。

性格 極度の人見知り(コミュ障)

借金

156万円+車のローン月々三万円×2年。

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