15.正しさが絶対

 正しいことがいいこと。

 これは私の信じる絶対的な信条です。

 わたくしが、正しければいい。

 周りはわたくしに従っていればいい。


 そんなことを考えて大人になりました。

 けしからん者には注意をして、正しさを教えてやったのです。

 そんなこんなをしているうちに中年になりました。


 初めて自分の陰口に遭遇しました。

「あのおばさん、生きてて楽しいのかな?」

 人は楽しい生き物なのでしょうか?


 わたくしは、正しいことがすべてだと教えられたのに。

 違うというならわたくしのこれまでの人生は何だったのでしょうか?

 虚無感と脱力感に襲われます。

 こんなに自分が無力だなんて。思わないじゃないですか?


 私だって派手なドレスを着たかったですし、

 ネックレスや指輪だってしてみたかったですわ。


 着物しかきれない。おしゃれなんて着物に関することだけ。

 髪を染めるなんてとんでもない。


 それが正しいことだと思っておりましたもの。


 だから、今日も人の夢に出てやるんです。

 羨ましいと

 あなたに訴えるために。

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