第24話 天使!?悪魔!?初代メンバー最強武勇伝!!(3)
「てことで!そんな凛に『これ』をやるよ!」
「へ?」
そう言って、差し出されたのはAサイズの分厚い包み。
「なんですか、これ?」
「あ~・・・男はどうあるべきか、知ることが出来るアイテムだ。」
「アイテム!?」
「そうだ!凛の足りないもの、気づいてないことがわかる内容になってる。凛の良いお手本にもなるはずだからよ。」
「僕の足りないもの?そして、お手本・・・・?」
「喧嘩してりゃ、レディースのいるチームとももめる。そん時、凛がどう対応するかは、旗揚げの時によーくわかった。相手の女も性悪だったから、凛のしたことが悪いとはいねぇが・・・硬派としてはな~」
「アウトでしたか?」
「予想外ではあったら、セーフだと思う。むしろ、凛はヤンキーらしさがない分、根っからのヤンキーを困らせるのが上手い。だから、そのことを自覚すれば、今よりももっとよくなると思うんだ。」
「自覚・・・」
「まずは、内容をよーくマスターして、クリアしろ!見たままでとらえるんじゃなくて、裏の意味も察するんだぞ!?」
「つまり、どういうことでしょう??」
「それを言ったら意味がない。」
疑問符が浮かぶ頭で聞けば、キリッとした顔で言われた。
「総長として、自分で読み取るのも大事なことだ!どんなに俺が凛の側にいようとしても、1人しちまうことがあるかもしれない。その時は、凛・・・・お前が決断しなきゃなんねぇんだ。」
見惚れる顔で真剣に語ると、私の目を見つめながらおっしゃった。
「俺は凛に成長してほしい。ただ、それだけだ。」
「瑞希お兄ちゃん・・・・!」
それで心の中が、感動と愛しさでいっぱいになる。
(そこまで私を愛してくださってるなんてぇ―――――――――!!)
その思いに、答えるしかないじゃないですかぁ♪
「わかりました!凛道蓮、真田瑞希さんからのミッション、必ずやり遂げてみせます!」
〔★凛は瑞希に忠実だ★〕
私の意気込みに、彼は微笑む。
「よしよし、あとで開けるんだぞ~?」
「うん♪」
良い子良い子だと頭をなでて下さったので、ますますやる気が出た。
「みーちゃん、なにあげたの?」
「そのうちわかるっての!凛を見守っていればな・・・!」
「俺、予測できたかも。」
「以下同文。」
「わはははは!」
「えー?なにそれ?あたしだけわからない~?あ、でもぉ~仕方ないわよねぇ~あたしだけ、女の子だもん♪」
(とはいえ、何をくれたんだろう・・・!?)
ドキドキしながら、貰ったものを抱きしめる。
(好きな人からのプレゼント・・・♪)
シルキロールに続く、ラブアイテム!?
「お兄ちゃん、瑞希お兄ちゃん!」
「どうした?」
「本当にありがとうございます!僕、頑張りますからね!?」
(これは期待していい!?)
愛の個人レッスンだと!?
〔★『兄弟』設定なのでそれはない★〕
「すっごく、楽しみです!なんだろう~?嬉しいなぁ~♪」
「俺も、凛が『良い漢』になっていくのが楽しみだぜ~?」
「やれやれ、凛道には甘い奴だ。」
「いいじゃない!凛ちゃんは可愛いんだものぉ~」
「お前ら全員、凛たんには優しいだろーが?俺もだけどよぉ~」
「わはははは!そういや、瑞希!凛助をまつりの会場に連れてったんだってなぁー!?ジジイが言ってたぞ!」
「あ?皇助、会長のところに行ったのか?」
「わははは!トラック動かしてくれって言われてよー!」
瑞希お兄ちゃんが聞けば、バキバキと身体中の骨を鳴らしながら百鬼が言う。
「凛助のこと褒めてたぞ!礼儀正しくて、行儀がいいってなー!?」
「あら、当然よぉ~凛ちゃん良い子だもん!愛しいわぁ~♪」
「というよりも、凛道を連れて行ったのか、瑞希?」
「まさか、凛たんを屋台に出す気か?」
「悪いかよ?」
烈司さんの問いに、ムッとしたような顔で瑞希お兄ちゃんが言った。
「良い社会勉強になると思うから、凛にも体験学習させんだよ。」
そう告げると、私へとグラスを差し出す瑞希お兄ちゃん。
「ほら、凛。カッフェ・ドルゾ。」
「あ、ありがとうございます。」
渡されたのは、グラスに入っていたのは『カッフェ・ドルゾ』。
あまり聞きなれない名前ではありますが、カフェインゼロの麦からできたコーヒーのエスプレッソです。
コーヒー豆で作ってないので、『カッフェ』とよばれてて、小さなお子さんからお年寄りまでカフェインを気にせず飲めます。
ミネラルたっぷりの健康飲料でもあるのです。
〔★思いやりのこもった一杯だ★〕
「成長期の凛に、コーヒー飲ませ過ぎるのもあれだからな?」
「ありがとうございます!そこまで僕のことを・・・・!」
「そりゃあ、可愛い弟だからな~?」
笑顔を向けられ、『カッフェ・ドルゾ』を手渡される。
そのカフェインには、ストロー付きで氷が浮いていた。
マスクをしていても飲めるようにという瑞希お兄ちゃんの優しさが、ストローとして飲み物についていた。
(あああ~!瑞希お兄ちゃんの愛を感じる!)
〔★ついでに子ども扱いもだ★〕
幸せ気分で、ストローの先を口にくわえる。
冷たい飲み物が喉をうるおし、体の熱を消して行ってくれた。
そんな様子を見ていた瑞希お兄ちゃんが、質問してきた烈司さんへと言葉を返す。
「店の手伝い見て、わかってんだろう?凛は、接客に向いてるって。」
「そりゃあ、愛想は良いし、手際もいいからな。」
「あと、可愛くて素直~♪」
「計算間違いも少ない。」
「わはははは!」
「けど、体験学習ってレベルじゃねぇぞ、祭りの忙しさは?」
「そうねぇ~可愛い子には冒険させてあげたいけどォ~」
「いろんな人種が来るからな。テンパったらどうする?」
「わっはっはっ!」
「遊びでするわけねぇよ!そうだよな、凛?」
「え?」
心配そうに言う烈司さんと、そう言って私に問いかける瑞希お兄ちゃん。
〔★凛に話がふられた★〕
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