第22話 天使!?悪魔!?初代メンバー最強武勇伝!!(1)




合コンの約束をした日、久しぶりに『フェリチータ』が開店した。




「ありがとうございましたー!」




閉店直前まで、店内はお客さんであふれていた。




「凛!これ、2番札の人の持ち帰り分!渡してくれ。」


「はい、瑞希お兄ちゃん!」





ラストスパートをかける瑞希お兄ちゃんに、私も足並みをそろえる。




「お待たせしました!」


「ありがとう、凛ちゃん。」


「いつもありがとうございます。」


「いいよ、瑞希君。ここのコーヒーは消費者に優しい。」


「体にも優しいからね。」


「ありがとうございます。」




なごやかな常連客に、瑞希お兄ちゃんがお礼を言う。



安い値段と安全商品ということで、お客さんも多い。


日付が変わったと言うのに、人は途切れなかった。


久しぶりに見る瑞希お兄ちゃんに、お客さん達の話しもつきないからだ。




「瑞希、やっとお店を開けてくれたからね~最近、忙しかったの?」


「すみません。夜店の準備もあって。」


「本当に!?今年もお祭りに出るの!?」


「じゃあ、買いに行かなきゃね~」




瑞希お兄ちゃんの言葉に、常連のお客さんが喜ぶ。




「瑞希君のコーヒー美味しいもんね~」


「久しぶりだと、格別だよね~」




お客さんが来るのも、美味しいコーヒーのおかげ。




「瑞希君、今日も可愛かったわ~」


「癒されたよね~」




店主である瑞希お兄ちゃんの仁徳もあり。





「凛ちゃん、可愛いよね~!」


「ちょこちょこ動いてて、思わず触りたくなっちゃう~!」


「頭撫でちゃったー!」


「ほっぺ、プ二プ二しちゃったよ~」




(そして私は・・・・・・・・どうなんだろう。)




可愛いというのは、『男』としてってことになるよね?


それなのに頭撫でるとか、完全に『動物』扱いだよね?




「いや~凛がいると、女性客増えるぜ。年下との男の子は、癒されるらしいからよ?」


「そ、そうですか・・・」



瑞希お兄ちゃんが褒めてくれるからいいけど、私女の子なんだけどな・・


言えないけど、本当は女子なんだけどなぁ・・・



(複雑だわ・・・・)




〔★素直に喜べない★〕





みんな私を可愛いと言ってくれるけど、それは『男のことしての可愛い』という意味。




(仮にも、暴走族の総長なのに・・・・)




言う人はみんな、悪気があって行っているわけではなさそう。


だけど、ヤンキーとしてそれに笑顔で応じるのはどうなんだと・・・円城寺君辺りはうるさい。


でも、接客は笑顔が肝心だし、ちゃんと公私の区別はつけてるし~


毎回そう言われて反応に困るけど――――――――




「本当に、凛ちゃんは良い子だね瑞希君?」


「そーなんですよ、可愛い奴でしょう?」



(か、可愛いと!!?)



多少、納得できない気持ちにもなったけど、すぐにその思いは消し飛ぶ。


なぜなら、彼が同意してくれるから。




「気は利くし、良く働いてくれるし、俺にはもったいないぐらいいい弟なんですよ。」



(わ、私がもったいないって・・・!?)




大好きな相手にそう言われたら、だましている後ろめたさごと、モヤモヤが吹き飛ぶ。


瑞希お兄ちゃんが、私を紹介する言葉にときめく。




(私の望みは、瑞希お兄ちゃんに好かれること。そのお役に立ててるなら―――――――――!!)



お客さんと、楽しそうに話している瑞希お兄ちゃんを見ていたら、自分の気持ちなんてどうでもよくなった。


瑞希お兄ちゃんが笑顔でいてくれるなら、私はそれだけで幸せなのだから。




「またくるよ、凛ちゃん。おやすみ。」


「はぁーい!おやすみなさい、角田様♪」


「瑞希君も、またね?」


「こちらこそ、またのお越しをお待ちしております。」




最後のお客様を瑞希お兄ちゃんが、入口まで見送る。


下げた頭を上げた彼が、お店の中へと戻ってくる。





「ふー!おつかれさーん!」




ドアを閉め、そう言ったところで『終了』となった。




「お疲れ様です、瑞希お兄ちゃん!」


「ああ、凛もお疲れ。今日も助かったぜ。ありがとうな。」




トコトコと一直線に駆け寄れば、瑞希お兄ちゃんが頭をなでてくれた。





「よしよし、良い子だ。」


「わーい!」




〔★完全に動物扱いだ★〕






よしよし♪をされ、それで良い気持になっていれば、後ろから声がかかる。




「瑞希~凛たんへのご褒美は後にしろ~?」




そう言って、くわえていたたばこを灰皿に入れたのが宗方烈司(むなかたれいじ)さん。


瑞希お兄ちゃんの一番の親友で、初代龍星軍親衛隊長で、とてもハンサムな男前です。


単車の技術では、初代龍星軍の中で一番。


霊視や透視と言った不思議な力を持っていて、現在は占い師さんをしてます。




「もっと言ってよ、れーちゃん!あたしだって、凛ちゃんに触りたいのに我慢してるのよ!?食器の汚れは早く落さないと、落ちにくくなるからしてあげてるのにぃ~!」



そう言って、頬をふくらました後で、投げキッスするのが朝霧モニカ(あさぎりもにか)さん。


瑞希お兄ちゃんの親友にして、初代龍星軍遊撃隊長。


かなりのイケメンですが、オネェの人です。


本名の『勘兵衛(かんべえ)』で呼ぶと、男らしくキレます。


現在はファッション関係の仕事をしてるそうです。




「そういうことは、閉店作業が終わってからにしろ。なによりも、今も働いてやってる俺達に対して失礼もある。」



そう言ってテーブルを拭いているのが獅子島伊織(ししじまいおり)さん。


瑞希お兄ちゃんの親友で、龍星軍初代副総長の眼鏡の合う美男子です。


すごく頭が良いことはわかってるのですが・・・謎が多いです。


現在、何をしているかも、怖くて聞いてませんが・・・怒らせなくても怖い人です。




「わはははは!そういや、瑞希!凛助をまつりの会場に連れてったんだってなぁー!?ジジイが言ってたぞ!」



そう言って、保管室から持ってきたコーヒー豆袋を指先で回しているのが百鬼皇助(ももきおうすけ)さん。


瑞希お兄ちゃんの親友で、初代龍星軍特攻隊長で、ワイルド系のカッコいい男です。


2メートル越えの身長とマッチョな体と馬鹿力に加え、常識外れの喧嘩好きな野獣で、最近合コンあらしの女好きだと知りました。


現在は、整備工とかをしています。



まだまだ、知らないことが多い初代メンバーの皆さんです。





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