7.好きな人が被ったお話
「ねぇ私好きになっちゃったの。どうしようぅ。あなたの元カレなの」
いきなり話があるからと呼ばれたカフェテラス。
頼んだサンドイッチを握りつぶしてしまった。ごめんなさい。大切な食材。
でも、一応友人だと思っていた人からの告白はモヤモヤするに足るものだった。
私の困惑なんてお構いなしに、彼の素敵なところを言う元友人。
どうしようじゃねーんだよ。
こちらがどうしてくれるんですかと言いたい。
彼とはあとくされなく終わったと思ったのに。
友人だと思っていたのに。
女の友情はこんなにももろく、儚い。
「彼と話したんだ。あなたって自己中なんだね。知らなかったよ」
元友人は彼に夢中。
ああ、これが私の姿なのだ。
(ああ、こんなに倫理観ないひとだったのかな)
ごめんとか申し訳ないとか感情が少しでもあったのなら、こんなこと言わないと思うのだが。
(こんなもんだよね。人間なんて)
頑張れ私。友人の幸せじゃないか。
わかっている。どんなに理性で好きだったといっても好きの感情はまだ残っている。
もう見ることもないし、懐かしむこともない。
パンドラの箱として胸の奥深く沈めることにした。
友情もろともに。
END
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